東海道新幹線に乗って、富士山が見えるとなぜかカメラを向ける。
何度も通ったのに、誰もがレンズを向ける。
不思議だ。
現像するわけでもない。
誰かに見せても「凄い」とはいう。
いいながら、それほどの感動は本人以上ではない。
絵葉書って、何かそれに似ていないか?
そう思うことがある。
少し落ち着いた年齢になった。
そのせいもあるか?
旅をすると、美術館をのぞくようになった。
リタイアする前は仕事柄、招待券をよくもらった。
そんな時は、なかなかいけないもの。
公開前のレセプションなどには参列する。
だが、そんな時はゆっくり鑑賞出来なかった。
名刺交換、交流の場なのだから仕方ない。
帰りに持たされる重いパンフレットが正直億劫だった。
「うらやましい。あんな高価なものを」
そう言われても”猫に小判”なのだから。
で、そろそろ終活か?と思い、先日、引き出しを整理した。
出るわ出るわ絵葉書のヤマ。
美術館の出口付近に必ずある土産展示場。
感慨にふけって見ると、購買欲をそそられる。
私はそれほど買う人ではない。
挨拶状代わり、にと思って買うのだけれど。
いいとこ1枚2枚が関の山。
上の写真は一部だが、どうしようか?
きっと、どこの家もこんな状態なのだろう。
チリも積もれば、である。
何の関心もない人にとってはゴミ。
せめて護美と呼びたいが。
ルーブル、オルセー、プラド、ソフィア、カタルーニャなどの海外美術館は絵もいいが、建物自体にも感動する。
で、そんな想いもあって絵葉書を買ったものだ。
ゴッホ、ゴーギャン、マティス、ルノワール、フェルメール、シャガール、モネ、ミレー、ドガ…。
好きだったのはなんと言っても、ダリ劇場美術館。
市民劇場をダリ自ら74年に改装したもの。
一度、目にしたら忘れられない建造物だ。
場所はスペイン南東部、フランスとの国境近くのフィゲラス。
バルセロナから地中海沿いを高速鉄道で2時間。
奇抜な建物が圧倒する。
駅から街中を歩くとダリがいっぱい。
話がそれた。
とにかくサルバドール・ダリの絵が好きということ。
さて絵葉書。
娘たちに遺しても、迷惑な話だろう。
日本のそれは、古いものは郵便番号も枠の数が少ない。
有名な画家のものは、それなりにフムフムと見るかもしれない。
しかし、各地の風景絵葉書はどうか?
あれはいらない。
エッフェル塔、天橋立、宮島、高千穂峡、ロンドン塔、ピラミッド…。
束になってある。
あれこそ、行った本人だけのもの。
ところが断捨離とはいえ、これも捨て難い。
見ているだけで、なんだか、そこはかない思いが巡る。
いやはや絵葉書は存外、厄介なものである。
読者の皆様はどうしてるのだろうか?
聞かせてもらいたい。