淡路島在住の家人の高校同級生M・Yからタマネギがドサっ。
この4月に送ってもらったばかり。
それがまた、2ヶ月経たない内にダンボール一杯にして届けてくれた。
家人が話したのだろう。
「血がサラサラになるからね」
我が家人にとって、友の有難味が心に染みたことだろう。
事の顛末はこうだ。
つい先ごろ、家人が早朝、痛みで、のたうちまわった。
七転八倒とはこのことか?
「右わき腹が、み、みぎ、うーーん…」
額から脂汗がにじむ。
我が家のオーバー会会長のこと、またかいな、と思った。
食中毒など救急搬送は常連組。
こんな時、傍らにいるもの、慌ててはいけない。
慌てるのは一人でいい。
務めてクールに冷静に、である。
記者時代もそうだった。
突発、大事件が起きて騒然とする中。
平然とする(内心は慌てている)。
皆が右往左往していても、冷静に振舞う。
慌てて、ろくなことはないのだ。
ただ、病に関して家人は百戦錬磨。
何かあると医者通い。
今回はオーバーでもなかった。
夜が明けきらぬ4時前。
市民病院に車を走らせた。
「ハイ、ここに書いてください」
「??? これだけノタ打ち回ってるんや」
「いえ、医師はもうすぐ来ます」
窓口の事務員が書類を差し出し、ひょうひょうと告げる。
「急がせるのが先やろ。前もって電話してるはず」
「いえ、決まったことですから」
家人に代わり、病歴など書類をサラサラと書く。
やがてのんびり当直女性医師がやって来た。
分厚い眼鏡にマスク姿。
私は医者です、という風情。
看護師と共に4人が救急病室に入る。
「ハイ、とりあえず採血、CT検査、点滴…」
来てくれたらもう安心。
任せるしかない。
医師はクールに冷静でなくっちゃ。
その間も「ウンウン」痛がっている。
こればかりはどうしようもない。
痛みは本人しかわからない。
わが生涯で一番の痛みは忘れない。
海辺で会社仲間と花火遊び。
手に持った打ち上げ花火が上に噴き出さない。
火の塊が突然、持っている左手に落ちた時だった。
とっさに砂浜を走って、海に飛び込んだ。
これがいけなかった。
因幡の白兎状態だ。
ズキンズキン、というのはまし。
痛みが断続的に来る。
だが、この時は脳天がひっくり返るほどの痛みが途切れない。
ズズズズーっと続いた。
悶絶気絶するほど。
火あぶりの刑ジャンヌ・ダルクなんて、ああ、凄い。
話がそれた。
戻そう。
ひょっとしたら心筋梗塞か?とも思った。
違った。
「腎臓結石」だった。
レントゲン画像をPCで見せてくれる。
「ね、これ!」
医師は楽しげに言う。
「フムフム」
座薬で痛みが和らいだ家人と一緒に見る。
体内の映像。
腎臓(と思しき所)を指し示し。
「この白いところ。わかります?」
「わかるワイ(心の中で)」
確かに白い影が点になって見える。
「うーん、4・1ミリぐらいかな。これが管をふさいで流れてない」
白いところにクリックしながら得意げ。
1センチ以上になると砕かないと排出しない。
そうなると、厄介だ、という。
昔、社の同僚が言っていたことを思い出した。
「そりゃあ、痛いのなんのって。その石が出ると、うそ見たいにスッキリやで」
たった4・1ミリの結石が大の大人を悶絶させる。
人生、どこでどうなり、何があるか、わからない。
では、結石を作らないようにするにはどうすればいいか。
3大方法は水分補給とカルシウム摂取と運動。
結石はカルシウムの塊なのに、カルシウム摂取はおかしい。
そういう向きもあろう。
だが、医学は難しい。
結石はシュウ酸とカルシウムが結びついて出来る。
普通は便で排出される。
しかし、シュウ酸が多いと尿に染み出る。
積極的にとることでカルシウムはシュウ酸と結びついて、排便できる、ということだそうだ。
チュート半端はアカン。
洋食化されているとはいえ、日本人はまだまだ、肉類など動物性たんぱく質は不足している。
【結石】腎臓で形成されるカルシウムの塊。中年以降の男に多い。腎臓内にあるうちは痛みはない。降りて尿管で詰まると嘔吐や冷や汗が出るほどの激痛を生じる。大きさが1センチ以下の結石は自然排出。治療は鎮痛薬、結石形成抑制薬などを投与。水分補給は最も大切。散歩、縄跳びなど軽い運動は効果的。結石が下降し膀胱の入り口までくると頻尿、残尿感など膀胱炎に似た症状になる。