【カウアイ島(米ハワイ州)秋山信一】政府は陸上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の導入に当たり、北朝鮮からの弾道ミサイルに加え、他国から日本を狙う巡航ミサイルを迎撃対象とする検討に入った。弾道ミサイルと巡航ミサイルのどちらにも対応可能な次期迎撃ミサイル「SM6」の導入を念頭に置く。

 イージス・アショアの視察のため米ハワイ州カウアイ島を訪れた小野寺五典防衛相は10日(日本時間11日)、「弾道ミサイル防衛ということで考えているが、いずれ日本に来る巡航ミサイルを含め、総合的に役立つ基礎的なインフラに発展させていきたい」と記者団に語り、巡航ミサイル対応が視野にあることを明らかにした。

 海上自衛隊のイージス艦に搭載されている現在の迎撃ミサイル「SM3」は、弾道ミサイルにのみ対応。弾道ミサイルは、燃焼を終えた後、弾頭部分が大気圏外で放物線を描いて落下する。SM3は、この大気圏外にある弾頭を撃ち落とす仕組みだ。一方、巡航ミサイルは、レーダーが捕捉しにくい低空を飛び、発射した後に飛行経路を変更することが可能で、状況によっては探知は難しい。

 米海軍のSM6はすでに運用可能な段階に達したとされる。政府は、新たな「防衛計画の大綱」を年内に策定する予定で、ミサイル防衛の対象拡大の必要性などについて議論する方向だ。