現在行っているワールドツアーが終了する12月以降、活動を休止することを発表していた米人気歌手レディー・ガガ(31)が12日(米国時間)、ツイッターで慢性的な痛みを伴う「線維筋痛症」になり、闘病中であることを明らかにしたが、この「線維筋痛症」とはどんな病気なのか? 医療ジャーナリストの松井宏夫氏に解説してもらった。

「全身に原因不明の激しい痛みが生じて、慢性化してしまうのが線維筋痛症です。日本でも200万人以上の患者がいると推定されていますが、慢性化してしまうと日常生活もままならなくなります」(松井氏)

 この病気の場合、痛みだけでなく「体のしびれ」「手足のこわばり」「全身の倦怠感や疲労感」「目や口の渇き」「睡眠障害」「うつ状態」など、さまざまな症状が出る人も少なくないという。

「ただ、症状には個人差があり、線維筋痛症の人が、みな重症というわけではありません。非常に軽度なケースから耐えがたいケースまであり、多くの人は自分で薬を飲むなどのケアをして、うまく痛みをコントロールできています。重症で苦しんでいるのは200万人のうち2〜3%です」(松井氏)

 重症の場合には専門医の診断や治療を受けることになる。線維筋痛症の専門はリウマチ科、ペインクリニック、診療内科などで、治療には「薬物療法」「有酸素運動」「認知行動療法」「ストレス対策」が行われる。

 松井氏は「線維筋痛症の痛みは複雑で多様なため、なかなか正しい診断に結びつかないケースもありますが、正しい診断や治療を受けて、痛みに対するコントロールがうまくいけば、症状は軽減できるようになります」と説明した。

 ガガは自身のドキュメンタリー映画「ガガ:ファイブ・フット・ツー」で詳しく闘病について語っており、同作が同じような慢性的な病気を抱える人たちの啓発や出会いにつながることを希望しているという。このドキュメンタリーは22日からネットフリックスで配信される。

 同ドキュメンタリーは8日(現地時間)、カナダのトロント国際映画祭で上映され、上映会に出席したガガは記者会見で「しばらく休養する」と活動休止を宣言していた。休養期間については明かしていなかった。同作はガガが慢性的な痛みに耐えながら音楽活動を続けている様子などを明らかにしているという。