在宅勤務なのだ

自分でも暇なのか忙しいのかよく分からない。タイトルは多忙としたけれど、多忙ではないなぁー、いくらなんでも・・・

な赤の離れこと

2017-07-11 17:52:53 | 日記


霊力を失った大蛇は、龍神の元へも帰れずこのまま地を這う口縄(蛇)となり、このままたった一人霊力が戻るまで生きてゆくしかない。
これから龍神の力を得るには、再び気の遠くなる修行と年月がかかるだろう。
クシナダヒメは、哀れな子蛇をそっと胸に抱くと頬を寄せた。
さな鎌首を持ち上げて、ただの白い子蛇は嘆くクシナダヒメを見つめていた。
名残惜しそうにしていたが、傷だらけの子蛇はやがてちろちろと先の割れた舌で、クシナダヒメの頬に触れると石垣の隙間に消えた。
それが、今生でのやるせない最後の別れになった。
どこまでが本当で、どこまでが作り話かも分からない、うんと古代の話なのに。
うつむいたまま、俺はずっとオロチの膝に頭をくっつけて謝っていたような気がする。

オロチの先の割れた舌が、そっと唇に触れた。
これって、この間の「口を吸う」ってやつキスだ。
唇を滑り、緩く舌に絡みつくオロチの割れた舌う~
口を貪るように蹂躙されて、思わず握りこぶしに力を込めた。
きっと記憶を持ったまま、長いこと待っていたんだと思ったら、この位我慢できた。

なんともないこのくらい。
なぞってゆく舌が、ちょっと気持ちいいかもしれない
なんともない我慢できるよ。

なんうっ、息が出来ないっ!

長いっ!キス、長いってっ!
酸欠で死ぬっ!
戦いの舞を続けながら、耳元でスサノオの青ちゃんが聞く。
元々、スサノオが横恋慕なんかするから、ややこしいことになったんだ。

「ばかっ。」

篝火は激しく勢いを増すが、舞台を見守る観客などはいない。
再現される過去に、関係者が時代をさかのぼり、催眠状態になって行くだけだ。
すべてを振り出しに戻すための儀式が、今日の神楽だった。

「クシナダ、鏡を。」
クシナダヒメは現世の直系のぼくの中で眠り、世代を経て、いつか再びオロチが転生するときに共に目を覚ますのだという。
それは、ぼくの子供になるのか孫になるのかも分からない、遠い未来の話になる。
感覚で言うと、潜在意識みたいなものだろうか?
不思議なことに、男女の違いが有るのにぼく達二人は、こうしてみるととてもよく似ていた。

『私もいつまでも、ひぃくんの側に居てはいけないと思うの』

ぼくは、何となく理解した。
きっと、姉ちゃんは現世で身体とても、残ったぼくが心配で、側にいてくれたんだ。

「姉ちゃん。ぼく、もう守ってくれなくても大丈夫だよ。」

「長いもの」が怖くて、がたがた震えることはもうないと思うし。

たぶんね。

「クシナダ。」

「いやそれはそれで、楽しめた。」

なんだよ、それ。
ついと、手が伸びて顎を引き寄せようとする。

「クシナダ我はいっそ、何も知らぬ無垢子のようなそなたを、我が物に」

うわ~~っ!!
やっぱりこうなる?
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