つれづれ写真ノート

   カメラと写真 そして世の中の色々なこと---

「iPone6で撮影」の裏側

2015年04月28日 | カメラ

アップルの広告攻勢がすごいです。

iPhone 6 で撮影」という写真が、3月に続いて、また4月28日の新聞各紙朝刊(大阪)に大きく載っていました。

確認した限りでは読売、朝日、毎日、日経の4紙。産経にはなし。

ほかに、地方紙で掲載されている可能性がありますが未確認です。

 

読売( 上、 撮影:Mikey D.  )、毎日(下、  撮影:Kinyat C. )。

 

朝日(上、 撮影:Michael O. )、 日経(下、撮影:Sarah P. )。

 

写真の図柄は新聞によって違いますが、広告のキャプションはいずれも「iPhone 6 で撮影」だけ。

iPhone 6 で撮った写真は、2ページの見開きに引き伸ばしても、こんなにきれいなんだ、という強烈なアピール。

確かに見事な作品です。

「iPhoneでこれだけ撮れるんなら、もうデジカメはいらんな~」

そんな声が聞こえてくるような…

 

デジタル一眼レフの愛用者としては、ちょっと複雑な気分。

 

ネット情報によると、同様の広告は、3月2日に読売、朝日、毎日、日経の全国紙4紙のほか、中日新聞、北海道新聞に載っていたとのこと。

アップルが世界展開で始めた「iPhone World Gallery」キャンペーンの一環のようです。アップルのホームページのうち「ワールドギャラリー」には、こうした新聞に掲載されたもの以外にも、 iPhone 6 で撮影された、たくさんの作品が紹介されています。

さらに世界の街頭や駅でも、写真を引き伸ばした巨大看板でアピール。いったいどれほどの広告宣伝費を使っているんでしょう…

 

     「iPhone 6 」(大阪・梅田のヨドバシで)。

 

イメージセンサーはソニー製

カメラ機能を前面にアピールしている「iPhone 6 」。そのカメラのイメージセンサーはソニー製と言われています。

iPhone の新製品が出ると、すぐ分解して中身を調べるサイトがあって、使用部品のメーカーが分かってしまうんですね。

ITmedia Mobile 2014年11月20日の記事「バラして見ずにはいられない」によると、「iPhone 6 」の800万画素イメージセンサー(CMOS)は、ソニーがiPhone用に新設計したものだとのこと。

Imager マニア というサイトにも詳しい内容が出ています。

 

コンパクトなデジタルカメラでも1000万画素以上が普通になった現在、「iPhone 6 」の800万画素は、デジタルカメラとしては、ひと昔前の画素数。

それなのに、これほど美しい写真が撮れるのは、ソニー製センサーの性能とともに、「iPhone 6 」の画像処理が優れているからでしょう。また、手ブレ補正、AF機能が強化された結果、「ブレ」「ピンボケ」が出にくくなっているのも、全般的な画質向上に貢献。(Focus Pixel--像面位相差AF?--はセンサーがらみなのでソニーの技術と思われますが、手ブレ補正は別メーカーのようです。)

 

もちろん、ソニーとしてはセンサーを供給したアップルに、機能で負けるわけにはいかないので、自社製のスマホには「iPhone 6 」を上回るカメラ機能を搭載しており、「Xperia Z3」、「Xperia Z4」(夏以降に発売)はいずれも2,070万画素と、圧倒的に高画素。

ところが、「Xperia Z3 の最強カメラがiPhone6 に劣る点」(東洋経済オンライン)という記事では、

『(iPhoneのカメラでは)かなりの低照度環境下では”ギブアップ”といった絵を出すこともあるものの、多くの場面で納得できる絵を出してくる。最高ではないけれど、納得はできる。その納得できる写真を出すヒット率が高い。』

とあり、逆に Xperia Z3 は「使いこなし」の面で難点があると書いています。

 

不思議なものですね。

「多くの場面で納得できる絵を出してくる」ところが、いかにもアップルらしいかな…

 

センサー量産に賭けるソニー

日経産業新聞の最近の連載「SONY転生 デバイスで変える」(4/14~)が面白いです。(図書館で読みました)

全般的に、いかにソニーのイメージセンサーが強いか、という内容で、アップルのiPhone シリーズだけでなく、サムスンのスマホ「ギャラクシー」にもソニー製センサーが使われているとのこと。

それによると、

『韓国のサムスン電子は最上位機「ギャラクシーS シリーズ」の画像センサーでソニー製を毎回使っていたが、前モデル「S5 」で自社製の画像センサーに切り替えた。ただ、最新の「S6 」で再びソニー製に戻したほどだ。』

世界的なシェアについては、

『調査会社のテクノ・システム・リサーチ(東京・千代田区)によると、14年のCMOS画像センサーの世界シェア(数量ベース、見込み値)は米オム二ビジョンが23・4%と首位で、ソニーは20・7%と2位。だが、金額ベースではソニーが39・5%の首位で、2位のオム二ビジョン(16・2%)を突き放す。』

と書かれています。

ソニーは、CMOSのうちでも「積層型」というタイプに強みがあって、技術的にライバルより2年半は先行(ソニー側の話)。センサーの素材を超極薄に削る技術が、大変に難しいそうです。

 

CMOS センサーでは「わが世の春」を謳歌するソニー。センサー量産こそ最優先課題のようです。

かりに、スマホやデジタルカメラの競争相手にセンサーを供給することで、自社製スマホやデジタルカメラが押されることになっても、それはやむを得ないと考えているのかも。

(いや、企業として、それは無いか…)

 

いろいろなことを思う、「iPhone 6 」の新聞広告でした。

 

-----------------------------------------

関連記事

 ・『これがiPhone 6の実力。アップル世界各地で超巨大広告を展開中』(ギズモード・ジャパン)

 ・『バラして見ずにはいられない---綱渡りもそろそろ限界? iPhone 6/6 Plusの分解で見えたAppleの“危険水域”』( ITmedia Mobile)

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿