今日の散歩

愛「人」との散歩日記

出発

2017年05月14日 | 日記・エッセイ・コラム

「どんなに悲しい時でも、嬉しい時もだが、無慈悲に"日はまた昇る"もんだな」とご主人さま。
「それがお仕事ですからね」
「お別れしてきたんですか、辛かったでしょうね」

「16歳の時から俺を可愛がってくれ、母の次に大事な叔母がついに逝ってしまった」
「病気がちのくせになぜか丈夫で、何度か九死に一生を繰り返し、出戻って来てはその時の話を聞かされた」
「でも今回は、"ほんとうに逝ってくる"と言い残して旅立ってしまったようだ」
「89歳だったよ」

「まあ、葬儀は今流行の"家族葬"だったんだがな、それでも40名ぐらいの人が参集して、慎ましく厳かないい葬儀だったよ」
「それに香典もブロックされてしまったよ」

「余談たが職業柄、この葬儀社はいわゆる老舗でな、ちょっと特徴のある有名な広告を出稿してたこと思い出したんだ」
「えー、葬儀社が広告を出稿してたんですか」
「うん、ここが元祖がじゃないかな」
「うんで、話はまたそれるがな」
「ある先輩の広告マンに聞いた話なんだが」
「広告営業の基本は"黒枠"を取って来るだなんていってたな」
「黒枠ってなんですか」
「うん、要するに葬儀の告知広告を取って来ることだ。黒枠の広告のこと」
「もちろんそういう広告マンは決して歓迎されることはない」
「だから、昔、"広告屋とし犬はお断り"と貼り紙されたらしいぞ」
「これが広告代理店の原点だそうだ」

「うん、話が随分と横道にそれてしまった」
「葬儀の話だか、告別式を終えそれから斎場に向かった。手続きを終え待合室で待つことになったのだがな」
「そこで見た光景に驚いた驚いた」
「うん、どうしたんですか」
「デパートの食堂みたいに賑わい混み合っているんだ。広い待合室が」
「えー、そうなんですか」
「実は、京都市には斎場が1ヶ所しかなくて、しかも前日が休みだったらしいんだ」
「そら混雑しますよね」
「でも斎場の"おくりびと"の方々は、悲しみのなかでも明るい接し方でかつ丁重で、大変いい印象を持った」
「またまた余談だがな、大ヒットした"おくりびと"という映画、あれの英語の題名は"Departure(出発)"っていうんだ」

「あれこれ余談混じりだか、万感をこめて、叔母はいい出発をしたと確信してる」
「俺の自慢の叔母だからな」
「元気出してくださいね、ご主人さま」

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