言葉のクロッキー

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スラブ叙事詩

2017-05-12 | 所感折節
Alfons Mucha(ミュシャ展)  2017年3月8日~6月5日  国立新美術館

展示内容

● スラブ叙事詩

全部で20点展示されている。どの作品も大きな額におさまっていて、それだけで圧倒される。案内によれば(6.1x8.1)メートルのが7点。一番小さな作品でも(3.9x5.9)メートルもある。これらはプラハ市立美術館が所有し、カンヴァスにテンペラ、油彩で描かれている。最初の作品「原故郷のスラブ民族」は1912年。最後の「スラブ民族の賛歌」は1926年。この巨大な作品をミュシャはお城の大きな一部屋を借り、そこをアトリエにして描きあげたとのことだ。一点一点に歴史の想いが込められている。その歴史的な背景は何も知らないけれど、事実と幻想。宗教と政治。民衆と異民族の侵攻。恐怖と生きる賛歌。喧噪と静寂等など、色々なことが伝わってくる。なにしろ画が大 きくてしかも明るい。100年以上経ってるのに最近描いたと言われても納得するような、鮮やかさがある。大きな絵には、観る者にその描かれている世界にあたかも存在するような錯覚を抱かせる。風の冷たさや戦火の煙の臭い、民衆の爆発すような歓喜の声が聞こえてくるようだ。日本人には無い、ねっとりするような体臭さえも感ずる。ミュシャはデザイナー的に評価されたらしいが、祖国チェコを訪ねその生活風土に接したり、スメタナの「わが祖国」などに影響され、スラブという大きな世界を描くことに何かしらの霊感を感じ、画家として同胞に、自己のメッセージを伝えたかったのだろう。100年近くも経った作品を、無傷で鑑賞できるとはほんとに素晴らしい。

●ミュシャとアール・ヌーボー

ここでは堺市が所有するミュシャのポスターが主に展示されていた。ミュシャがパリで一躍有名になったという大女優のポスターをはじめとする花のような作品が23点。アールヌーボーの雰囲気いっぱいだった。「カメラのドイ」の創業者がミュシャの世界的なコレクターだったとは知らなかった。そのコレクションの多くは堺市に寄贈されたらしい。リトグラフが主だったがブロンズ像やブレスレッドもあった。

●世紀末の祝祭

1900年パリ万博に関連した下絵とか、1911年代での油彩の作品が主に16点ほど展示されていた。

●独立のための闘い

リトグラフ・ポスターや切手のデザイン。まミュシャがデザインした紙幣などを展示。

●習作と出版物

本の表紙、ポストカード。堺市の所有する6点ほどの習作が展示。
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