東京文化会館や埼玉会館、・・へと続く一連の事例の原点とでも言える建物。コンクリートの打ち放しと器質タイルという外観。まだタイル打ち込みではない。
1960年(昭和35年)の竣工だから、ほぼ半世紀前の設計。すっかり「貫禄」がついている。最近建つ建物は、半世紀後、「貫禄」がつくのだろうか。
写真、図面とも『前川國男作品集』からの転載。
この書物の上では、この建物の設計図は鮮明ではない。
矩計図は、2頁にわたっているため、部分だけ掲載。
当時学生だった私は、先ず雑誌でこの建物に接し、その後、京都の古建築を見るついでに訪れた記憶がある。
雑誌上の図面は、雑誌掲載のために描きなおされていて、現物の図面(のコピー)を見るのは、この作品集がはじめてであった。
ちょっと分りにくいと思うが、図面は非常に詳しく描かれている。特に、矩計図はそれが顕著で、ダテに「形」を描いているのではなく、どのようにしてつくりあげるか、十分に検討した上で図面が描かれているのである。
もっとも、この図面の「凄さ」が分ったのは、自ら図面を描き、現場に行くようになってからのことである。