屋敷構え-1

2007-12-03 18:50:49 | 住まいの構え方

今年の紅葉は、平地でも見事。
紅葉が進むにつれて、その濃淡と常緑樹との対比でめりはりがついて、普段は気付かない林の奥行が見えてくる。

私の住むあたりは農家が多く、大抵見事な屋敷林で屋敷が囲まれている。今、紅葉の盛り(今日の雨で大分散ってしまった)。
そのいくつかを紹介したい。
このあたりでは、冬から春先にかけて、北西からの風が強い。ちょうど北西方向に筑波山が見えるから、まさに「筑波下し」。

今回紹介の例は、地図の網かけ部分、空中写真で〇印を付した屋敷。

  註 空中写真はgoogle earth、地図はゼンリンのデータ。上が真北。

屋敷全体は大きく、少なく見積もっても2500㎡はある(境界ははっきりとは分らないが、多分、樹林の茂っている部分が屋敷と考えられる)。最近の分譲地なら、軽く10戸は建ってしまう。
しかし、大きいと言っても、このあたりでは決して珍しくはない大きさ。
屋敷の内の建屋も多い。大抵三世代居住。

このお宅の南側に沿って、かつては主要道が通っていたようで、現在の道路(写真Cを撮った場所)は、車社会になってから新設されたようだ。
お宅の前の道の幅は1間半程度で、東へ進むと屋敷が三つほど連なるのだが、奥の方は道の痕跡だけ残っていて、今はほとんど誰も歩いていない(この並びの一番東側のお宅は、今は、その東側を通る南北の道を使っている)。

この細い道に接する面、つまり屋敷の南面は、高さ2.5mほどの生垣で(それゆえ、普通には中が見えない)、その手前に一段低い1m程度の生垣を設ける二段構成になっている。だから、生垣の厚み:見込みは1.5mほどはあるのではないか。
この手法は、このあたりの生垣に多く、人の背丈を超える生垣が、道行く人に圧迫感を与えないための工夫と思われる。
低い方は、多分この場合はマサキやモチノキの類、高い方はシラカシ、シイの類、いずれも常緑。サザンカも混じっているかもしれない。

これに対して、屋敷の西側には、二階建て建物の優に2~3倍近く背の高い樹林帯が設けられている。樹種は、ヒノキ、スギが主体で、一部にケヤキなどの落葉広葉樹が混じる。中でもケヤキは、写真でも分るように、背が高い。
夏場は薄暗いのだが、この季節、下草も枯れ、広葉樹が色づくと、華やいでくる。
こういう林が、屋敷の北側にもまわる。それに続く畑地は、多分、このお宅のものだろう(南の道を挟んだ向いも、おそらく同じ)。

東側、つまり隣家との境は、写真に少し写っているが、2~3mの高さの生垣だが、それほど密ではない(写真でも分る)。

屋敷の中の主屋は、多分、東~南側全面にL字型に縁がまわっているはずだ(訪ねたことがないから詳細は分らない)。
ただ、そこは居住空間と言うより2~3室の部屋が並ぶ接客空間。いわゆる書院造の系譜。縁まわりは、「差鴨居」で全面が開口となる。
このあたりの農家では、こういう造りが、最近でも主流。
余談だが、例の〈耐震診断〉で、こういう造りのお宅には、〈専門家〉は皆悩んでいるとのこと。

こういう風景は、見ているだけで心和む。

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