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たいらばやしか、ヒラリンか

2017-01-25 | 日本・日本人
たいらばやしか、ヒラリンか 字違い、名違いともある、古典落語の演目である。>「ひらばやし」は東京落語で、「たいらばやし」は上方落語 ともあるので、これはどうしてだろう。えんもく、演者の違いも、下げに至るまでも、それぞれにバリエーションがあるようだ。


東西落語特選
http://www.niji.or.jp/home/dingo/rakugo2/
平林
http://www.niji.or.jp/home/dingo/rakugo2/tairabayashi.csv

番頭,おーい、定吉
定吉,はい、番頭さん、お呼びでしょうか?
番頭,悪いんだがなぁ、ちょいと手紙を、届けてきて欲しいんだ
定吉,手紙ですか?
番頭,そうだ。いま、手の空いているものが誰もいないんだよ。ちょぃと急ぎの手紙でな、お前さんが持って行って、先方に直接お渡しして来てほしいんだ。平河町の平林さん。この前の通りをずーっと行って、橋を渡ったあたりが平河町だ。そこでもって、「平林さん」ときけば、すぐわかるから。すまないが、ちょっと行ってきておくれ。
定吉,はい、わかりました。あたくし、いま、お風呂を沸かしておりますので、それがすみましたら行ってまいります。
番頭,あぁ、お風呂か・・・それはあたしが見ておくから、急ぎの手紙だ。すぐに行ってきておくれ。
定吉,わかりました・・・で、どこへ届ければいいんです?
番頭,平河町の、平林さんだ。
定吉,あーぁ、はいはい・・・・・・お風呂、おねがいしますよ、沸かし過ぎたりすると、あとを埋めるの、大変なんですから
番頭,わかったわかった、いいから、早く行っておくれ、急ぎの手紙なんだから
定吉,わかりました・・・で、どこへ届ければいいんです?
番頭,だから、平河町の、平林さんだ。
定吉,あぁ、わ~かりました!番頭さん、ほんと、お風呂おねがいしますよ、沸かし過ぎたりしたらあとでおかみさんに小言をいわれますから・・・
番頭,わかったから、早く行ってきておくれ
定吉,わかりました・・・で、どこへ届ければいいんです?
番頭,ほんとに、お前さんは忘れっぽいたちだねぇ、分からなかったら、そこに宛名が書いてあるだろう、それを読めばいいんだ!
定吉,ははは、これが読めれば苦労ありませんよ。
番頭,なんだ、お前さん、字が読めないのかい?
定吉,ははは、ハイ!あたし、字が読めない、おとっつぁん、字が読めない、じいさん、字が読めない。先祖代々、み~んな字が読めないんですよ!
番頭,おいおい、笑って言うことじゃないぞ、お店ものが字がよめなくちゃ、しょうがない。しかし、弱ったなぁ・・・いま、手があいてるものが誰も居ないんだよ。物覚えは悪い、字は読めない・・・あ、そうだ、こうしよう。お前さん、先方へ着くまで、口の中でもって「平林さん、平林さん」と唱えながら行きなさい、そうすれば忘れないから。
定吉,あぁ、そうですか!わかりました!行ってまいりまーす
へへっ、番頭さん、頭がいいなぁ、平林さん、平林さん、平林さん・・・あ、でっかい水たまりだなぁ、じゃまくさい・・・どっこいしょ、と・・・どっこいしょ、どっこいしょ、どっこいしょーのどっこいしょ・・・どっこいしょ!?こんな名前じゃなかったな!?・・・あれ?どうしよう、困ったなぁ・・・宛名みたって分かりゃしない・・・困ったなぁ、あ、そうだ、封筒の宛名、誰かに読んでもらおう・・・誰かいないかなぁ・・・あ、あのおじさんに聞いてみよう!
すいません、おじさん、この封筒の宛名、読んでください!
おじさん,なに?宛名? なんだ、お前さん、こんな字も読めないのかい?いいかい、これはな、上の字が「平清盛」の「たいら」、下が「はやし」。「たいらばやし」だ。
定吉,ありがとうございます!たいらばやし、たいらばやし、たいらばやし・・・たいらばやし!?ちょっとずれてる気がするなぁ、こんなんじゃなかったなぁ・・・弱ったなぁ、だれかいないかなぁ・・・あ、あのおばさんに読んでもらおう!
すいません、この封筒の宛名、読んでください!
おばさん,はいはい、宛名ね・・・え?どっかのおじさんが「たいらばやし」?まぁ、いやねぇ、男の人ってすぐにいい加減なことを教えるのねぇ。いい?上の字が「平たい」の「ひら」、下の字が「森林」の「りん」。「ひらりんさん」よ!
定吉,ありがとうございます!ひらりん、ひらりん、ひらりんりん!  ひらりん、ひらりん、ひらりんりん・・・・・・ひらりん!?こんな可愛い名前じゃなかったなぁ、弱ったなぁ、どうしようかなぁ、こういうときは、もうちょっと智慧のありそうな・・・あ、あのおじいさんに聞いてみよう

おじいさん、すいません、この封筒の宛名、読んでください!
おじいさん,はいはい、なんですと、前の人が、「たいらばやし」?「ひらりん」?ほっほっほ、お前さんが歳が若いので、からかわれおったな。ところで、お前さん、字は読めるかい?いやいや、読める・読めないで教え方が変わってくる・・・おぉ、読めない!?読めないときは無理に読むことはないんじゃぞ。まず上の字。横に一本、棒が引いてあるじゃろ、これは「いち」じゃな。その下のちょんちょん、これは「はち」じゃ。その下のタテ・ヨコが「じゅう」。「木材」の「もく」が二つあるから「もくもく」じゃ。あわせて、「いちはちじゅうのもーくもく」じゃ!
定吉,ありがとうございます!いちはちじゅうのもーくもく! いちはちじゅうのもーくもく!・・・もくもく!?こんな煙たい名前じゃなかったな、弱ったなぁ、どんどん離れていくような気がするぞ、あ、ここのタバコ屋さんで聞いてみよう!すいませーん
タバコ屋,はいはい、タバコはなんにしましょう
定吉,あたし、タバコ吸える歳じゃないんで。すいませんが、この封筒の宛名、読んでもらえませんか?
タバコ屋,はいはい、宛名・・・なに?前の人が、たいらばやし、ひらりん、いちはちじゅうのもくもく??へぇ、みんな読み方を知らないんだねぇ。いい?コトバというものはね、色気がなきゃいけません。「いち」という代わりに「ひとつ」というと、柔らかくて色気があるでしょ、「はち」という代わりに「やっつ」、「じゅう」という代わりに「とお」。下に「木」という字が二つあるから、「ひとつとやっつでとっきっき」
定吉,ありがとうございます!ひとつとやっつでとっきっきー、ひとつとやっつでとっきっきー・・・絶対違うよなぁ、これ・・・弱ったなぁ・・・あ、そうだ。宛名が書いてあるんだから、これを前にかかげで、今まで聞いた読み方を全部言いながら歩いたら、「あ、それ、うちだよ」っていう人が出てくるかもしれない。よーし・・・
うわぁ~~い、たいらばやしか、ひらりんか、いちはちじゅうのもーくもく、ひとつとやっつでとっきっき!・・・・・・
うわぁ~~い、たいらばやしか、ひらりんか、いちはちじゅうのもーくもく、ひとつとやっつでとっきっき!・・・・・・
子供が集まって来ちゃったよ、あっち行け!見世物じゃないよ!あぁ、弱ったなぁ、日は暮れてくるし、お腹はすいてきたし・・・これ、どこへ届けりゃいいんだよ・・・
うわぁ~~い、たいらばやしか、ひらりんか、いちはちじゅうのもーくもく、ひとつとやっつでとっきっき!ぐすん、
うわぁ~~い、たいらばやしか、ひらりんか、いちはちじゅうのもくもく、ひとつとやっつでとっきっき!
隠居,なんだよ、向こうからなんか妙なこと言いながら ねり歩いて来るのは・・・ありゃ三河屋の丁稚の定吉どんじゃないか?おーぃ、定吉さん、どうした?
定吉,あ、お店でよく見かけるご隠居さん・・・たいらばやしか、ひらりんか、いちはちじゅうのもーくもく、ひとつとやっつでとっきっき!
隠居,お前さん何をいってるんだよ、
定吉,へぃ、番頭さんに手紙を預かってきたんですけど、届け先の宛名が分からなくて・・・ご隠居さんはお名前、なんて言うんですか?
隠居,あたしかい?あたしゃ「ひらばやし」だよ
定吉,ひらばやし・・・あぁ、、ちょっとの違いだ! 





ウイキペディアによる

原話は『醒睡笑』の一編「推は違うた」。また、名の読み方を巡る騒動を描いた類似の民話が各地に残る。
あらすじ
商家の丁稚の定吉は、(東京では平河町、上方では本町に住む)医師の「平林(ひらばやし)」邸に挨拶にたずね、手紙を届け、その返事をもらって来るよう、店主から頼まれる。
定吉は、行き先を忘れないように口の中で「ヒラバヤシ、ヒラバヤシ」と繰り返しながら(あるいは、お使いの不平をぼやきながら)歩くが、結局忘れてしまう。定吉は思い出すため、手紙に書かれた宛先の「平林」という名前を読もうとするが、そもそも字を読むことができなかったことに気づく。そこで、通りがかった人に、「平林」の読み方をたずねることにする。最初にたずねられた人は「それはタイラバヤシだ」と答える。安心した定吉は、別の人に「タイラバヤシさんのお宅は知りませんか?」と聞くが、要領を得ないので手紙を見せると、その人は「『平』の字はヒラと読み、『林』の字はリンと読む。これはヒラリンだろう」と定吉に教える。また別の人に「ヒラリンさんのお宅は知りませんか?」と聞き、手紙を見せると、「イチハチジュウノモクモク(一八十の木木)と読むのだ」と定吉に教える。さらに別の人が同じように定吉に問われると、「ヒトツトヤッツデトッキッキ(一つと八つで十っ木っ木)だ」。
困った定吉は、教えられた読み方を全部つなげて怒鳴り、周囲の反応を待つことにする。怒鳴りはやがてリズミカルになり、歌のようになっていく。「タイラバヤシかヒラリンか、イチハチジュウノモークモク、ヒトツトヤッツデトッキッキ」
やがて定吉の周りに人だかりができる。そこを通りがかった、定吉と顔見知りの職人の男が駆け寄ると、定吉は泣きながら「お使いの行き先がわからなくなった」と職人に訴える。職人が「その手紙はどこに届けるのだ?」と定吉に聞くと、
「はい、ヒラバヤシさんのところです」



リマインダー

勘違い日本語
2016-01-25 22:51:54 | 現代日本語百科

文化庁国語課の勘違いしやすい日本語、というタイトルで、この名前の付け方が、勘違いしているのかなと思ってしまった。
国語調査で20年の区切りだからだそうで、著者はと言えば、文化庁国語課なのである。

国語課の部署名に、日本語教育があって、それを文化庁の調査で、日本語をとらえて国語調査であるし、国語課による日本語教育の実態調査である。
それは国語審議会というのがあって、日本語審議会ではなかったし、国語問題であって、日本語問題ではなかった。

こうして勘違いのママに使い続けているような気分になる。
言葉の正しい意味を知しることができる一冊とあるので、ひも解いてみる。

いまの、ひも解く、となってしまう、繙く、について、衣服の下紐を解くわけではないと言いながら、書物の帙(ちつ)のひもを解く意となれば、やはり紐を解くということなのである。

36の例と、コラムが、そのタイトルには

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7 「あたりめ」と「するめ」は何が違う?
8 敬語はどこまで丁寧でよいか

これは思い違いによる語なので、正しくは考え違いなのであるから・・・
勘違いを、その思い、というのを、また、思っていることとして捉えるべきである。


出版社のサイトにある商品詳細
http://www.gentosha-edu.co.jp/products/post-220.html

文化庁国語課の勘違いしやすい日本語
文化庁国語課/著
出版社名
幻冬舎
ページ数 239p
ISBN 978-4-344-97848-5
発売日 2015年12月

「流れに棹さす」「憮然」「他山の石」「姑息」「敷居が高い」・・・etc
これらの本来の意味を理解していますか?もしかしたら、相手は異なる意味で理解しているかもしれません。
文化庁が調査した「国語に対する世論調査」でわかった、36の言葉の意味のとらえ方を用例とともに紹介。
うっかり間違った意味で使うと、相手を怒らせてしまうことも?
用例や類語、語源などとともに、言葉の正しい意味を知しることができる一冊。
【著者:文化庁国語課】
文化庁で「国語の改善及びその普及」を担当している部署。
「国語に関する世論調査」などの事業を実施するとともに、「常用漢字表」「現代仮名遣い」「敬語の指針」など、国語に関する具体的な目安やよりどころの普及に努める。


日本国語大辞典
かん‐ちがい[:ちがひ] 【勘違】
解説・用例
〔名〕
考え違い、思い違いをすること。かんたがえ。かんちがえ。


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