山の恵み里の恵み

キノコ・山菜・野草・野菜の採取記録

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ヒラタケ

2005-02-20 10:56:15 | 山の恵み(保存版)
 採取場所:長野市葛山(かつらやま)。 採取日時:2002年11月末。 見分け方:ほかに紛らわしいキノコはありません。 写真説明:木の上のほうまでキノコがついているのが遠くから見えました。前の年にはまだ葉が繁っていたのが、いっきに全身ヒラタケに乗っ取られてしまったようです。一週間もすれば株はまだまだずっと大きく成長したでしょうが、ひとに採られるのも癪なので、大き目の株だけ頂いてきました。翌年見に行ったら既に倒れてしまっていました。
 【英語名:Oyster Mushroom(牡蠣キノコ)】


 ヒラタケに関しては忘れがたい思い出が数々あります。善光寺の西2キロほどのところにある頼朝山で、生涯最大の大株、直径30センチものヒラタケが、10段ぐらい重なった大株でした。しかも2株。両腕いっぱいに抱えて、ふもとの家まで(もちろん歩いて)運びおろしたこと。同じく善光寺のすぐ西、しぐれ沢で、(たぶんブナの)大木が沢をまたいで倒れたところに、最初の年は丈が10センチもあるエノキタケがびっしり生えていたのが、次の年には代わって同じ倒木にヒラタケの大株がぎっしりつき、3年目にはやや小ぶりながら同じようにヒラタケ、4年目は15分ほどの差でどこかのおっさんに先を越されて涙をのみ、5年目にはあの太かった木がぼろぼろになって沢に崩れ落ちてしまっていたこと、などなど。
 ヒラタケは古今東西、最も親しまれてきたキノコのようです。平家物語にも有名な話が出ていますし、今昔物語だったか古今著聞集だったかに出てくる「マイタケ」も、どうやらヒラタケのことだったとか。ヨーロッパ人も大好きらしく、イタリアの図鑑に「すこぶる美味、人々が争って探し求める」と出ていました。スペインはグラナダで、果物屋のショーウインドーに、一抱えもありそうなヒラタケの大株が飾って(?)あるのを見かけたこともあります。
 なんせヒラタケは美味しいですからねえ。匂いにも味にもクセがなくて「煮ても焼いても食える」し、出し汁を良く吸うので好みの味を付けられるし、身が厚くて歯ごたえがあるし、大きいので食べごたえがあるし、煮崩れしないので何回も煮返しができるし。ウチでは最上級品は網で焼いてオロシで食べ、次は大きく裂いて鍋物にどっさり入れます。余れば塩漬けにしておいてお雑煮の具になります。バター炒めもいけますねえ。スペインやギリシャなら、たぶん例によってオリーブ油まみれにして食べているんでしょう。
 極めて繁殖力(菌力?)の強いキノコで、樹種を問わず、立ち枯れの木の幹にも、倒木にも、まだ生きている木にさえ(たぶん弱っているのでしょうが)出ます。奥山にも里山にも、平地にも出ます。強いだけあって、よほどの大木でない限り、1年で木を「食い尽くして」しまい、次の年に同じ場所に行っても見つかりません。その代わり、大抵の場合、近くの別の木に「取りついて」います。じゅうぶんな湿り気が必要なので、北斜面とかじめじめした感じの林で探します。
 採る時期は冬です。11月も末になって、木枯らしが吹き、初霜がおり、できれば初雪が降る頃になると、熊も冬眠に入るし、木の葉もすっかり落ち草薮も枯れて、遠くまで見通しがきくようになります。防寒具で厚く身を包んで、いよいよ御出陣。あっちの沢、こっちの谷、とうろつきながら、立ち枯れの木や倒木を探しまわります。気象条件(低温多湿)さえ合えば、けっこう沢山見つかります。もっと早い時期にも出るのですが、何しろ虫たちの大好物でもあるので、たいてい先を越されてしまいます。表面はナメクジが食い荒らすし、傘の裏には羽虫が卵を産みつけるし、中には小さな蛆虫が這い回っています。場所さえ分かっていれば、2月の雪の中でも冷凍保存されているのが採れます。いつかテレビで、東北だったか北陸だったか、「カンタケ」と称して雪深い中で採っているのを見たことがあります。
 菌力が旺盛なせいで、栽培も容易なようです。昔は「信州しめじ」と称してビン栽培したや不味そうなのを売っていましたが、この頃は「原木栽培」に変わって、「天然もの」と遜色ないものが大量に出回るようになりました。うまくいけば良い値が付くので、山村の副収入源としてはナメコやクリタケより人気があるようです。しかしながら、なかなか安定した収入源にならないだろう、と見ています。経費もばかにならないようです。栽培しているところをしばしば見かけますが、(たぶん)乾燥防止と虫除けのために「畑」全体に寒冷紗をかぶせる必要があるのに加え、原木は毎年取り替えなければならないし、ちょっと時期を外せば「流れてしまって売り物にならない」しで、なかなか大変なようです。里のまわりの山林を歩いていると、収穫の時期をのがして、そのまま放ったらかしになったヒラタケの畑がごろごろしています。
 
 

 
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