一平のペンとギター

僕らしい小説を書き、僕らしい歌をうたう、ぞ♪、ペンとギターの一平です。ギター弾き語りと小説書きの二刀流。

一年を振り返って-「人」:スナックのマスター70才

2007-02-24 12:15:26 | Weblog

   

   ●70才の、歌が大好きな、スナックの老マスター

 僕の住んでる町の駅から二つ目の駅に、焼き鳥屋、がある。そこの、レバー、が分厚くて、ボリュームがあり、美味い。思い出したように、年に2回ぐらい、食べたくなる。始めて、店に入ったのは、25年くらい前。 

 昨年の晩秋のある日の夕方だった。

 書いている小説が一段落した。そんなとき、ふらっと、何処かへ、あてもなく行きたくなる。なぜか、ふと浮かんだのが、あの 「レバー」。

 「あのレバー、食いたいなー」 仕事場の小さな書斎を出てリビングに行った僕は、ソファーで新聞を読んでいた妻に、呟いた。

 「じゃ、行きましょうか」

という訳で、電車に乗って、その焼き鳥屋さんへ出かけた。

 ボリュームがあり、分厚いレバー。甘いたれ。ちょっとしょっぱい塩。この2種類、に燗酒。レバーの串を5,6本も食べれば、腹いっぱいになる。風邪が冷たくなり、冬が、すぐそこまで来ていた。酒が、腸に沁みる。

 店を出て、妻と、何処へ行くでもなく、ぶらりと、駅前のなだらかな坂道を降りていった。坂道が終わって、平坦な道になった。何度か、歩いたことがあった道だった。ふと右手を見ると、つたが絡まった小さな喫茶店のような建物が目に入った。窓はステンドガラス。前にも、見たことがあった。が、通りすぎるだけだった。

 その日に限って、あの店は、どんな店かな、と思った。近寄って、看板を見た。「リバーサイド」と書かれている。耳元で、かすかに、サラサラ、音が聞こえる。水が流れる音。道路沿いに、ひっそりと、小川が流れていた。こんなところに川が・・。

 「どんな店、かしら?」妻が言った。「のぞいてみたら」と付け加えた。僕は、ステンドガラスの向こうを、覗いて見た。長いカウンターがあった。ウィスキーのビンが、棚に並べてある。客はいない。

 「入ってみよう」 僕たちは、ドアを開けた。

 スナック、バーだった。外国映画に出てくるような感じの店。客は、僕と、妻だけ。ウィスキーを飲んだ。バーボン。3杯目だった。

 カウンターの中で、僕達を接待する中年の女性が

 「歌は。どうです?」と言って、カラオケの本を持ってきた。

 「歌は、お好きですか?」

 「はあ、大好きです。路上弾き語り、してます」

 「あら、歌ってください、な」

 僕は、立て続けに、《月の砂漠》、《君を忘れない》、《千の風になって》、《シェフ》、を妻が1人でそんな・・・!と途中で止めるのを振り払って歌った。歌い終わって、3杯目のバーボンをゴクリとやった。

 「あなたの弾き語りが聞きたいですわ」と、その中年の女性店員が言った、その時、店に、蝶ネクタイをした黒のスーツを着た僕と同じくらいの年恰好の男が店のドアを開けて入ってきた。

 「あら、マスター、お早いじゃない。お帰りなさい」女店員が言った。その男は、「やー、店周りもつらいねー」と言った。

 自分の店では、一切飲まない、という。人の店に行って、飲んで歌ってくる、という。それが、習慣みたいになっちゃって・・と。店は、40年、やってきた、と。僕が61だから、僕が、21才のときからだ。なんと、僕と同じくらいか、と思ってたら、10才も上だった。肌もつやつやして、元気はつらつ。髪も黒い。若い。歌が大好きで、昔は、この店にプロの歌手を呼んだ、と。当時の金で、30万くらい払ったこともあった、とか。 

 「このお客さん、路上で弾き語りをなさってる、ンデスって。歌、味があって、よ・・・」と、中年女性店員が、マスターに言った。

 それから、話が盛り上がっちゃった。中年女性店員が、あの、千の風・・・って言う歌、も一度、聞かせてください、と言った。僕は、歌った。

 「この店で、早い時間なら、ギター持ってきて、歌ってもいいですよ。練習のつもりで、やってください」

 と老マスターが、僕に言ってくれた。

 あの、レバー。そして、ステンドガラス。リバーサイドという看板。小川。バーボンと歌。

 その晩、二人は、すっかり、いい気持ちになって電車に乗って、帰ってきた。

 それから一週間後のある夜、僕は、あるライブハウスでの出演の帰りに、ギターをもって、リバーサイドに立ち寄った。  

 9時過ぎで、客も、結構いた。若い客が多かった。マスターが、一平さん、ちょっと、弾き語りを聞かしてくれよ、という。そのつもりで、来たのだった。若い人が多かったので、僕は、僕の師匠の曲、「シェフ」を歌った。そして、わが師匠、工藤慎太郎のことを客に話した。「シェフ」は、若い人たちに好評だった。嬉しかった。

 店を出る時、

「この、《シェフ》、と、《千の風になって》、を、隣の駅のコンコースで月に一回、ある人がやっている駅構内コンサートで、来週の日曜日、午後一時から、僕が出て歌います。是非、聞きに来てください」

 と、マスターや、お客に、僕は言ったのだった。

 その駅は、僕が「ギター弾き語り」を始めるきっかけになった場所だった。2年前の冬の夜、駅近くの歩道橋で、ひとり、弾き語りをしている青年、の前を僕は通りかかった。塾の講師のバイトの帰りだった。誰も聞いていなかった。僕が、彼の前を通りかかった時、僕の耳に飛び込んできた「やわらかく透き通った歌声とギターの切ない響き」、が一瞬、僕の心にしみこんできて、僕は、足を止めていた。じっと、僕は、その青年の弾き歌い、に酔いしれた。そして、思った。

 《この、弾き歌い、が僕が、求めていたもの、だ》と。

 僕ひとりの客に向かって、一生懸命に弾き歌い、終わった青年が、こう言った。

 「この先の、ライブハウスの店で、僕のライブをこれからやるんです。聞きにきませんか?」

 僕は、躊躇することなく、うなずいて、彼の後に従った。そのライブの後で、マスターが一平さんも、何か歌ってください、と言った。そこで、歌ったのが《神田川》とか《なごり雪》だった。僕は、その青年と、友達になった。その後、何度か、そのライブハウスの店での彼の弾き語りを聞き、また、歩道橋での路上ライブでは、僕も、ギターを持ってゆき、一緒に歌ったりもした。時には、一平さん、どこかいい歌う場所この辺にないですかね、の彼の質問に、ここなら、改札から出てくる人が必ず足を止める、と僕は思い、彼と改札口を出たところのコンコース(駅構内)で、二人並んで、弾き語りを始めたことがあった。一曲、歌い始めたら、駅員さんが、飛び出してきて、ここではやめてください、といわれて、早々に退いたことがあった。

 始めて、青年に会ってから、半年後、僕は、そのライブハウス店で、僕の初ライブ、をした。

 青年が、前日から、僕の家に泊まってくれて、10曲ほどのリハーサルをした。僕のギターの腕では、お金は取れないから、ギター伴奏は彼がしてくれることになった。僕が考えた、プログラムを、修正もしてくれた。彼との、コラボレーションの《なごり雪》。彼の、独演《声をなくして》。日曜の午後1:00から3:00までの、生まれて始めての、弾き語りライブ、が出来た。僕は、あの、歩道橋で出会って以来、僕のギター弾き語り、の師匠は、この青年しかいない、と思って、やってきた。

 その青年は、2年後、《シェフ》でプロデビューした、工藤慎太郎さん、です。彼は、26才。僕は61才。

 さて、リバーサイドで、マスターやお客に、僕が出演すると伝えた隣の駅のコンコースは、2年前、慎太郎師匠と歌って駅員に退去を言われた場所だ。師匠が連れて行ってくれ、僕も初ライブをやった店、のオーナーが、駅と交渉して、今年から、月一回第3日曜日の午後、3時間、コンコースライブを始めたのだった。

 昔、まだ無名の慎太郎師匠と、二人並んで、歌い始めたら、駅員に、やめてくださいといわれた、その場所!

 そこで、歌える。師匠と一緒に歌いたいが、師匠は、忙しい。その日、ラジオ出演がある。でも、夢のよう・・・・。

 しかし、店のオーナーから、出番の時間など、連絡が全くないので、電話をしたのが、ライブ4日前だった。

 「一平さん、申し訳ないけど、出演者が多くて、次回にしてもらいたいんだけど・・」

 という答え。

 目の前が真っ白。奈落の底に突き落とされた気分。がっくり。涙が出てきた。悔しい。コンコースで、僕の出番ありますか、と僕がオーナーに聞いたとき、一平さん、に歌ってもらうよ、と、確かに言ったじゃあないか!エーイ、くそ!

 僕は、2,3日、落ち込んだ。日曜日になった。コンコースには行くもんか、と思った。ライブ開演時間の1:00pm。家で、ソファーに横になって、うとうとしてた。

 2:00。2:30.3:00pm。

 ふと、思った。こっそり覗いてみよう。師匠と並んで、4,5分だけライブをやった、あのコンコースを。そおっと、わからないように、覗いてみよう・・・。と。

 僕は、何も持たずに、ジャンバーを引っ掛け、野球帽をかぶって、電車に乗った。確か、4:00までだ。

 僕が、その駅に下り立ち、改札口へ近づいたとき、バンド演奏する大きな音が、構内に響いていた。マイクが3本立って、三人の男が、エレキギターを持って、歌ってる最中だった。3人とも、僕と同じくらい、いや少し若い年恰好だった。

 僕は、両手をポケットに突っ込んで、野球帽を深深とかぶり、改札口を出た。エレキの爆音が顔にあたった。僕は、そおっと、バンドを取り囲んでいた群集の中に立った。なんと、7,80人はいる。

 ここで、歌えるはずだったのに・・。歌いたかった!

演奏が止んだ。今歌っている男達の紹介を、メンバーがしている。

 昔、「・・・・-ズ」のメンバーだった、・・・さんですー。と。テンプターズ、だか、なんだか、「・・・-ズ」だけ聞こえた。若い頃、売れっ子だったシンガーらしかった、が僕は知らなかった。次のメンバーは、松田勇作の曲を作った、・・・さん。

 ヘー!すごい人がでてらー。僕は、びっくりした。

 僕の出番は、まだないんだな。昔鳴らした人を一杯知ってるオーナーだから、僕は、末席の末席なんだ、な。昔、鳴らして今、僕ぐらいの年齢のミュージシャン達が、多い。僕は、今始めたばかり。昔の栄光か・・・。

 僕は、かぶってた帽子を脱いだ。素の僕になって、見回した。オーナーがいた。店の、僕を知っている店員の顔が、いくつかあった。僕にきずいてもいいや。黙って、帰ろう、と思った。

 と、その時、僕の背後で、声がした。そして、僕の肩を、ポンと軽く叩いた人の気配がした。

「一平さん、やっと会えた。いつ出るか、いつ出るか。と一時から待ってたんだけど、出ないし、あの係りの人にも聞いてみたんだけど、わからないし・・・いや、会えてよかった。そろそろ帰ろうと思ってたんだよ。一平さん」

 なんと、リバーサイドのマスターだった。隣には、小柄な美しい老婦人がいた。

 「あーー、すみません。急きょ、出場できなくなってしまったんです」僕は、平謝りに謝って、でも、嬉しかった。僕の、弾き語りを、聞きに来てくれたんだから。

 「来て下さって、本当にありがとうございました。今度、やるときは、必ずお知らせします。こういう事がないようにします。ありがとうございました」

 「あの、それから、これ、店にこの間、忘れたでしょ」

 マスターの手に、僕のマフラーが乗っかっていた。忘れたことにも、きずかないほど、あの晩は、よったのか。

「この《シェフ》と《千の風になって》、駅のコンコースで、僕歌いますから・・・」と言って、店を出たのだった。

 これから行かなきゃ行けないところがあるので、わたしはこれで、一平さん、と言って、老マスターは美しい御婦人と腕を組んで改札に消えた。

 やがて、演奏が終わった。店のオーナー、駅長が挨拶して、終わった。僕は、三々五々散ってゆく人々の中にいた。人の群れの中に、僕への若い女性の視線を感じた気がした。僕が、そっちを見ると、もう、視線を送っていた女性の歩く背中しか見えなかった。確か、リバーサイド店のカウンターの中にいた、僕がシェフの弾き歌いをした後、唯一、その歌知ってます、と言った、ハタチくらいの女の店員に、似ていた。あの女の子も着てくれたのかも・・・・・・・・。

 数日後、リバーサイドに行った。マスターには、その日、あえなかった。最初に、妻と店に入ったとき、カウンターにいた中年の女性店員がいた。駅コンコース・コンサートの話を僕はした。マスターが、美しい奥さんと、来てくださったンですよ・・。と。

 「あら、一平さん、マスターの奥さんは、もう、なくなって、20年くらいになるのよ。あれから、1人で、この店やって、子供の面倒を見て、来たのよ。その方、きっと、お客さんよ」 

 

 

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一年を振り返って-「人」:(8)二人の少年。

2007-02-10 03:11:31 | Weblog

         

      ○ 二人の少年 と「シェフ」♪

 

 女の人が持ってきたくれた麦茶を、一気に飲んで、フーッと、一息ついた。終わった、やった、と思った。ギターケースに、譜面をいれ、ハーモニカをいれ、パチンと、フックをした。宮田さんや教会の皆さんに挨拶して、さあ、帰ろう、と思った。とその時、低音の、太い、ホルンの音が、ドア越に聞こえてきた。

♪ボボボボボー ボボボボー ボボボ ボボボ ボボボボボー

「夢見る人」のメロデイーだ。 

 あれっ!?

 そうか・・・・。これから、宮田さんの、後半の演奏だ、った。僕は、前半と後半の間の、飛び入り出番、だったことを思い出した。

 僕は、部屋から、そおっと、出て、礼拝堂の一番後ろのほうを見ると、前半に、坐っていた席、が、そのまま、空席になっていた。僕は、また、その席に坐った。

 宮田さんが、おおきなカタツムリを抱えて、ほっぺを膨らませて、いる。♪ボボボボボー、、 夢路よりー、、Beautiful dreamer ....♪、の曲が、低音の太い音で、ゆっとり、流れている。

 宮田さんが立って演奏いている講壇が、すぐ、眼の前の、手の届くところにあった。こんなに、近くだったっけ? 

 ホテルの八木さんから財布を受け取って、自転車を飛ばして、そおっと、礼拝堂に入ってきて、腹の底に響いた、アメイジング・グレイスのメロデイー、を思い出した。  

 あの時は、あの講壇が、高くて、遠くにある山のように見えた,のに・・・・。こんな、近くだったっけ。その講壇で、僕は、さっきまで、弾き語りを、していた・・・、シンジラレナーイ! 

 僕は、全くの一観客に戻って、宮田さんの、ホルンの吹奏に酔いしれた。生まれて始めて聞く、「ホルン」コンサート。それも、超一流の、奏者の、だ。 聖書に出てくる、「角笛」の響きは、この音、だそうだ。ということは、2000年以上前の人も、この音を聞いていた、ことになる。なんだか、不思議な気持ち、になって、僕は、礼拝堂にいた。

 エルガー、の「愛のあいさつ」、サンサーンス、の「ロマンス」は、可愛い、メロデイーだった。ポップスっぽい、どこかで聞いたことがあるような、懐かしい響き、だった。

 「花の街」は、僕が知っている曲だった。

 ♪七色の谷を越えて 流れて行く 風のリボン

  輪になって 輪になって・・・・・・・・・・・・・・・

 この歌詞が、戦争の焼け跡、瓦礫の山と焦土に見た幻想・・・だったとは?とすると、焼け跡、焦土に立って、頭によぎってくる、焦土になる前の街、の幻想を、歌っているんだ・・。それにしても、そんな感じが,しない曲だ。いつか、PTAのお母さんコーラスの指導をした事があったが、その時、歌ったような気がする・・。そんな詩、とは知らず、、。

 「アレルヤ」。 

 アンコール、の「白鳥」

の演奏で、宮田さんの吹奏、は終わった。

 礼拝堂の時計は、4:00pm、を指していた。

 あの朝方が、今朝、とは思えなかった。何日も前のように思える。眼が覚め、二日酔いで、顔が、ぽっ、ぽっ、ほてって、チェックアウト寸前だった。 ふと、「教会へ行って、祈りたい」と思った。

 そして、今、こうして、全く想像もしなかった時間を過ごした僕が、ここに、いる!

 ギターを持って、後片付けをしている牧師さんや教会員の皆さんの、「ありがとうございました、気をつけてお帰りくださいね」の言葉に、僕は、ギターを片手に、お辞儀を何度も繰り返して、最後に、宮田さんに、パソコン手作りの名刺-【小説家志望一書生、山中一平・ブログ「一平のペンとギター」住所 横浜市・・・・・Tel 332・・・・】を手渡した。宮田さんも、名刺をくれた。

 神奈川県、大和市・・・・・。なんと、僕が住む町から、電車で30分ほどのところにお住まいだった。そして、○○キリスト教会会員、ギデオン協会、・・・、とある。その教会へ、僕は、20年ほど前に、一度だけ、行ったことがあった。また、ギデオン・・とは、無料で、聖書を配布する活動をしている協会だ。ホテルや学校に。僕も、昔、自分の学校に、ギデオン協会から聖書を取り寄せ、全校生徒に配ったことがあった。

「稚拙な弾き語りで、失礼しました。お役に立てて、嬉しく思います。ありがとうございました」

「いやいや、素敵でした。ありがとうございました。わたしも、今日、新幹線で、帰ります。気をつけてください」

 今度は、僕が右手を出した。宮田さんも、右手を出して僕の手を握った。宮田さんの、涼しい瞳が、優しかった。礼拝堂を出て、教会の玄関で、僕は、靴を履いていた。

背中に人の気配がして、僕の肩を、ポンポン、軽く叩く者がいる。

振り返ると、

 少年が、二人、

並んで、僕にお辞儀をしている。

「あのー、音一平さん。ぼく、あの、シェフ、の歌、ラジオで聞いて、知っています。大好きなんです。この前、テレビで、工藤慎太郎さんを見ました。今日は、シェフが聞けて、ほんとによかったです。」

 と言った。その言葉のしゃべり方が、どこか、ちょっと変だった。口の動かし方が、のろい。が、それとは逆に、眼の玉は、クルクル早くまわっていて、光っている。

 横に立っていた、少し背の低い少年が、「ぼくも、、、。」と付け加えた。

 思いもよらぬ少年の言葉。

 僕は、びっくり仰天、驚愕した。慎太郎師匠と、こんなところで、出会えるなんて・・・♪ 

 慎太郎師匠、師匠の歌を、北上の町の少年がラジオで聞いて、その心に沁み、フアンになってますよ。。。♪

 二人の少年と、握手をして、教会を出た。青空にくっきり見えた白い十字架が、夕日に、赤く染まっていた。僕は、「シェフ」を歌ってよかった、と思いながら、自転車のペダルを、ホテルへ向けて、漕いだ。

                                                                         おわり。

 

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一年を振り返って-「人」:(7)僕の弾き語り。

2007-02-08 21:15:16 | Weblog

    ○アメイジング・グレイス。シェフ。

 

 僕は、講壇の真ん中で、2本のマイクの前の椅子に坐っている。肩から吊るしたギターを、左腕と右腕の間に挟んで、太腿で支えている。首からは、ハーモニカを吊るしている。 「母さんの歌」を歌い終わって、会場一杯に拍手が鳴り響いている。3列目の、おばあちゃんは眼を潤ませて、ハンカチを持ったまま、拍手している。                   

「次の曲は、アメイジング・グレイス。英語と、日本語いっぺいバージョンで」

 あかべら、で、歌い始める。 「アーメー ヅィン グレェース  ハウ スウィートゥ♪・・・・・・・・・

 途中から、ギターの弦を弾く。ポロロロロン ポロロロオン・・

一番だけ、歌い終わって、一平日本語バージョン、を歌う。ぼくの こころに ひびく こえ、ぼくの くだけた こころ♪・・・・・ 

 歌いながら、つい先ほど、礼拝堂に戻ってきた時、腹の底に響いた、宮田さんの吹いたホルンの響きが、頭の中で、聞こえた。低音の太い、ゆったりとした響き。宮田さんは、左側、最前列に坐って、僕の歌声を聞いている。時折、宮田さんと眼が合う。そのたびに、宮田さんは、うなずいて、首を、軽く立てに振る。

 歌い終わって、すぐ、ぼくは、拍手が鳴るか鳴らぬ間に、語り始める。

僕は、28才の頃、悩みのどん底にいました。ふと、教会の礼拝堂から聞こえてきた歌声が、僕の傷つき折れてヒリヒリ痛む心に、染みてきました。一年ほど、教会に通うようになりました。日曜日、賛美歌を歌い、祈りました。すると、眼が潤み、涙がこぼれ、不思議にも、僕の心の、痛み、がスーッと消えました。でも、一日もすると、また、心が、ヒリヒリ痛みました。また日曜日、賛美歌を歌い、祈りました。また、涙が溢れ、痛みがスーッと、消えました。2年後、牧師さんが、洗礼を受けませんか、と薦めてくれた。

 歌って、祈る。聖書の言葉を、聞く、読む。僕の心の中に、スーッとはいってきました。そして、心が、元気を取り戻しました。

 ある時、教会の末席にいつも坐っている、片足がなく、片目が潰れた白髪の老人が、僕に、聞きました。君は、これからの人生の海を、神あり、として泳ぐか、神なし、として泳ぐか、そのどちらかね? と。僕は、それまで、神あり、なし、を考えたことがありませんでした。老人は、続けました。 君、神あり、にかけて、これからの人生を泳いでみなさい。神なし、に賭けるか、神あり、に賭けるか・・・。どちらかだ。・・・。

 祈り、歌うと、心の痛みが、スーっと消えて、心が元気になること。牧師さんが薦めてくれたこと。老人の、神あり、に賭けなさい、の言葉で、2年後、30才のとき、神あり、に賭けて、海に飛び込みました。あれから、31年。今、僕は、アメイジング・グレイス、を歌えて、嬉しく思います

 僕は、喫茶店で考えた、台本にはない《語り》を、長々していた。次の歌は、「夢見る人」だ。礼拝堂の壁にかかっている時計が見える。

 3:06pm を差している。始めたのは、2:50pm。後、14分。

次は、僕が、学生時代、うたごえ、をやっていた頃の歌で、イムジン河」

 ハーモニカで、前奏、 同時に、ギターでポロロロン伴奏。

 歌いだす。

イムジン河 水清く 静かに 流れ行く・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・とうとう流る

 僕は、「夢見る人」をやめた。母さんの歌、を3番まで歌っちゃった。アメイズングの語りが、長かった。よし、次は、「千の風になって」だ。語りは短く。

自分の大切な人を失ってしまった人に、この歌を贈ります。

 ♪わたしの おはかのまえで なかないでください そこに わたしは いません ねむってなんか いません、せんのかぜになって せんのかぜになって あの おおきなそらを ふきわたっています・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・♪

最後の歌になりました。61歳の僕が、弾き語りを、本格的に始めたのは、26才の青年と、2年前、路上で知り合ったのがきっかけでした。その青年を、僕は、僕の師匠だ、と思って、精進しています。その青年、工藤慎太郎さんの歌、シェフ、お聞きください

 僕は、深呼吸をして、師匠の歌を、歌った。

 《前奏》-ハーモニカとギターの共奏。

 《ギターでの弾き歌い》-慎太郎がイタリヤ料理店でアルバイトしてるシーン。シェフから励まされる。夢を捨てちゃいけねーぞ、と。

 《中奏》-ハーモニカとギターの共奏。

 《ギター弾き歌い》-二人の子供と奥さんを、優しく見つめながら、シェフが、さびしそうに慎太郎に言う。生き方に、レシピは、ねえんだよ。雨にも、風邪にも、負けない心を持て!と。慎太郎、あれ、歌ってくれ・・・。

 《後奏》-ハーモニカとギターの共奏。前奏と、若干、音を変える。

 ハーモニカの、糸のような音色。ギターの弦の、流れ星のように消える音。イタリヤ料理店で働く、若き、歌手志望の、無名の青年、と、人生半ばまで来た、シェフ。頭の中は、慎太郎とシェフが浮かんで、二人の、シーンが浮かんできて、観客は、見えなかった。また、歌うことで、必死だった。 

 歌い終え、後奏を終えた時、トンネルから出た時みたいに、突然、目の前に、観客が、パッと現れた。そして、拍手の音が聞こえた。僕は、立ち上がって、お辞儀をした。拍手の音が大きくなって、怒涛のようになった。僕は、ギターを肩からはずし、ハーモニカも首からはずして、手に持ったまま、また、お辞儀をした。

 最前列に坐っていた宮田さんが、席を立ち、講壇に昇ってきて、僕のところに来て、

「音 一平さん、ありがとうございました」

と言って、握手を求めてきた。僕は、ギターとハーモニカを椅子の上に置いて、右手を出して、宮田さんの手を握った。

 夢のようだった。礼拝堂で、弾き語り、歌えた!大役を、果たせた! 

 控え室の部屋に戻って、ギターケースに、ハーモニカや譜面をしまいこみながら、夢のまた夢が、実現しちゃったことに、僕は驚いていた。ドアが開いて、中年の女の人が、お疲れ様、ありがとうございました。素敵でしたよ。お茶をどうぞ、と言って、冷たい麦茶を持ってきてくれた。

 

 

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一年を振り返って-「人」:(6)魔法のジュウタン

2007-02-08 21:09:49 | Weblog

   ○魔法のじゅうたん。そして、出番♪

 

 がんばってくださーい!

 天使の声に思えた。背中に聞こえた八木さんと女の子の声が。Gパンの尻の右ポケットの中の「財布」が、、自転車を漕ぐたびに、尻に当たる。 

 一寸前は、谷底にまっさかさまに落ちてゆく僕。あー、もう駄目だ、と思ったとたん、空飛ぶジュウタンが現れ、僕を拾った。そして、今、空を飛んでいる。自転車のペダルが軽やか。このペダルを漕いでいると、何処までも飛んでゆけるような気がする。脳梗塞になり、会社を辞めざるをえなくなり、治療、リハビリ後、ホテルの従業員になって、高校生の息子のために頑張っている八木さん、の、がんばってくださーい、がまた耳元で聞こえる。ありがとー。がんばるぞー、八木さん!と僕は、叫ぶ。やがて、見えた。白い十字架が、青空にくっきりと。

「北上聖書バプテスト教会」。自転車を飛び下り、後輪に鍵をかける。その後輪の覆いに「グリーンホテル北上用」の小さな白い文字が目に入った。八木さんの顔が、よぎる。

 礼拝堂から、低音のゆったりした太い響きが、聞こえた。あの大きなカタツムリが発する音。縄のような太いメロデイー。教会の玄関に、そおっと入る。聞いたことがあるメロデイー。忍び足で、礼拝堂に入る。急に、低音の太い音が、腹に響く。あっ、アメイジング・グレイス、だ♪

 会堂内を恐る恐る見る。ひとつだけ空いている一番後ろの末席。その上に、プログラムと紙切れが、無造作に置いてある。思い出した!僕は、あの席にプログラムと歌う順を書いた紙切れ、を置いて、トイレに行ったこんだ、、、、、、。そして、それから、、、、、、、、、、。ずいぶん、昔のことのような気がした。まるで、僕は浦島太郎になったみたいだった。

 椅子に、そおおっと、坐る。また、恐る恐る顔を上げ、講壇を見た。宮田さんが、あのでっかいカタツムリを、ほっぺを膨らませて、目をつぶって、吹いている。目をつぶって、、。僕は、ほっとして、席に坐りなおし、背筋を伸ばして、宮田さんの演奏に集中した。

 ぶぶぶー、ぶぶぶぶ、ぶぶぶー、ぶぶー ♪

(I once was lost but now I'm found) のところだ。 

全く、僕の頭の中から消えていた記憶が、蘇った。この曲を僕は、弾き歌うんだ、そうだ、、、。

 ぶぶぶー、ぶぶぶぶー、ぶーぶー。♪

(Was blind but now I see.) 最後のところ。

 アメイジング・グレイスの演奏が終わった。宮田さんが、目を開けて、お辞儀をしている。会場内を、見回して、また、お辞儀をした。その時、僕を、一瞬、見た様な気がした。が、宮田さんは、何もなかったように、今度は、マイクの前で、語りだした。

「次の曲は、前半、最後の曲になりました。「誰でも」という曲です。福音を知らせるラッパの響き、をお聞きください。皆さん、福音、とは、よい知らせ、グッドゥ、ニュース(good news)という、意味です。良い知らせ、とは、救い主キリストがあなたとともにおられる、というようなことです。皆さん、路上で、救世軍が、鍋を持って、トランペットを吹いているのをお聞きにになったことありませんか?今日は、ホルン、聖書に出てくる、角笛、でお聞きください。」

 聞いたことがあるような気がする、賛美歌だった。

 この曲が終わったら、僕の出番だ、とその事ばかりが気になって、ソワソワしだしている僕がいる。そっと、手に握っていた紙切れを見る。

《「北の国から」「エデンの東」・語り-自己紹介、歌の紹介・「Amazing Grace」「月の砂漠」「母さんの歌」・語り-歌の紹介・「夢見る人」「イムジン河」・語り-歌と僕・「シェフ」「千の風になって」。終わり》と走り書きで書いてある。喫茶店で、考えたイメージと選曲、を思い出した。そう、ハンバーグの味を思い出した。美味かった。遠い昔のような気がする。でも、はっきり、思い出した。

 拍手が鳴っていた。講壇で、ホルンを持ったまま、宮田さんが何度もお辞儀をしている。しばらく、拍手が止まなかった。

 僕は、控え室の奥の部屋にいた。テーブルの上に、僕のギター、ハーモニカ、譜面、が並んでいる。

 宮田さんが、演奏を終え、長い拍手が止み、10分、休憩です、と言って、僕を見て、奥の部屋を、指差してから、僕は、トイレに2度も行った。あれから、ソワソワ、が始まった。心臓が、ドキドキ、鳴っている。ふわっと、体が浮いているような感覚。顔が、ほてっている。サイフ、さいふ、財布、と自転車を走らせた時、弾き語りのことは、頭から、ぶっ飛んでしまった、ように、今度は、ポケットの財布、のことは、頭から、全く消えていた。

 そろそろ、時間だ。出番だ。僕は、深呼吸を、3度して、首を2,3回、まわした。肩からギターを掛け、首にはハーモニカをぶら下げ、譜面を、手に持つ。

 会堂が、静かになった。シーンとなった。宮田さんの声がする。

「皆さん、今日は、飛び入りで、特別ゲスト、をお迎えしています。」

 会堂で話している宮田さんの声が、ドア越に、聞こえて来る。

「横浜からいらした、ギター弾き語りシンガー、の、音一平、さんです。では、御呼びしましょう。音一平さーん!」

 さ、来た!時が来た!いざ、出番。

 僕は、ギターを持ち、ハーモニカを首にかけ、譜面を持って、ドアを開けた。拍手が鳴った。講壇に登って、中央に進む。直立のスタンドマイクと「く」の字に曲がったマイクの前に、置いてある、椅子に坐る。

 お辞儀をする。拍手が、一段と大きくなる。頭を上げ、ハーモニカを銜(くわ)えて、ギターを抱えた。

 拍手が止み、会場がシーンとなる。水を打ったように静かだ。僕は、この、空気が好きだ。この静けさの中に身を、しばし置く。会場の観客を見る。顔顔顔・・頭頭頭・・目目目・・。この人たちの、心に向かって歌おう、と心の中で呟く。

 僕は、口に銜えたハーモニカを、吹き始めた。ハーモニカの、糸を引くような音が、会堂一杯に響き渡る。その音が会堂を一周して、また、僕の耳に戻ってくる。右指が弦を弾く。ギターの流れ星のようにすぐ消える弦の音が、加わって、会堂の空気が、虹色になる。ステンドガラス越しに差し込む光に、ハーモニカとギターの和音が、弾ける。

  ♪「北の国から」続けて、♪「エデンの東」

 吹き,弾き終える。会堂に拍手が起こる。

 僕は、口に銜えていたハーモニカを口から放し、ギターは抱えたまま、お辞儀をし、

「おと、いっぺい(音一平)です。よろしく」

 と言った。

 拍手が、一段と大きくなる。僕は、首輪をつけられて、つながれた犬みたいに、観念して、腰が坐っていた。会堂を見渡せる。観客の顔顔顔が見える。観客全員の視線が、僕に集中して耳を澄ませている。中には、僕の眼を見ている人もいる。観客の心、心、心と、僕は今向き合っている。僕の口から、言葉が出る。

 「当年とって、30プラス、31才、の61才です。路上で、ライブハウスで、童謡、唱歌、日本のなつかしのメロデイー、世界の民謡、ポップス、を歌っています。飛び入りで、皆さんの前で、弾き語り、弾き歌いが出来ることを感謝します。宮田さんは、ホルンの、吹き語り、でしたが、僕は、ギターの弾き語り引き歌いを、します。まずは、童謡と唱歌から。月の砂漠、母さんの歌。」

  ♪つきのー、さばくをー、はーるーばると 

   たびのー、ラクダがー、ゆーきーました

   きんとー、ぎんとのー、くらー、おいてー

   ふたつー、ならんでー,ゆきー、ました♪

ギターの弦を弾く、ポロンポロンという音が、僕の歌声を支えてくれる。

 ♪かあさんが、よなべをして、てぶくろあんでくれたー

  こがらしふいちゃ、つめたかろうて

  せっせと、あんだだよー

  ふるさとのたよりもとどく

  いろりのにおいがした♪

 僕は、弾き歌いながら、耳を澄ませて聞いている、観客席の人々の心の呼吸や気配を感じた。

 「ふるさとのたよりもとどく♪」のところに差し掛かったとき、観客席の中の、3列目に坐っているおばあさんの顔が目に入った。おばあさんの頭が、僕の歌のリズムに乗って、ゆっくり左右に揺れている。眼をパッチリ開いて、僕を見ている。時折、手に持ったハンカチを眼に当てる。「いろりのにおいがした♪」と歌い終わった時、おばあさんの眼が潤んでいた。その時、僕の心に、こみ上げてくるものがあって、僕は、また「囲炉裏の臭いがした♪」をもう一度、ゆっくり繰り返して歌った。一番だけ歌おうと思っていたが、ギターの伴奏をつづけて、2番も、3番も歌ってしまった。僕は、僕の前に坐って、聞いているあのおばあちゃんと、この時間を共有している、と感じて歌っていた。この、共有感、この刹那・・・。 

                     ・・・つづく。

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一年を振り返って-「人」:(5)頭の中が真っ白!

2007-02-05 12:00:23 | Weblog

        ○あってくれー。たのむ!

         

 あってくれー、たのむ!

僕は、そう叫びながら、駅前の、喫茶店前に自転車を止め、店に飛び込んだ。財布を、トイレに置き忘れたかもしれないこと、を話した。トイレに、行って見た。が、トイレットペーパーのリールの蓋の上には、財布はなかった。店の中年のマスターも、あれから、トイレに行っていない、という。男のお客が1人、あれから来て、コーヒーを飲んで20分ほどいて、帰った、と。彼がトイレに行ったかどうか、覚えていない、と。

 もし、この喫茶店,なら、その男が、僕の財布を持っていったことになる!だ、としたら、すぐ、届けねば・・・。銀行への連絡・・、保険証、はどうする?・・・。いや、ホテルかも知れない・・。

 喫茶店のマスターに、届いたら、知らせてくださいと、名刺、を渡して、僕は、また、自転車にまたがり、ホテルへ走る。

 ホテルのトイレは、ちょっと小便臭い、狭い喫茶店のそれと違って、こぎれいで、広く、化粧室みたいだった、ことを思い出した。トイレットーペーパーのリールの蓋の上、か、いや、右側に、たしか、小さな棚があった、そこに、一輪の造花が挿してあった花瓶があった・・。そこまで、は記憶が蘇ったが、後は、弾き語りを、直前に控えて興奮し舞い上がっている自分の姿しか浮かばない。ホテルへの道は、一度走っていたから、迷いなく、突っ走れた。

 相変わらず、ホテルのロビーは静まり返って、カウンターに、人がいない。僕は、ドアを押すなり、すみませーん、大声で叫んだ。奥から、制服姿の若い女の、見たことのある従業員が、顔を出した。すみませーん、あのー、ここに宿泊してたもので、ギターと荷物を、、とそこまで僕が言うと、その女の子は、ハーイハーイ、と言って、うなずき、また、奥へ入って行ってしまった。あれっ、大事な用件を言う前に、行ってしまった。それから、2,3秒して、その女の子と、八木さんが、出てきた。

 「山中さーん、今、教会に、お電話しよう、と思ってた、とこでした。お財布、トイレに置き忘れたでしょ。ホテルの従業員が、届けてくれました。ほんの、ちょっと前に。」

 「えーーー!よかったー! あってくれたあ・・・! 」

 一瞬、本当だろうか。夢じゃないよな。と、思う。目の前で、八木さんの眼が、パチクリ、ニコニコ、嬉しそうに、僕を見た。そして、

 「はい、これ。」

 と、、あの財布が八木さんの手に握られていた。自転車を漕ぎながら、何度も、頭に浮かべた、あの財布、が。

 「中を見させて頂きました。中身、確認してください」

 この街に、もう、何ヶ月も滞在していたような気がした。何日も何日も、財布を捜して、あちこち走り回っていたような気がした。そして、さあ、これで帰れる、新幹線に乗って、帰ろう、と思った。

 「山中さん、もう、2時20分、ですよ。教会に行かないと・・・。」

 「あっ、そうだった。いや、財布だけが頭の中でグルグル廻って、そうだ、飛び入り弾き語り、のこと、すっかり、飛んじゃってました。2時20分ですか。後、20分で、僕の出番だでした。ありがとうございました。」

 「お荷物、お預かりしときます。急がないと。」

 僕は、また、自転車にまたがって、教会へ走った。ホテルの玄関で、、がんばってくださーい、と手を振っていた八木さんと、女の子を、振り返り振り返り・・。

 

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一年を振り返って-「人」:(4)準備万端と思いきや!

2007-02-05 11:53:49 | Weblog

      ○サイフ、さいふ、財布。

        

 喫茶店に入って、一時間余りが過ぎていた。。僕の、教会礼拝堂での、弾き語りのイメージが固まり、なんとか、選曲もできた。三流ギター弾き歌い歌手が、超一流ホルン奏者と、共演! さて、どうなるか。やってみよう、と腹を決める。

 僕は、トイレで大の用を足し、勘定を払って、喫茶店を出た。昨夜の深酒のせいか、下痢気味だ。自転車をとばして、ホテルへ向かう。もう、僕は、すっかり、礼拝堂の講壇で、弾き語っている自分を、頭の中で描いて、風を切っていた。

 ホテルのロビーはひっそりしていた。カウンターにも、人はいない。すいませーん、と叫ぶ。カウンターの奥の部屋から、顔を出したのは、八木さんだった。あら、お帰りなさい、と言って彼がカウンターに出てきた。

 教会はどうでしたか、と聞かれて、おかげさまで、日ごろの不摂生を懺悔できました。小さいけれど、なかなかいい教会でした。で、その教会で、今日、2時から、ホルンコンサートがあるんだそうです。そのコンサートで、僕が、飛び入りで、ギターの弾き語り、をすることになったんです。八木さんは、目をパチクリさせて、あらっ!それは、すごいですねー。これから、ギターと荷物を持って、行くんです、と言った僕に、じゃー、ギターだけお持ちになったら。荷物は、お預かりしときます。自転車も、お使いください、と。ありがたや。ありがたや。

 という訳で、僕は、ギターだけ持って、教会へ行くことにした。また、腹がゴロゴロ,鳴っている。ホテルのトイレで、今度は、大小の用をたした。やはり、下痢気味。八木さんにお礼を言って、ギターケースを左手に持ち、右手はハンドルを握って、教会へ自転車を走らす。がんばってくださーい! の八木さんの声を背中で聞いて。

 礼拝堂は、今朝方、礼拝をした時に、椅子の前にあった横に長い机がすべてたたまれて、会堂の脇に、丁寧に並べられ、会堂いっぱいに椅子だけが並べられていた。真ん中が通路。その両側に椅子が5脚づつ、横に並べられ、それが、6列、になっている。30席+30席、で60席ぐらいある。講壇には、右端のあたりに、直立のスタンドマイクと、「く」の字に曲がったスタンドマイクが置いてある。ほぼ中央に、箱のようなものが置いてあり、その上で、大きなカタツムリのようなホルンが鎮座していた。ステンドガラス越しに礼拝堂に差し込んで来る虹色の光に、鈍く輝いている。その横に、宮田さんが椅子に腰掛けて、天井を仰いでいた。

 宮田さんは、僕を、見つけると、今朝、始めて知り合った、のに、まるで、昔からの知人に向かって話すように、あー、山中さん、そのドアを開けると部屋になってます、そこで、準備してください。準備できたら、席に坐っていてください。私が演奏して、35分ぐらいで、10分休憩を取り、それから、山中さんの弾き語り、です。と言った。

 部屋に入って、僕は、ギターケースを開け、ギターと、ハーモニカと、音叉とカポと、譜面を取り出した。まず、音叉を指でつまんで、机の角を軽く一度叩く。キーン、と鳴る。ラ、の音。ギターを抱えて、第5弦を弾く。音叉のキーン、の音と、ギターの第5弦のポローンのンの音が、重なり、ひとつの音になるまで調律する。ひとつになったら、その音を基にして、他の5本の弦の調律をする。次に、ハーモニカを、首にかけ、吹く。ハーモニカを口にくわえ、「北の国から」のメロデイーを吹きながら、同時に、ギターの弦を右手の指でポロンポロン弾く。メロデイーとポロンポロンの音がお互いに合っていれば、OK。次は、喫茶店で選曲した曲、の譜面を、50余りの譜面の中から選び出す。そして、歌う順番に重ねてゆく。 ギター、ハーモニカ、譜面。 これで、準備OK。休憩になったら、部屋に入り、ギターを肩に掛け、ハーモニカを首からぶら下げ、譜面を持って、宮田さんの、御呼びを、ここで待つ。

 僕は、部屋を出て、一番後ろの末席の椅子の上に、プログラムと、僕が今日歌う曲順を書いたメモ用紙、を置いて、教会の外に出た。北上聖書バプテスト教会の看板、の下に立った。秋晴れの青空に、看板の上の、白い十字架が、くっきり浮かんでいた。

 両手を、思いっきり天に向けて伸ばし、同時に、足の踵(かかと)を思いっきり上げる。前身を、天に向かって伸ばす。12、数える。首を回す。4,5回。屈伸、腕回し、脚の筋を伸ばす。両指を折り曲げ、伸ばす動作を12回。最後はラジオ体操第一。そして深呼吸。複式呼吸、5,6回。

 歌うことは、口や喉、だけで歌うのではない。全身で歌うのだ。だから、体をほぐし、全身が、歌えるように、体を整える。

 ギターを弾くのも、指先だけで弾くのではない。全身で弾くのだ。足の、手の指の先先に、気を注ぐのはもちろん。腕、肘、肩、腰、脚、足も使う。 

 深呼吸を5回する。心が、スーッと落ち着く。目をつぶって、自分が、舞台で、弾き歌っている姿を、想像する。そして、祈る。これからの120分を、お守りください、と。 あとは、思いっきり、楽しもう。聞いてくださる方と。

 1:53pm。

 僕は、礼拝堂に戻る。小便がしたくなった。あっ、来た来た、いつものやつが・・。いつも、人様の前で弾き歌う前30分ぐらいになると、急に、小便を何度も、催す。犬みたいに。急いで、トイレに行く。礼拝堂を出て、教会の玄関入り口、左側に、トイレがあった。トイレに入り、小をする。さーて、いよいよ・・・。最後の一滴をきって、ふーと息をつく。

 と、その時、だった。

 僕の右手が、僕のGパンの尻のあたりについている右ポケットに触れ、ポケットに指を突っ込んでいた。癖、だ。僕は、トイレに入ると、大をするとき、Gパンの後ろの右ポケットから、財布を取り出し、据付のトイレットペーパーの蓋の上に置いて、それから、Gぱんを降ろし、用を足す。だから、用を足して、財布をまた、尻の右ポケットに収めて、トイレを出る。小をしても、つい、尻の右ポケット、へ手が行く癖がついている。

 しかし、、、、。指の感覚が、、いつもと違う。ぺったんこ、なのだ。ふっくらした凸の感触がない。あれっ。えー?

 指を、ポケットの奥深くへ突っ込む。スーッと、入る。ポケットが空だ。?????!あれっ、?ない!財布がない! えーー、財布が・・・。

 とっさに、わかった。トイレ、だ。トイレに置き忘れたんだ!

 頭の中が、真っ白になった。

 電話だ。まず。喫茶店、か、ホテル、か、どっちかだ。カード、保険証、も入っている。しまった! 

 左ポケットから、ケイタイを取り出す。喫茶店もホテルも電話番号がわからいことに気ずく。

 時計を見ると、1:58pm。開演2分前。

 カードを止めないと・・・。保険証、悪用される・・。横浜へ帰れない・・。一気に、そういう声が聞こえる。わーーー! 冷や汗、が出てくる。

 サイフ、サイフ、財布。

 喫茶店とホテルに、直接、行くしかない。とにかく、すぐ行こう。出番までに、戻ろう、、。30分はある。

 僕は、トイレを出て、そのまま、礼拝堂には行かずに、玄関口から、そおっと、外に出た。そして、自転車にまたがり、サイフ、さいふ、財布、と呟きながらペダルを必死で漕いだ。頭の中は、トイレのペーパーのリールの蓋の上、に置かれた財布、が浮かんでいる。喫茶店を出てから、40分、ホテルを出てから30分ぐらいだ。その間に、誰かが、トイレに入ったら、まず、財布は、ないだろう。極度に緊張して、舞いあがった時、同じ失敗を、今まで、2度した。石川町駅で小銭容れ、と、横浜駅で財布、を、やはり、トイレで。すぐ、届け出た。が、石川町駅での小銭容れ、は横浜駅改札で、尻のポケットに突っ込んだ切符を取ろうとして、小銭入れがないことにきずき、また、石川町まで戻って、トイレに駆け込んだ、が、なかった。駅の窓口にも届いてなかった。が横浜駅では、路上ライブをした後で、ギターケースを持っていた。だいぶ興奮して、舞い上がっていた。トイレを出て、ヤマハ楽器へ行った。弦を買った。が支払いのとき、財布がないことに気ずいた。トイレに走った。なかった。幸い、一週間後に警察から電話があって、現金は、抜き取られていた、が他は全部あった。 あの、財布だ。

 あってくれ! あってくれー、あってくれー、とペダルをこぐ度に叫ぶ。サイフ、さいふ、財布。 

 トイレットペーパーの蓋の上に、ちょこんと財布、が乗っかっているシーンが頭の中をよぎる。次に、トイレットペーパーの蓋の上には、何もない、シーンが浮かぶ。二つのシーンが交互に、脳裏に現れては消える。足はペダルをこぐ。太ももが、張ってきた。信号を、5つ、6つ越えて、やっと駅が見えた。

 あってくれー,たのむよ! 

                    ・・・つづく。

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一年を振り返って-「人」:(3)ホルンの音色、ギターと歌声

2007-02-05 11:44:44 | Weblog

        

  ○超一流のホルン奏者の演奏プログラム、と超素人歌手のギター弾き歌いプログラム案!       

( -休憩- 、ここが、僕の出番か・・・・・・・・・・♪

 宮田さんが演奏する曲は、神の偉大さ、とか、祈り、とか、悔い改め、 とか、神からの恵み、とか、福音、とか、・・・みな、信仰の曲だ。Amazing Grace だけだ、僕が知ってるのは。超一流のホルンの演奏の、幕間に、僕が弾き語ることが出来る曲は、・・・なんだろう。まさか、演歌、は歌えない、。賛美歌・・? 童謡・・? 懐かしの日本の唄・・?ポップス・・? 

 -休憩-の、後に演奏する曲はなんだろう。また、信仰の曲か・・?)

 

 僕は、プログラムの、後半の演奏曲、を見た。

  

  ♪夢見る人(フォスター)・わが太陽(ナポリ民謡)

 -有名な愛の歌を2曲。

    (あー、これは、Beautiful Dreamer, wake unto me, starlight and due drop ..............♪って言う曲だ。日本語版は、 夢路よりー、、、、♪ 。知ってる、知ってるぞ。美しき夢見る人、だ。メロデイーも、聞こえる。この曲は、何とか、弾き歌える。アメリカ民謡だ。ダニーボーイ、峠の我が家、もそうだ、、。

 わが太陽、は、知らない。そうか、民謡、OK だ。日本の、イギリス、アメリカ、ロシアの、、、、。)

 

   ♪愛のあいさつ(エルガー) 

 -歌詞のない愛の歌。ピアノ、バイオリンでよく演奏されます。

     (この曲、は知らない。でも、エルガーという作曲家は、知ってる。イギリス人。あの「威風堂々」は、素晴らしい。本当に、威風堂々、としている。) 

 

    ロマンス(サンサーンス) 

 -神の愛にある喜びと平安。

      (ロマンス、といえば、禁じられた遊び、も、別名、ロマンス、だ。あれとは違うのだろうか。サンサーンス、じゃ違うな。確か、ベートーベンにも、ロマンス、というピアノ曲が、あったような気がする。が、この、ロマンス、って、どんなのかな、、?   禁じられた遊び、のロマンス、は、ギター演奏には、ピッタシだ。が、途中までしか弾けない。中途半端、はいけない。駄目だ!)

 

    ♪花の街(団いくま・江間章子) 

 -戦争の焼け跡、瓦礫の山と焦土に見た幻想。

       (聞いたことがある。音楽の教科書にあった、ような気がする。七色の谷を越えて・・・・、とか言う、明るい歌だった、と思うけれど、戦争の焼け跡・・・・焦土にいた幻想、・・・、じゃ、あの曲じゃないのかも・・・。日本の歌曲だ。日本の歌曲なら、いいのが、一杯あるぞ! 故郷、赤とんぼ、母さんの歌、この道、月の砂漠、里の秋・・・・・・・・・・♪)

 

     ♪アレルヤ(モーツアルト) 

 -アレルヤ=ハレルヤで、主を賛美する、という意味。コロラテユラソプラノの名曲。

       (この曲は、昔、20代の頃、100人ぐらい、の中に混じって、テナーのパートを歌ったことがあった。市民参加合唱団に参加して。クリスマスに。ハレルヤ、ハレルヤ、ハレエルヤ・・♪ コロラテ、、、ってなんだ。ソプラノにも、種類があるのか。。?)

 

             -  アンコール -

        (えっ! アンコール、まである! )

 

    ♪白鳥(サンサーンス) 

 -湖に静かに浮かぶ白鳥の姿、バレーでは「瀕死の白鳥」。

      (チャイコフスキーの、白鳥の湖、ならきたことがあるけれど、瀕死の白鳥、、って、わからん。)

 

   *お帰りの際には、アンケートにご協力ください。

      (いやー、アンケート、と来たかー。ゆきとどいてるなー。演奏を聴いた人が、どんな感想を持ったか、知りたいし、今後の演奏のためにもなる、、、。流石!)

 

 プログラム、を読み終わって、僕は、さて、どうしたもんか、考えた。時計を見ると、1:03pm だった。1:40pm には、礼拝堂に着いてないといけない。ホテルに寄って、ギターと荷物を、持ってゆかねば・・。

 宮田さんのコンサートのイメージはわかった。前半は、信仰の曲。後半は、少しくだけた、歌曲だ。その、前半と後半の間の、20分間の、僕の弾き語り、弾き歌い、4,5曲。

 まず、「Amazing Grace」 と 「夢見る人」、は歌おう。夢見る人のコードはあったっけ? 

 今、歌える曲、歌いたい曲、宮田さんの演奏の幕間、のふさわしい曲、ってなんだろう。

 ふっと浮かぶ、歌いたい曲は、「千の風になって」「シェフ」。

 礼拝には、若い人も、子供もいた。年寄りが、多かったが。この2曲は、場にもふさわしいだろう。OK。

 「北の国から」「エデンの東」は、メロデイーだけを、ハーモニカ、か、口笛で、ギター伴奏、がいい。

 「月の砂漠」「母さんの歌」「花嫁人形」「故郷」 も歌いたい。

 「なごり雪」「イムジン河」「Love me tender」 も・・・・・♪

 が 5曲、だ。途中、「語り」、も入れる。)

     

    《一応の、僕の弾き語り、弾き歌いプログラム案》

              最初は、

  ♪「北の国から」「エデンの東」 の演奏で、始める。

   次に、 《語り》-自己紹介、や、歌う曲の紹介など。 

  ♪「Amazing Grace 」(「母さんの歌」「月の砂漠」)

     《語り》

   ♪「夢見る人」「千の風になって」。

     最後の閉め、に

     《師匠の工藤慎太郎を紹介》して、

   ♪「シェフ」

               で終える・・。

 

 よーし、これで行こう。超一流のホルン奏者、に恥ずかしくないように、するための僕の、唯一の武器は、聞いてくださる人の「心」に向かって、祈りつつ、全身全霊を込めて、語り歌うこと、だ。一つ一つの言葉、をかみしめて・・・。

 僕の中の、先ほどまでの、気後れしていた心が、薄れて、かえって、歌う楽しみ、が湧いてきていた。 

 礼拝堂の講壇で、弾き歌える!夢のまた夢! もうすぐ、そのときが、やってくる・・。

                          

                        ・・・・・つづく。 

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一年を振り返って-「人」:(2)達人と素人

2007-02-05 11:31:23 | Weblog

    ○宮田四郎さん、と僕 

      

 (どうしよう、、! 僕が、礼拝堂の講壇で、弾き歌えるなんて、願ってもないことだ。が、畏れ多いことだ。その上、見知らぬ町の、始めて飛び込んだ教会。さらに、引き受けたものの、演奏者は、日本で超一流の、ホルン奏者だった!

 その方の、幕間に、何処の馬の骨かわからぬ駆け出しの、素人、自称路上シンガーの僕が、、、、、? 身に余る、場に不相応な、こと、じゃないか、、。宮田さんのホルンが、横綱なら、僕の弾き語りは、入門したばかりの力士志望者、だ。一気に、舞い上がっていた心が、しぼんでゆく。気後れがして、不安になってきた。 どうしようか、、、!

 しかし、いまさら、引き下がるわけにもゆかぬ。

 《音楽》については、横綱と、入門かけだし、だが、《人生》を考えてみれば、僕は、それなりに、懸命に歩いてきた。

 高校教師、30年。英語教諭。仲間の教師達や生徒やその親から、いっぱい、絆という宝をもらった。語学は、一応、Englishを読み、書き、話す、ことも出来るようになった。が、齢を重ねるごとに、僕は、母語=日本語で、表現したい欲求が、強くなった。今、僕は、母語で、表現する技を磨いている。English は、言葉として興味はあるけれど、母なる言葉に、僕は拠って立ちたい。だから、English は、友なる言葉、になっている。

 短期の短期だったが、アメリカ、ロンドン、シドニーに行った。友も出来た。アメリカに、諸教会の人々、Michael, David イギリスに、Ney一家、Richard夫妻,ニュージーランドには、Laurennce and Kumusoo。English を教え、学ぶ課程で出会った友だ。時間をともにして、生まれた絆は、今も続いている。死ぬまでに、一度、必ず、訊ねたい、と思う。

 英語の分野で、僕が一流になっていれば、宮田さんと同じだ。表現する行為、で一流になっていれば、宮田さんと同じだ。しかし、英語は、三流、表現は、思いは昔からあっても、本気で、志したばかり。弾き語り、は、ヨチヨチ歩きの赤ちゃん。何ひとつ、いまだ、ものになっていない。宮田さんは、一筋の道を、登り詰め、その道の横綱、、。  どうしよう?

 でも、弾き語り、で歌いたい、という思いは、本当だ。誰にも負けないくらいの思い、だ。

 ギターの弦の響きが大好きで、それに、人の歌声が合流したら、なおさらだ。

 僕は、62才の、素人コピー路上シンガー。死ぬまで、歌い続けたい。もっと、ギターの技を磨き、本当に歌いたい歌を、聴いてくださる人の心に、届けたい。

 心の叫び-悲しみ、喜び、苦しみ、怒り、感謝、祈り-を。それは、僕の心の真実だ。上手い、とか、下手だ、とかの問題ではない。人の心に響く、かどうか、が大切なんだ。

 2年前、路上で知り合った、工藤慎太郎君、のような歌声が、僕は好きだ。彼は、26才。今、プロの、シンガーソングライターで、弾き語りシンガーだ。ギターも上手い。歌声は、心に染み入る。僕も、彼に近づきたい、一歩でも。僕が、本気で、路上で、ライブハウスで、歌おうと、思ったきっかけは、彼との出会いだった。だから、彼は、今もこれからも、僕の、弾き語りの、師匠、だと思っている。とは言っても、やはり、気後れがする・・・。)

      ピアノ伴奏者:高森道子

  1989年、岩手大学教育学部音楽家卒業。中学校、小学 校の教諭を経て、現在は市内に在住し、ピアノ教室、合唱指導をしている。

   (この方も、音楽一筋、プロ、だ・・・・・・。)               〕

 

 ここで、左のページ=「演奏者のプロフィール」が終わっている。僕は、コーヒーを一杯、たのむ。店に入ったとき、ランチを食べていた、制服姿の、二人の、若い女店員、の話声が消えていた。が、今、店には、僕1人になっていた。

 プログラムの、右のページに目を移す。宮田さんが、演奏する曲目、と解説、が書いてある。どれどれ・・・・。

 

 【         Program

    ♪ホルンと弦楽のための五重奏曲(モーツアルト) 

-誰からも愛されている天才作曲家モーツアルトはホルンをとても好んで、  多くの名曲をこの楽器のために作曲してくれました。

   (この曲、は知らない。聞いたこともないな・・・)

   

  ♪自然における神の栄光(ベートーベン) 

-大自然の素晴らしさは創造主の偉大さを表し、賛美しています。

    (この曲も、知らない。きっと、聞いたことがないダロウ、。)

   

   ♪愛の願い(ベートーベン) 

-神よ私たちの愛を見守ってください、という祈りの歌。

    (知らない、けれど、聞いてみたい、祈りの歌、、、)

 

    ♪教会アリア「恵みもて救いませ」(ストラデラ) 

-罪の許しを神に祈る、悔い改めの歌。

     (ストラデラ、という名は、始めてだ。でも、悔い改めの歌。僕のための歌みたい、、。聞いてみたい。)

 

     ♪アメイジング・グレイス(賛美歌・イギリス民謡) 

-奴隷商人が悔い改めて得た驚くばかりの恵み。

     (へー、奴隷商人,だったのか!悔い改めて、恵みに涙したのは。知ってる、知ってるぞ♪この曲。 僕の初ライブで共演してくれた慎太郎師匠が、リハーサルの途中で、歌ってくれた曲。それまで、教会でも、聞いたことはあったが、そのとき、始めて、いい曲だな、と感動した。今になってみると、慎太郎師匠は、イギリスだかスコットランドに一年、音楽留学していた、と言っていた。きっと、そこで、出会った曲んじゃないかなー、と思う。この曲なら、ギターで歌えるようになりたいと、ずっと思っていて、つい最近、歌えるようになった。それに、僕なりの翻訳を作った。一平バージョン♪    そうだ、、。 これ、歌おうか・・・? この恵み、を僕も、体験したし。Amazing Grace. 驚くべき恵み。

                    Amazing Grace

          Amazing Grace, how sweet the sound

          That saved a wretch like me

          I once was lost but now I'm found

          Was blind but now I see

                     

           あなたの声

         僕の、心に、ひびく声

         僕の、砕けた、心

         ひびく、見えない、あなたの声

         僕の、心、がふるえた

  

  日本語は、一平訳です。かなり大胆な訳ですが、僕の、Amazing Grace ,

  僕にとっての、恵み、として意訳しました。一平日本語バージョン、です。)

 

    ♪誰でも(救世軍賛美曲集より) 

-福音(良い知らせ)を伝えるラッパの響き。

   (横浜駅西口に、冬になると、ラッパを吹いていた軍服姿の老人がいたなあ。この頃、見かけなくなった。考えてみると、あの方も、路上演奏者、だ、僕みたいに、ギターケースに投げてくれた銭を、生活費の足しにするんじゃなくて、貧しい人々に贈る銭稼ぎだ。崇高で気高いなあ。 この曲、どんなだろう?)

 

            - 休憩 -

   (ここで、-休憩-、・・・か。すると、ここで、僕が、歌うことになる。僕の出番は、ここだ。20分ぐらい。4,5曲、と、確か、宮田さんは、僕に言った。フーム、・・・。)

                             ・・・・・つづく。

 

         

           

 

 

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一年を振り返って「人」ー (1)大きなカタツムリ

2007-02-05 11:10:12 | Weblog

            ○大きなカタツムリ

                          

 10月1日、日曜日、11:00 am.

 僕は、北上聖書バプテスト教会の礼拝堂にいた。

 起立した会衆が歌う賛美歌の合唱が、礼拝堂に響いている。オルガンの、空気が漏れるような音が、合唱を支える。会堂のステンドグラスの窓から差し込んでくる日光が虹色に光っている。と、歌声とオルガンの音の流れに、突如、太い、低い音が、飛び込んできた。腹の底に響く音だ。やがて、その音が、歌声とオルガンの音に合流して、ひとつの太い音の川になって、流れた。オルガン奏者の横を見ると、1人の男の人が、立ったまま、肩から、大きなカタツムリみたいな楽器を抱えて、いた。腹の底に響く低音の出所は、そのカタツムリだった。

 礼拝で、賛美歌の合唱のとき、あのような楽器で伴奏するのを、僕は始めて見た。それに、めったに聞いたことがない音。 へー、珍しいなあ、と思った。この教会は、音楽に力を注いでいるんだな。と感心した。それにしても、前代未聞の賛美歌合唱の伴奏だ!

 その朝。

 僕は、ホテルのチェックアウト寸前に、眼が覚めた。窓のカーテンを開けると、まぶしいほどの朝の光が射し込んできた。昨夜の酒が残っていて、顔が、ぽっ、ぽっ、ほてっている。

 そうだ、スナック「北上夜曲」で、自棄酒を飲み、やけ歌を歌い、泥酔して、ホテルに帰ってきたのだった。そのまま、ベッドの転がり込んだ、ことを思い出した。そして、昨日の一日が蘇ってきた。思いもよらぬ落選。屈辱。そして落胆。さらに、三好さんには振られて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 ふと、心に聞こえた声があった。

「今日は、日曜日・・・・・・・。そうだ、この町の、どこか教会へ行こう、、とにかく、祈りたい、、、、、、、、、、、、、、、、、。」     こんな心の状態になるとき、ふっと聞こえてくる声だ。ずっと、忘れていた。祈りたい、、、、。

 ホテルのフロントで、チェックアウトをするとき、近所に教会がありますかね、と聞いたら、「ここから歩いて、15分ぐらいのところにありました」と言って、顔見知りになったフロントの八木さんが、ホテル周辺の地図を持ってきて、ホテルから教会までの道を、赤いサインペンで塗りつぶしてくれた。ホテルに着いた日、部屋に入ったら、なんだか忘れたが、何かが足りなかった。で、フロントに電話したら、来たのが、中年の、腰の低い、蝶ネクタイの従業員だった。僕が部屋に入ってすぐ、ケースから出して、ベッドの上に置いておいたギターを不思議そうに彼が見た事が、きっかけで、話すようになった。弾き語りでコンクールに出場すること。仕事をやめ、好きな歌を歌っていること、を僕は話した。すると、彼も、自分のことを話し出した。会社に勤めて、10数年後に、脳梗塞で倒れ、手術した。今迄の仕事が出来なくなり、会社をやめ、リハビリ後、このホテルの従業員になったと言う。当たり前のことが出来ることが、どんなに嬉しいか、しみじみ思うと、言う。高校生の息子がいる、ので、がんばらねば、、と。僕の瞼に同じ年代の、教え子の顔が、いくつも、浮かんだ。なんだか、他人事のような気がしなくなって、話込んでしまった。

 八木さんは、「自転車なら5分で行けます」と言って、ホテルの玄関先にあった自転車を貸してくれた。荷物は、フロントでお預かりしてもいいです、とも言った。

 見知らぬ町を、僕は、ペダルをこいで走った。秋の朝のヒヤッする風が、二日酔いでポットポッほてる顔にあたる。僕の頭の中は、すでに、礼拝堂で、頭をたれて、膝まずいて、ただただ、無、になって祈っている。まるで、真夏の暑い日、はやく、海に飛び込みたくて、海辺に向かって自転車を走らせているみたいに、僕は、ペダルをこいでいた。

 信号を左折し、小さな旅館の隣に、「北上聖書バプテスト教会」、小さな教会があった。

  僕は、、礼拝堂の末席に坐った。全身の力を抜いて、頭を垂れた。そして、両手をあわせ、指を交差させて、お互いの手を握った。目をつぶる。そのまま、じっとしている。顔が、ぽっ、ぽっ、ほてってる。

 シーンと静まり返った会堂の空気。沈黙する人の気配。やがて、自分の背中が丸まっていることにきずく。背筋を、ピンと伸ばす。シーンと静まり返った会堂の音。会衆の誰かがする咳の音が響いて、消え、また、シーンとなる。僕は、背筋をぴんと張ったまま、全身の力を、また抜きなおして、真っ暗闇の中に身をゆだねる。

 まだ、僕が教会を知らなかった、20才の頃、黙想した、鎌倉の「居士林」と言う座禅道場の、あの静寂な空気が思い出される。ただただ坐る。脚の痺れと闘い、襲ってくる眠気と闘う。トロリ、とすると、目の前に、素足が現れ、きずくと、バシンという音とともに、僕の肩に痛みが走る。座禅僧が、座禅者を覚醒させるために、木のむちで打つ。打座だ。バシンという音、と張り詰めた空気。

 少年の頃、真夜中に、目が覚め、聞こえてきた、しんしん、と降りしきる雪の音。

 昨日、舞台に立ったとき、スポットライトを浴びて、会場内がシーンとした、あの刹那。

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 僕の心臓の鼓動が、ドクドク、ドクドク、なっている。

 オルガンが鳴り、合唱の歌声が起こった。僕は、われに返り、起立して、賛美歌に耳を傾けた。

  不思議だ。と、いつも思う。深く、長く、全身全霊で祈った後は、目に涙が溢れる。なぜか、わからない。心が、ふっと、われに返る。

 礼拝が終わっても、やはり、昨日の落胆と屈辱は、消えない、が、われに返った。目が潤んでいた。

 教会では、はじめて、その教会に礼拝に来た人を、礼拝の最後に、会衆に紹介する。何処の教会でも。 今まで、日曜日に、僕が飛び込んだ、ボストンの、ロンドンの、シドニーの、函館の、札幌の、小田原の、宮崎の、、、教会が、皆そうだった。

 「はじめて、いらした、山中一平さん、ひと言、なにか」

 「横浜から来ました。昨日、《北上夜曲歌唱コンクール》に出場しました。今日、帰ります。」

 「あら、それは、よくいらっしゃいました。で、教会は、初めてで、いらっしゃいますか?」

 「いいえ、横浜の、教会に通っています。30才のとき、受洗しました。でも幽霊会員です。」

 「コンクールは、いかがでしたか。」

 「いや、落選しました。でも、2年前も出場しました。そのときは、特別賞《そよ風賞》を頂いたのですが、今年は、駄目でした。あの、ギター、一本で、弾き語りしたんです。ちょっと、落ち込んでます。で、来ました」

 「それは、残念でしたね。でも、今日は、よくいらっしゃいました」 

 めったに、新参者は、ないらしく、初めての礼拝者、は僕ひとりだけ、だった。僕は、席を立って、顔を合わせる礼拝者の、ひとりひとりに、頭を下げて、礼拝堂の出口に立った。

 と、その時だった。

 礼拝中、オルガンの横で、立ったまま、大きなカタツムリを吹いていた男の人が、僕を追ってきて、僕に声を掛けた。

 「あの、山中さん、でしたね。今日、午後2時から、ホルンコンサートを、ここでやるんですが、聴いてゆきませんか。あの、私が、吹くんですが」

 「はあ、、、、?そうですか?」

 「私も、横浜なんですよ。」

 「あらー、そうでしたか」

 「でー、今日ですね、私、12曲,吹く、のですが、途中、休憩を入れたいのです。唇が腫れちゃうんです。12曲、続けると。山中さん、途中、弾き語りを、やっていただけませんか、4,5曲、、、、。よろしかったら、お願いしたいのですが・・・・・・」

 「えええー!僕が、、、、ですか。弾き語り、、を、、、、!?」

 「・・・・・・・・・・・・・・・」

 「わかりました。やります。やらせてください」

 「ありがとうございます。これ、プログラムです」

 僕の目の前にB4版の色紙を半分に折った《ホルンコンサート inチャペル》という、プログラムが差し出された。

 という訳で、その日、教会の礼拝堂で、♪ギター弾き語り、をすることになった♪!!!!!!!!。

 いつからか、僕は、ぼんやりと、僕の教会の礼拝堂で、一度、弾き語りをしたいなあ、と、思うようになった。教会員になって30年。教会の聖歌隊員を務めたこともあった。パートはテナー。時には、副隊長も務めた。いつからか、合唱隊の1員、ではなく、僕1人で、ギター、1本で、礼拝堂の壇上で、弾き歌いたい、と、思うようになった。が、畏れ多い。僕のような汚れた分際で、礼拝堂で、1人歌うなんて、畏れ多い。でも、歌えるようになりたい、と思った。が、ずっと、後のことだろう、実現するのは、と思っていた。死ぬまでに一度は、必ず実現したいと、、、。と、これまた、ぼんやり考えていたのだった。

 が、それが、今、実現する。のだ。!

 僕は、身震いした。ぽっ、ぽっ、ほてっていた顔に、つめたい水をぶっ掛けられたように、ぱっと、目が覚めた。

 僕は、舞い上がって、自転車のペダルを、颯爽と、こいだ。教会で、食事の用意があるから、食べて、一休みしてください。コンサートは2時からですから、15分くらい前に、来てくだされば、と、ホルン奏者の男の人が、僕に言った。が、僕は、断って、ホテルに帰って、ギターを持ってきます。食事は、外でします。2時20分前に、来ます。と言い残して、教会を後にしたのだった。1人になって、心を沈めて、これから実現する夢、に身も心も、備えたかった。

 駅前の、1,2度、入った事のある、喫茶店に行った。コーヒーを一口、タバコを一服。人見心地が着いたが、心臓が、ドキドキ、心が、うきうき、舞い上がっている。朝飯を食っていないことに気ずく。腹が、すごく減っている。ハンバーグランチを食った。美味かった。満腹。

 先ほど、ホルン奏者の男がくれた、プログラム、を開いてみた。左のページに、演奏者のプロフィール、が、右のページに、演奏曲目、が印刷されていた。

 【     ホルンコンサート、へようこそ!

                    ホルンについて

  ホルン(Horn)は金管楽器の一種。イタリア語ではCorno(コルノ)、フランス語ではCor(コール)と言い、もともと「角」を意味しますが、古くから聖書でもおなじみの「角笛」を意味していました。大きくゆったりした管からは豊かで自然な響きが奏でられるホルンですが、「世界一難しい楽器」として、オーボエとともにギネスに認定されているそうです。

 (へー、あの楽器が、ホルン、というのか。角笛・・・。)         

   演奏者、プロフィール:ホルン奏者 宮田四郎氏

 1966年、東京芸術大学卒業、同大学管弦楽研究部講師就任。同年秋、第35回日本音楽コンクール(NHK・毎日新聞社共催)第1位入賞。1986年より、NHK交響楽団に5年間在籍し、その間しばらく芸術大学付属高校と国立音楽大学講師を兼任。1973年春よりドイツ留学。1974年秋より、東京交響楽団に主席奏者として11年間在籍。NHKFM放送と教育テレビに室内楽や独奏者として多数出演。その後、・・・・・・。

 (いやー、こりゃ、すげー人だ。一流の、ホルン奏者、だ。僕、とは、月とスッポン、だ。弾き語り、で言えば、こうせつ、さだまさし、千春、、、というレベルの人だ。!?!?!!♪ そんな方、の演奏の、合間、に、素人の自称弾き語り路上シンガー、の僕が、歌う、、、なんて・・・・・!どうしよう・・・・・・か?!!!!!!!!?) 

                             ・・・・・・つづく。

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お知らせ♪

一平のギター弾き語り。 日時・場所など。  2015年9月19日(土)2:00-4:00pm ふれあいコンサート・ギター弾き語りライブ・相鉄線星川駅下車徒歩3分。保土ヶ谷区役所前。「クレヨン」2:00-4:00pm ゲスト:アルトサックス奏者:おすぎ君 初秋の人生の歌など♪