世界の天気予報を見

世界の天気予報を見

記者連中がテン

2017-03-24 10:55:39 | 日記

らず、恐怖の元凶を朽ちはてたマーテンス館に結びつけた。騎馬警官は懐疑的だったが、ときとして館を捜査の対象に組みこんで、そこがまったく無人の地であることを知ってからは、もはやかえりみなかった。しかし周辺の村人たちは、細心の注意をはらって館を調べあげ、なかにあるありNeo skin lab 美容とあらゆるものをひっくりかえし、池や小川をさらえ、灌木をうち、まわりの森林をくまなく捜査した。しかしすべてはむなしく、どこからともなく到来した死は、殺戮を除いて、何らの痕跡も残していなかった。
 捜査も二日目をむかえると、事件は新聞の報道するところとなり、ペスト山を駆けまわっていた。記者連中は詳細に事件を報じ、老婆たちの語る恐怖にみちた昔話をさまざまなインタビューから説き明かしていた。恐怖の究明を専門とするわたしは、最初は気乗りもせずに新聞に述べられているところを読みついでいたが、一週間後には、心を奇妙にかきたてる雰囲気を感じとり、一九二一年八月五日、テンペスト山近くの村にあるレファーツ・コーナーズのホテルに群がる記者連中の只中にとびこんで、宿帳に名前を記し、そのホテルをわたしの捜査本部に定めたのだった。さらに三週間がすぎると、記者連中もしだいにひきあげていき、おかげでわたしは、その間たゆまずおこなっていた、こと細かな調査と測量の結果に基づき、恐ろしい探索を心おきなく開始できることになった。
 そしてあの夏の夜、遠くで雷がとどろいているかたわら、わたしはエンジンをとめた車をあとにして、武器をもったふたりの仲間とともに、前方の樫の梢ごしに姿をあらわしはじめた亡霊のような灰色の壁に角燈の光を投げかけながら、土饅頭のような塚の点在するテンペスト山をつき進んでいった。漠々《ばくばく》とした角燈の光が力なく揺れる夜闇のなかでは、大きな箱にも似た館が、太陽の光のもとでは決してつまびらかにされることのない恐怖を、ぼんやりとほのめかしているかのようだった。それでもわたしは、自分の考えを確かめる断固たる決意を胸にいだいていたので、すこしもためらうことがなかった。事実、わたしは雷が死をもたらす魔物をどこか空恐ろしい秘密の場所から招きだすのだと思いこみ、その魔物が確固とした躰を備えているのか、あるいは実体のない疫病のようなものであるのかを見きわめようとしていた。
 先にこの朽ちはてた館を十分に調べていたので、その結果、綿密な計画はできあがっていた。まず、寝ずの見張りをするための場所として、この地方の言い伝えのなかでたいそう取沙汰されている、殺害されたジャン・マーテンスの部屋を選んだ。かつての犠牲者の部屋が、一番目的にかなっているという感じが漠然としていたからである。約二十フィート平方のこの部屋は、他の部屋と同じように、その昔は立派な家具であったものの残骸をいまに残していた。部屋は二階の南東部に位置し、東に面する大窓と南むきの小窓は、両方ともにガラスも鎧戸《よろいど》もなくなっていた。大窓に面して、〈放蕩息子〉を題材にした彫刻のある、豪奢《ごうしゃ》なオランダ風の暖炉があり、小窓に面しては壁に備えつけの大きな寝台があった。
 樹木でやわらげられる雷鳴が徐々に高まるにつれ、わたしは計画をこと細かに進めだした。まず大窓の出っ張りに、携えてきた三本の縄梯子をならべて固定した。まえにためしたことがあるので、縄梯子が外の雑草の適当な箇所にとどいていることはわかっていた。次に三人で、Amway安利堂々たる四柱式寝台を別の部屋からひきずってきて、横むきにして窓につけた。樅《もみ》の枝をばら撒《ま》いてから、わたしたち三人は自動拳銃を手にしてベッドに横になり、ふたりが寝ているあいだ、ひとりは寝ずの番をすることにした。どの方向から妖怪があらわれるかわからないので、あらわれたときにわたしたちが逃げだす手だても、十分に練りあげておいた。館の内部から妖怪があらわれるなら、窓にゆわえた縄梯子を利用すればいいのだし、外部から入りこもうとするのなら、ドアと階段を使えばよかった。例の殺戮事件から判断して、最悪の事態でさえも、そいつがわたしたちをしつこく追ってくるとは考えられなかった。
 わたしは真夜中から一時まで見張りをしたが、悪寒《おかん》を


最新の画像もっと見る

コメントを投稿