A Challenge To Fate

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クリス・ピッツィオコス@調布せんがわ劇場『Jazz Artせんがわ2017』 2017.9.17(sun)

2017年09月18日 09時41分11秒 | 素晴らしき変態音楽


Chris Pitsiokos クリス・ピッツィオコス(sax)
巻上公一ディレクション
ヒカシュー×クリス・ピッツィオコス
9月17日(日) 19:30 - 21:00
調布市せんがわ劇場



なぞらない為の意志に貫かれた圧倒的なソロ・スタイル

2017年9月17日(日)東京 せんがわ劇場で開催された「Jazz Art せんがわ2017」でNYのサックス奏者クリス・ピッツィオコスが日本で初めてのソロ演奏(30分)を披露した。ステージ上の椅子に座り、サックスのベルを組んだ左足の腿に向けて細く長いロングトーン。フィードバックノイズを思わせる音色はやがて循環呼吸により切れ目のない持続音へと変わり、音程ではなく音色の微妙なスペクトラムの変化によるドローン演奏。それはジャズでも現代音楽でもノイズでもなく、ピッツィオコス本人の呼吸と鼓動をそのまま伝えるセルフィートーン(自撮り音響)とでも呼べばいいだろうか。時に高周波のフリークトーンに変幻しつつも崩壊すること無くコントロールされた演奏は、類い稀な演奏テクニックと精神力を詳らかにした。アンチ・スケールの変音階(変拍子に対応する造語)のアルペジオは流れるようなジャズモードに洗脳された耳には異質で不格好に聴こえるかもしれないが、筆者が聴き取ったのは、過去の表現スタイルを決してなぞるまいとする強固な意志だった。それは椅子から立ち上がり、身体を反らして激しいフラジオを吹き鳴らしていた途中で、突然演奏を中断し静寂が訪れた時にも感じられた。息を整える「ブレイク(休息)」や日本的な「間」の導入ではなく、自己のプレイを反芻し、別のやり方を模索する内観の瞬間(とき)だったのではなかろうか。



「僕のソロ・パフォーマンスは、崖から飛び降りるようなものです。やるまで何をするか決めないままで、一旦始めたら後戻りはできません」と来日前のインタビューでピッツィオコスは語ったが、日本初日のソロ・パフォーマンスは、これまでの音源や動画で聴ける演奏とはまったく異なる一面を体現していた。本人は「今日は今日の演奏。明日からの演奏がどうなるか自分でも楽しみ」と語ってくれた。本日静岡からスタートする吉田達也とのデュオ・ツアーでは、ピッツィオコスのレパートリーを中心に演奏するという。次に筆者が観られるのは9月28日(木)稲毛Candy。10日間のツアーの間に二人のコンビネーションがどう進化するか楽しみでならない。
来日直前インタビュー:クリス・ピッツィオコス Chris Pitsiokos / JazzTokyo No.223

★ヒカシュー×クリス・ピッツィオコスのライヴレポートは後日掲載します。

ソロ演奏
わたしだけの
修練場

▼クリス・ピッツィオコスからのメッセージ(字幕付)
Jazz Art Sengawa Sep.17, 2017 / Chris Pitsiokos Japan Tour 2017
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