A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

橋本孝之+森重靖宗@下北沢 BAR APOLLO 2015.1.23(fri)

2015年01月25日 05時06分13秒 | 素晴らしき変態音楽


node 9  -  solo and duo

橋本孝之 / hasimoto takayuki (as)
森重靖宗 / morishige yasumune (cello)


open 19:30 / start 20:00
800yen (bar charge) + drink order + OPEN CHARGE (for musicians)



「node」は交点/節点/ネットワークの連結点といった意味の言葉で、即興チェロ奏者森重靖宗のシリーズ企画。その名の通り個々のアーティストが実演により交わり結び合う、即ち交歓を創出する場である。9回目の今回はで大阪ギャラリーノマルを拠点に活動する即興ユニット.es(ドットエス)の橋本孝之を迎えた。会場のBar Apolloは初めて。いつ頃開店したのか判らないが、昨年ドラマーの本田珠也が何度か出演しており気になっていた。投げ銭制を取り入れたライヴも多く、かつての渋谷Bar Issheeを思わせるが、内装を含めより格式あるジャズバー風の雰囲気がある。


(写真の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)

●森重靖宗


各自のソロ演奏からスタート。チェロは筆者の好きな楽器のひとつ。後期ヘンリー・カウのジョージー・ボーンやトリスタン・ホンジンガー、トム・コラなど、個性的な演奏家がいる。ヴァイオリンほど自由に動けないが、ボディを羽交い締めのように抱え込み、全身を使って弓で弾く姿は神掛かっている。日本の即興音楽では火花散るチェリスト=坂本弘道が独り気を吐いているが、森重の演奏も極めて個性的。コンタクトマイクで音を拾う以外は基本的にアコースティックで、弓だけで演奏する。ブリッジ部分やボディを擦って鳴らす物音ノイズが、さざ波のように薄暗い空間をざわつかせる。生身の森重と生身のチェロの交歓は、幾何学的でアブストラクトなフレージングにも拘らず、大らかなメロディを聴くような体験だった。
森重靖宗公式サイト

●橋本孝之


昨年春から東京在住の橋本は、確実に交遊範囲を拡大し、主に週末に大阪で開催される.esとしてのライヴやイベントに加え、月に数回東京地区で他の演奏家と共演ライヴを行っている。今回森重と初共演が実現したのも、そういった東京でのライヴ活動を通して培った人の縁の賜物であろう。実際この日も観客に演奏家や舞踏家が多く、新たな縁も生まれたようだ。完全なソロ・セットの演奏を観るのは、初めてかもしれない。森重の物音演奏を引き継ぐような息が通管するアトモスフェリックな囁きに、マウスピースのリードの軋む高音が徐々に混入し、身体の動きが大きくなるに連れて、サックスの悲鳴が高まり、溢れ出す感情を押さえ切れないようなオーヴァーアクションの叫びへと転化する。何処まで嵩まるか、と思ったところで突然中断するように終了したのは、続くデュオ演奏に備えたのだろうか。

●橋本孝之+森重靖宗


当たり前だが、イチ対イチの初顔合わせの共演は一度きりしかない。言わば奇跡の始まりを体験する訳だ。楽器を構えてから、どちらがどう仕掛けるか目配せする瞬間、言いようのない緊張感が走る。どちらかが溜めた"気"を吐き出すと同時に、演奏者と目撃者(観客)両者共に緊張から解き放たれ、自由な音の交歓に身を任せる。魂の解放の儀式である。



ソロ演奏で見せたそれぞれの個性的な世界が、デュオとして衝突すると同時に、お互いの隙間を埋め合い溶け合い絡み合う様がよく分かる。双方のリスペクトが音になって空間を満たす芳醇なデュオ演奏の熱は、年の初めの心の浄化に相応しい。"個"と"個"が判られ判り合う、即ち"交歓する"ことが、音楽に限らず人間同士の共存に於いて最も大切なことだと改めて思った。素晴らしき「node」の誕生だった。

この出会い
広がって行け
何処までも





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2 コメント

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Unknown (aoki@UP-TIGHT)
2015-01-28 01:42:53
森重氏は私の学生時代の先輩かつお茶の仕事仲間でした(森重氏はお茶の仕事からはもう離れておりますが)
久しくお会いすることはできておりませんが、こうやって活動の近況を知ることができてうれしく思います。
レポありがとうございました。
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お茶 (miro)
2015-01-28 10:09:58
aokiさま

コメントありがとうございました。ということは森重さんは静岡ご出身ですか?
やはりお茶とみかんの国「静岡」只者ではありませんね!
返信する

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