スズずきんちゃん ゴールド 9 デスコ ～チョコレート塊の巻～ 川c ’∀’)＜その６だ！

リホずきんちゃんとアユミさんは、ふたり揃って湯船に浸かっていました。

「いっやー。
お金持ちなのは分かってたけど、部屋にお風呂までついてるとは」
アユミさんは、しきりに『すごい、すごい』と連発します。
「だね。
うちも、初めて入った時はびっくりした」
リホずきんちゃんが言うと、アユミさんは『ん？』という顔になり、
「来たことあるの？前に」
「話せば長いんじゃけど…うち、前にこの辺うろついてる黒猫と入れ替わったことあるんじゃ」
「あ、なんか聞いたことある…」
「そん時、うちの親がたまたまおらんくて、で、ミズポンさんのご好意でここでご厄介になったんじゃ。
お風呂にも入れてもうた」
「へえ」
「ここだけの話…デカイよね？」
リホずきんちゃんは自分の胸のあたりに、山を作るようなジェスチャーをします。
アユミさんは一瞬何のことか分からずキョトンとしましたが、すぐに気付いて、
「ちょ、ちょっとお！」
と赤くなりました。
「中学生にあるまじきボリュームじゃ。
551の肉まんかと思うたよ」
普通に失礼です。
「肉まんて」
アユミさんは、体育の着替えや修学旅行のお風呂の時間で見た、大きな悪いミズポンの豊かな胸部を思い出します。
「ありゃ絶対Ｆだ！」
「いや案外Ｄ」
「Ｅの可能性も捨てられん」
と、修学旅行先でクラスメートの女子の間で賭けの対象となった、豊かな豊かな胸部です。
「いいのう、あんなおっぱい大きくて」
リホずきんちゃんが偽らざる本音を漏らします。
それにはアユミさん、
「そうね」
深く頷きます。
思うとこ多すぎて。
「カノンちゃんもあんなんでデカパイなんじゃ」
もっと失礼です。
お互い、相手の胸部を見ます。
無言で頷き、ガシッと手を握りました。


ふたりはお風呂から上がり、大きな悪いミズポンに貸してもらったジャージに着替え、みんないる部屋に戻りました。
「ウフフ、制服もすぐクリーニングから戻ってくるわ。
靴下とかもいま洗濯してもらってるから、ゆっくりしてて」
大きな悪いミズポンは、なんか嬉しそうです。
「何から何まですみませんのう」
「ほんとにごめんね、ミズキちゃん」
リホずきんちゃんとアユミさんはすまなそうに頭を下げます。
その様子を見てサクラさんは、
「…フクムラさんは、洗う前に匂いかいだりしないんでしょうか？」
隣でおかわりのケーキ頬張ってるカメーさんにこそっと囁き、カメーさんは思わずむせました。
「い、いやあ～…」
一瞬フォローしようかと思ったのですが、大きな悪いミズポンはあの大きな悪いミチシゲの弟子です。
公募までかけてオーディションして取った一番弟子です。
違う、とは言い切れません。
「フクムラさん、イシダさんのパンツは大体把握なさってるとのことです」
何情報だよ、そしてなんでエリに言うんだよ、とカメーさんはぐったり、
「そ、そう」
と力なく笑いました。
そしてパンツを把握されているとは露知らず、
「ん！このケーキ…おいし！」
出されたチョコケーキがおいしすぎて、アユミさんは口を押さえて笑ってました。
「フランスで修行を積んだパティシエのお店のケーキなの、喜んでもらえて嬉しいわ」
「やっぱりフランスのケーキだ！」
「…作った人がフランスで勉強してたってだけなんじゃ。
ま、いっか。
ほんとにおいしいです」
リホずきんちゃんもリスのようにもくもくケーキを食べます。


「あ、エリちゃんからメールなんだろうね」
スズずきんちゃんがスマホを弄ってナマタさんからのメールを確認します。
「エリさんとおっしゃるのは？」
サクラさんの質問に、
「多分エリポンからのメールじゃろ。
フルネームはイクタエリナじゃ」
リホずきんちゃんがケーキ食べながら答えます。
サクラさんはぱっと顔を輝かせ、
「エリナさんっておっしゃるんですか！
カッコよくてエレガントなお名前です！」
「…どこがいいの、あれ？」
リホずきんちゃんは怪訝な表情で言いました。
「あのさ」
スズずきんちゃんの声に、みんな注目します。
「イクタからメールきて、なんかガキさんの病院来いって言ってる」
「なんで？」
カメーさんが言うと、
「ヘンなチョコのことで聞きたいことあんだって」
「用件は分かったけど、なんでそれがエリポンからメールくるんじゃ？」
リホずきんちゃんが疑問を口にします。
「イクタだからなんだろうね！」
スズずきんちゃんは有無を言わさずドヤ顔で言い切りました。


＜つづく＞