夢千夜 1000dreams

漱石「夢十夜」へ挑戦する

1244夜

2017-03-21 14:51:49 | Weblog
かつてケータイはなく、テレビすらなく、さらにラジオもなく、本も自由には読めない時代には、自分の前に広がる「ひま」をつぶすのが至難のわざだった。その世界では、時間は大河のように滔々と流れ、生きると退屈とは同義だった。そこでは五十年の寿命しかなかったかもしれないが、人は十分に生きたという感慨を持って死ぬことができた。今、ケータイをいじってさえいれば時間は激流のように過ぎ去る。退屈を撃退するのが近代の課題だったが、それがケータイによって達成された今、生きる実感も失われていく。八十年、九十年生きても、一瞬の如くであり、まだまだ生きたいという無念しか残らない。
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