夢千夜 1000dreams

漱石「夢十夜」へ挑戦する

1254夜

2017-04-06 11:07:18 | Weblog
戦争末期には学徒出陣といってそれまで兵役を免除されていた大学生が戦場に送られ、多く命を落とした。が、学徒出陣というのは文系の学生だけであり、理系は依然として免除のままであり、文系でも特に優秀な者は免除されたままだったという事実を、六十過ぎてから初めて知った。学徒出陣式において「生等もとより生還を期せず(私たちは生きて帰ってこようとは思っていません)」と東条英機の前で宣言し、「生還を期せず」に共鳴して多くの学生がみずから死を選んだ、その江橋慎四郎が戦場に送られることなく「生還」し、戦後学者として名誉を極め、2017年においてまだ生きているという事実は私を震撼させるに足りる。こういうのは現在の言葉で「出来レース」というのだろうか。「生きて捕囚の辱めを受けず(敵の捕虜になるくらいなら死ね)」と兵士は教育され、多くの兵士がその言葉に従って自死したが、そう指導した軍隊の参謀たちのほとんどが戦争に負けたとき「生きて捕囚の辱め」を受け、戦後アメリカ軍の占領が終わってから名誉を復活し、潤沢な軍人年金をもらって寿命を全うしたという事実は、日本人に何を語りかけるだろうか。中学校や高校の先生は生徒に「自分に責任を持て」と教えるが、日本において「責任」という言葉は公の場で機能したことがなかった。
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