えんどうたかし の つぶやきページgooバージョン

このブログは、憲法や法律に関連する事柄を不定期かつ思いつくままに綴るものです。なお、素人ゆえ誤りがあるかもしれません。

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政府は本当に長時間労働の是正をする気はあるのか?

2017-03-06 20:41:06 | Weblog
 ニュースの焼き直しとなるが、疑問に思っていることがあるので以下にそれを述べたいと思う。

 即ち、安倍総理は、今年の施政方針演説で、次のように述べていた。
 「一年余り前、入社一年目の女性が、長時間労働による過酷な状況の中、自ら命を絶ちました。御冥福を改めてお祈りするとともに、二度と悲劇を繰り返さないとの強い決意で、長時間労働の是正に取り組みます。いわゆる三六協定でも超えることができない、罰則付きの時間外労働の限度を定める法改正に向けて、作業を加速します。」首相官邸HP・・・

 ところが、報道などによれば「長時間労働規制 労使トップが10日にも2回目の会談」<テレビ朝日系(ANN) 3/5(日) 16:02配信><より引用>・・・長時間労働の規制を巡る2回目の労使のトップ会談が10日にも開かれる方向で調整が進められていることが分かりました。
 罰則付きの残業規制は、繁忙期や一定の業種などについて1カ月の上限を100時間程度まで認めるかどうかが労使間での最大の争点です。先月27日の経団連の榊原会長と連合の神津会長との会談では溝は埋まりませんでしたが、例外措置として1カ月100時間程度まで認める方向で調整が行われていて、10日にも再び会談を開いて合意を目指します。また、経団連が導入に反対している勤務終了から次の始業まで一定の時間を空ける「インターバル規制」についても一致点を見いだしたい考えです。
・・・<引用終わり>

 上記の報道などによれば、連合と経団連の合意がないと規制法案が通らないということになりそうなのである。これでは、連合(一応は労働側である)が100時間まで残業を認めないと、残業時間の上限の規制法すらできないということになってしまう。
 これでは安倍首相が提唱していた「働き方改革」が発端となり、政府主導で始められたにもかかわらずである。
 とにかくこの発言がおかしい。2月14日の「働き方改革実現会議」 で、時事通信より<引用>・・・安倍晋三首相は席上、残業時間の上限規制について「多数決で議決するものではない。労使で合意形成してもらわなくては法案は出せない」と指摘。「胸襟を開いた責任ある議論を労使双方にお願いしたい」と述べた・・・とのこと。<引き続き時事通信の記事>・・・労働基準法は、労働時間を原則1日8時間、週40時間と定めているが、36条に基づく「三六協定」を結ぶと、事実上無制限で残業させることができる。事務局案では、三六協定を見直し、残業時間の上限を定め、年720時間、月平均60時間に制限する。違反企業には罰則も科す。・・・<引用終わり>

 連合(一応労働側)が100時間まで認めないと、この話がチャラ(振り出し)になるというのはおかしい。
 なぜなら1ヵ月100時間は過労死ラインであろう。法定外労働時間が月間100時間を超えた場合の精神疾患(とそれを原因とする自死)との間に因果関係を認めるというのは、医学的見地や経験則などから導かれた合理的数字(通説・多くの判例も支持している)である。

 〝本末転倒〟というのはこういうことだ。

 あと、念のためだが、目指すのは、〝残業代ゼロ〟なのか?、そうではなく〝残業ゼロ〟なのか?、ということも議論がすり替わりそうである。
 即ち、先ず残業代をゼロにすることでインセンティブとして残業を減らすという議論が行われかねない。

 画して我が国では、譲れない権利を譲り渡さなければ、元の権利が取り戻せないというジレンマに陥ることにもなる。


 ≪追記≫

 あと、上記とは直接関係はないが、こちらも医療を受ける権利と引き換えに、生命の安全を奪われかねないニュース。<パーキンソン病患者>病院に配車断られ…男性遺体で発見(毎日新聞 3/7(火) 21:53配信)

 <引用>・・・千葉県柏市内の老人ホームに入居していたパーキンソン病患者の男性(72)が昨年12月、市立柏病院で介護タクシーを呼ぶよう頼んだところ断られ、約1カ月後に別の場所で遺体で発見されていたことが病院関係者らへの取材で分かった。男性は要介護3で歩行にはつえが必要だったが、直線距離で約3キロあるホームまで歩いて帰ろうとした可能性があるという。
 病院関係者らによると、男性は昨年12月下旬に同病院で診察を受けた後、介護タクシーを呼んでホームに帰ろうとした。電話をかけるのに必要な現金を持ち合わせていなかったため、病院案内窓口で電話を依頼したが看護師から「対応は難しい」と断られたという。
 男性は「そうですよね」と言って立ち去ったがその後行方が分からなくなり、ホーム側はその日のうちに病院と警察に連絡。1月下旬になって病院から約1.5キロ離れた川の近くで遺体で見つかった。
 死因は凍死で、行方不明になった日が死亡日とされたという。現場は空き地や草むらが広がる道路からは少し離れた場所だった。
 病院の対応と男性の死亡の因果関係はわからないものの、6日にあった市議会一般質問では病院の対応を疑問視する声が上がった。市保健福祉部の佐藤靖理事は「男性には個々の患者の要望に応えるのは困難と伝え、理解もいただいた」と説明。質問に立った末永康文市議(護憲市民会議)は取材に「1人で帰るのが無理と気づかないのは問題。丁寧に対応すれば命は奪われなかった」と批判した。
 病院は取材に「外来患者は1日500人以上おり、対応には限界がある」と話している
。【橋本利昭】
・・・<引用終わり>

 そもそも福祉ニーズが何であるかがわかっていないという問題だと思う。「500人の患者が来るから個別の対応が無理」というのが病院側の見解のようである(せめて『魔が差した、今後は気を付ける』というべきであったろう)。しかしこれは、病院職員の業務=医療機関がが行うべき業務と、そこから牽連・接続した、一般の傷病者や高齢者に接する人間としての平衡感覚(社会的妥当性)との接続の問題である。
 帰路につくべき患者が抱える諸問題について、それを次の担当すべきプロ(事業者に引き継ぐという)事業者意識に欠ける病院とは果たして如何なる存在なのであろう。
 医療機関は、事業者である前に社会性がなければならない。それが福祉国家というものだ(勿論自治体もである)。

 取材の回答を見る限り、柏市立病院にはその社会性がない。

 病院職員が、労働する事業場(医療現場)に入る前に、人間としての感覚を置き去りにしていかなければならないとすれば、やはり前の労働時間(100時間云々)の問題と同じようにも思える。
 
 連想ゲームのような記述となるが、人間としての感覚、とりわけ人権感覚を置き去りにして労働する現場としては自治体もそのようである。弁護士ドットコムが伝えたニュースに下記のようなものがある。
 
 <引用>・・・首都圏のある市の福祉事務所で今年1月、生活保護を申請しに来た40代の妊婦に対し、職員が「産むの?」など堕胎をほのめかす発言をしていたことが分かった。女性の支援団体が3月8日、記者会見で明らかにした。
 市は弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「確認をしただけで、中絶を求める意図はなかったが、そのように受け止められてしまった点については配慮が足りなかった」と回答。女性に対してはすでに謝罪しているという。
 支援団体「POSSE」スタッフの今岡直之氏によると、行政が対応の不備を認め、謝罪する例は珍しいという。
 ●生活保護受けずに5年間頑張ったが…
 「POSSE」によると、女性は日本の永住権を持つフィリピン人のシングルマザーで、高校生の息子が1人いる。約5年前、日本人の夫と離婚し、スーパーの深夜パートなどをしながら、生計を立てていたという。しかし、今年に入って妊娠が発覚。腹部に痛みがあり、品出しなどの作業が困難になったとして1月中旬、生活保護を申請しに福祉事務所を訪れた。
 職員から「産むの?」などの言葉をかけられた女性はショックを受けて、そのまま帰宅。2月に入って再度、申請に行ったときも、長男のアルバイトを増やすことなどを勧められ、申請できなかったという。しかし、同日中に「POSSE」のスタッフと再訪したところ、市は申請を受理した。
 今岡氏によると、生活保護をめぐり、妊婦と行政との間でトラブルが起こることは珍しくないという。今回の事例を受けて、POSSEは3月12日午前11時〜午後3時まで、妊婦を対象にした生活保護関連の無料電話相談を実施する。電話番号は、0120-987-215。
・・・<引用終わり>
 (弁護士ドットコムニュース)よりhttps://www.bengo4.com/internet/n_5812/

 自己のために社会を潰そうとする組織も恐ろしいが、その意を汲んで労働する労働者もかなり恐ろしい。

 
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