ニュース23をみてからネットで検索していたところ、下記のブログを発見。
それに、何年か前、労組の掲示板をみて日本郵便の自爆営業の書き込みをいくつも目にしていたので、“ああまたか”と思っていたところであったが、中でも捨て置けないのは、やはり非正規社員への実質的な強要である。もちろん正規社員であっても実質的な強要は法的にもマズイ筈。
そもそも賃労働者が不利益を甘受するのは、より大きな不利益が予定されているという認識・認容からであろう。所謂黙示的強要に他ならないと思う。且つ、これだけ公然とした事実の蓋然性(金券ショップで売られているという物証も)があるのに監督庁、それから労基署は何をやっているのだろう?。あともうひとつは“自爆”なる慣行は、郵政文化(元公務員の文化??)のな気がする。度を越えた、ある種の無感覚集団(←特に本社のこと)、それもかなりガラパゴス化しているようである。松戸市消防のシゴキにも類似したような無感覚なのかもしれない。
以下は、ブログ主さまより転載のご了解を得たので、そのまま掲載させていただく。
http://shuzaikoara.blog39.fc2.com/blog-category-9.html
日本郵便社員の自爆営業
●自爆営業、始まる!
11月1日。
金券ショップを覗いてみると、やはり売ってました、年賀状。48円。
さて、この年賀状、金券ショップはいったいどうやって仕入れるのでしょうか?
郵便事業会社(日本郵便)から? 答はXです。そもそも、50円という販売価格を日本郵便自らがダンピングして、金券ショップに卸すことは考えられません。
答は、その、日本郵便の社員たちが売りに来るのです。ノルマを達成するために。
11月1日は年賀状の販売開始日ですが、同時に、全国の日本郵便の社員の多くが「自爆営業」を開始する日でもあります。
私は、去年の11月1日、社員が実際に金券ショップで売り捌くのに同行し、その写真も撮りました。おそらく日本初の画像だと思います。
← 1束200枚入りを5束並べて、電卓を叩く店主と、売主の大川さん(写真の注釈あり)
日本郵便の社員たちは、だいたい11月上旬に金券ショップに殺到します。
なぜなら、早く売ればそれだけ高く売れるからです。
去年の場合なら、11月1日の買値は43円(インクジェット)、1月25日で42円。12月にはいると40円にまで下がります。
私がこの問題で許せないと思うのが、日本郵便の本社も支社もこの問題をうすうす知っていながら放置していることです。
たとえば、1枚43円で買い取ってもらう場合、1000枚なら4万3000円を金券ショップからもらえるわけですが、社員は、あくまでも「50円で親戚に売った」などの虚偽申請をして、5万円を日本郵便に入れるわけです。つまり、7000円の損をすることになります。
これは、その支店(いわゆる郵便局)によって異なるのでですが、おおむね、正社員で1万枚、日本郵便の6割をも占める非正規社員で5000枚のノルマが課せられています。もし1万枚を自爆するとなると、7万円の自腹を切ることになります。
こうやってノルマを達成することを、業界擁護で「自爆営業」と呼ぶのですが、この自爆営業、ノルマ達成(会社はノルマといわずに「目標」と言いますが)を個人の社員に課す場合もあれば、個人が属している班に課してくる場合があります。
私が聞いた残酷な話では、班をまとめる責任者の係長だかが、2万枚だかを金券ショップに持ち込み、ノルマを達成するのですが、約15万円の自腹を切りました。
尋常ではない職場環境です。
●なぜ自爆するのか?
素朴な疑問として、なぜ、こんな自爆をするのかと思いませんか? 私も最初はそう思っていました。だが、しなければならないのです。生活のために。
この時期、日本郵便では、上司の『年賀状を売れ!』『営業しない奴は契約更新ないぞ!』との恫喝を受けているのですが、もっとも立場の弱いのは、日本郵便の全職員の6割をも占める非正規社員です。
ノルマ、会社で言うところの「目標」に達しないと、上司が業務評価が極めて低いものになる。
日本郵便では、非正規社員は正社員と同じ仕事をしながら、年収は3分の1。誰もが正社員になりたいに決まっています。
ところが、通常ルートだと、非正規社員から正社員試験を受けられる最短コースは5年です。この五年の間、一度でもきつい業務評価を受けると、5年はさらに延びます。
私が取材したなかでもっとも残酷なのは、その正社員試験を目前に控えたある女性社員が、ある日、子どもが熱を出したため職場に「ちょっとだけ遅刻します」と連絡したところ、なんと「怠惰である」との評価を下され、正社員試験は一気に遠のいてしまったのです。
年賀状の場合でも、ノルマをこなさないと『上司の指導に従わない』との評価を受け、昇進の道が閉ざされます。
「だから僕たちは、泣く泣く自爆を繰り返すんです」(自爆した非正規社員)。
正社員の場合では、やはり上司にマイナスの業績評価をつけられ、給与減額などの憂き目が待っている。
●地方からも自爆のために上京
そして、私が驚いたのが、中部地方のある街から、わざわざ年賀状を売るために上京する人がいることです。話を聞いて合点がいきました。
地方都市では、街中に金券ショップが1,2軒しかない。競争相手がいないため、どのショップも安い値段で吹っかけてくるのです。たとえば「35円」。これでは1枚につき15円もの自腹です。
そこで、鈍行列車で何千円かをかけて上京して、43円で売ったほうがまだ損失は少ないということです。
●年賀状だけではない
また、夏場のかもめーるや、ふるさと小包便にもノルマがあります。
「僕の支店では、正社員でかもめーるは800枚、ふるさと小包便は年90個のノルマです。非正規ならその半分。かもめーるは金券ショップでは30円でしか売れません。小包便も1セット何千円もするので、自爆はきつい」(非正規社員の吉尾さん)
私たちが安価に買える金券ショップでの郵便グッズ。その裏では多くの人が一年中苦しんでいる。
そもそも、インターネットの普及で、どうしても年賀状売り上げは年々落ちているのに、そこで無理をさせて何が何でも数字の達成だけを目指す日本郵便の経営感覚は理解しがたいものがあります。
その労働環境の歪さに関しては、2年ほど前に記事にしたことがあります。私のHPに記事を掲載しているので、よければ覗いてみてください。
自爆営業については http://homepage2.nifty.com/kasida/social-matter/frame-jibaku.htm
郵政労働者の労働環境については http://homepage2.nifty.com/kasida/social-matter/frame-yusei.htm
<転載終わり>
これは労働問題(サービス残業の構図と同質の問題が含まれ)、且つ人権(自由の侵害)の問題であって、労働者各人の、本来の労働意思と切り離して整理されるべき、使用者(ないし事業場における)モラル低下である。
事業場で“チキンレース”が行われているのに、これを放って置く会社こそ、社会から存在価値を問われるべきだが、この点では、独占事業を多く持つ郵便という事業の所為で、市場からの「ノー」を突きつけられないのであるから、政府が強制(是正)するより他はないと言えよう。
それに、何年か前、労組の掲示板をみて日本郵便の自爆営業の書き込みをいくつも目にしていたので、“ああまたか”と思っていたところであったが、中でも捨て置けないのは、やはり非正規社員への実質的な強要である。もちろん正規社員であっても実質的な強要は法的にもマズイ筈。
そもそも賃労働者が不利益を甘受するのは、より大きな不利益が予定されているという認識・認容からであろう。所謂黙示的強要に他ならないと思う。且つ、これだけ公然とした事実の蓋然性(金券ショップで売られているという物証も)があるのに監督庁、それから労基署は何をやっているのだろう?。あともうひとつは“自爆”なる慣行は、郵政文化(元公務員の文化??)のな気がする。度を越えた、ある種の無感覚集団(←特に本社のこと)、それもかなりガラパゴス化しているようである。松戸市消防のシゴキにも類似したような無感覚なのかもしれない。
以下は、ブログ主さまより転載のご了解を得たので、そのまま掲載させていただく。
http://shuzaikoara.blog39.fc2.com/blog-category-9.html
日本郵便社員の自爆営業
●自爆営業、始まる!
11月1日。
金券ショップを覗いてみると、やはり売ってました、年賀状。48円。
さて、この年賀状、金券ショップはいったいどうやって仕入れるのでしょうか?
郵便事業会社(日本郵便)から? 答はXです。そもそも、50円という販売価格を日本郵便自らがダンピングして、金券ショップに卸すことは考えられません。
答は、その、日本郵便の社員たちが売りに来るのです。ノルマを達成するために。
11月1日は年賀状の販売開始日ですが、同時に、全国の日本郵便の社員の多くが「自爆営業」を開始する日でもあります。
私は、去年の11月1日、社員が実際に金券ショップで売り捌くのに同行し、その写真も撮りました。おそらく日本初の画像だと思います。
← 1束200枚入りを5束並べて、電卓を叩く店主と、売主の大川さん(写真の注釈あり)
日本郵便の社員たちは、だいたい11月上旬に金券ショップに殺到します。
なぜなら、早く売ればそれだけ高く売れるからです。
去年の場合なら、11月1日の買値は43円(インクジェット)、1月25日で42円。12月にはいると40円にまで下がります。
私がこの問題で許せないと思うのが、日本郵便の本社も支社もこの問題をうすうす知っていながら放置していることです。
たとえば、1枚43円で買い取ってもらう場合、1000枚なら4万3000円を金券ショップからもらえるわけですが、社員は、あくまでも「50円で親戚に売った」などの虚偽申請をして、5万円を日本郵便に入れるわけです。つまり、7000円の損をすることになります。
これは、その支店(いわゆる郵便局)によって異なるのでですが、おおむね、正社員で1万枚、日本郵便の6割をも占める非正規社員で5000枚のノルマが課せられています。もし1万枚を自爆するとなると、7万円の自腹を切ることになります。
こうやってノルマを達成することを、業界擁護で「自爆営業」と呼ぶのですが、この自爆営業、ノルマ達成(会社はノルマといわずに「目標」と言いますが)を個人の社員に課す場合もあれば、個人が属している班に課してくる場合があります。
私が聞いた残酷な話では、班をまとめる責任者の係長だかが、2万枚だかを金券ショップに持ち込み、ノルマを達成するのですが、約15万円の自腹を切りました。
尋常ではない職場環境です。
●なぜ自爆するのか?
素朴な疑問として、なぜ、こんな自爆をするのかと思いませんか? 私も最初はそう思っていました。だが、しなければならないのです。生活のために。
この時期、日本郵便では、上司の『年賀状を売れ!』『営業しない奴は契約更新ないぞ!』との恫喝を受けているのですが、もっとも立場の弱いのは、日本郵便の全職員の6割をも占める非正規社員です。
ノルマ、会社で言うところの「目標」に達しないと、上司が業務評価が極めて低いものになる。
日本郵便では、非正規社員は正社員と同じ仕事をしながら、年収は3分の1。誰もが正社員になりたいに決まっています。
ところが、通常ルートだと、非正規社員から正社員試験を受けられる最短コースは5年です。この五年の間、一度でもきつい業務評価を受けると、5年はさらに延びます。
私が取材したなかでもっとも残酷なのは、その正社員試験を目前に控えたある女性社員が、ある日、子どもが熱を出したため職場に「ちょっとだけ遅刻します」と連絡したところ、なんと「怠惰である」との評価を下され、正社員試験は一気に遠のいてしまったのです。
年賀状の場合でも、ノルマをこなさないと『上司の指導に従わない』との評価を受け、昇進の道が閉ざされます。
「だから僕たちは、泣く泣く自爆を繰り返すんです」(自爆した非正規社員)。
正社員の場合では、やはり上司にマイナスの業績評価をつけられ、給与減額などの憂き目が待っている。
●地方からも自爆のために上京
そして、私が驚いたのが、中部地方のある街から、わざわざ年賀状を売るために上京する人がいることです。話を聞いて合点がいきました。
地方都市では、街中に金券ショップが1,2軒しかない。競争相手がいないため、どのショップも安い値段で吹っかけてくるのです。たとえば「35円」。これでは1枚につき15円もの自腹です。
そこで、鈍行列車で何千円かをかけて上京して、43円で売ったほうがまだ損失は少ないということです。
●年賀状だけではない
また、夏場のかもめーるや、ふるさと小包便にもノルマがあります。
「僕の支店では、正社員でかもめーるは800枚、ふるさと小包便は年90個のノルマです。非正規ならその半分。かもめーるは金券ショップでは30円でしか売れません。小包便も1セット何千円もするので、自爆はきつい」(非正規社員の吉尾さん)
私たちが安価に買える金券ショップでの郵便グッズ。その裏では多くの人が一年中苦しんでいる。
そもそも、インターネットの普及で、どうしても年賀状売り上げは年々落ちているのに、そこで無理をさせて何が何でも数字の達成だけを目指す日本郵便の経営感覚は理解しがたいものがあります。
その労働環境の歪さに関しては、2年ほど前に記事にしたことがあります。私のHPに記事を掲載しているので、よければ覗いてみてください。
自爆営業については http://homepage2.nifty.com/kasida/social-matter/frame-jibaku.htm
郵政労働者の労働環境については http://homepage2.nifty.com/kasida/social-matter/frame-yusei.htm
<転載終わり>
これは労働問題(サービス残業の構図と同質の問題が含まれ)、且つ人権(自由の侵害)の問題であって、労働者各人の、本来の労働意思と切り離して整理されるべき、使用者(ないし事業場における)モラル低下である。
事業場で“チキンレース”が行われているのに、これを放って置く会社こそ、社会から存在価値を問われるべきだが、この点では、独占事業を多く持つ郵便という事業の所為で、市場からの「ノー」を突きつけられないのであるから、政府が強制(是正)するより他はないと言えよう。
することをせず、責任転換をするにも程がある。仕事をするのが嫌なら辞めれば良いだけのこと。あまえるな
自爆営業の何が問題か、を整理する必要があると思いました。単に感覚的(ないし趣味的)な問題ではなく。なので、以下に少々メモしてみました。
1.必ずしも強要されている証拠はないが、組織も気付いているような職場慣行になっていること。即ち黙示的な強要の可能性があること。
2.市場を広げようとしているのではなく、組織内の自己犠牲で成り立っているとすると、組織のモラルハザードだと言えること。仮に、単なる組織構成員からの所得移転であれば、組織目的(企業目的)反することになる。
3.単価の安価な「葉書」であるため、あまり問題視されてこなかった可能性もあるが、例えば自動車販売・不動産販売などでこれが行われた場合だと、相当な社会問題になる可能性があること(終戦直後に在ったような“血を売って生活する”如き…。日赤の献血担当職員が同じこと、つまり定量以上にバンバン献血をすると、たぶん社会問題になるでしょう)。
4.内部社員ではなく、取引先企業にこれを行うと、「優越的地位の濫用(独禁法違反)」となることからも解かる通り、経済的優位に立つ側、即ち既成事実を作り上げた社会的強者の利益を偏重する傾向が定着する恐れがあること。
5.必ずしも違法ではない(そういえる場合もある)が、契約自由原則に因る行為と、労働者自らが自分の保護法益の侵害に加担する(被害者による加害者への共犯)行為との境界が不明確であること。
・・・などが考えられます。