海の物語・・ホームマリンアクアリュウム

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すばらしき和歌山の海エッセー  第二章 御坊三尾海岸 ~「いつまでたっても貴方は サカナ なのね。」

2016-09-18 10:26:20 | 死滅回遊魚採集

第二章 御坊三尾海岸 ~「いつまでたっても貴方は サカナ なのよね」~

 

          (複雑な水路とタイドプールができる三尾海岸)

 

 

産湯海岸で楽しんでいた我ファミリーは海水浴は、産湯海岸と決めていた。しかし人間は欲深い浅はかなもの。当時海水魚飼育を楽しんでいた私はまたメビウスの輪の罠にかかるのであった。地図を見てここなら熱帯魚がいるかもしれない。産湯海岸の裏側にある三尾と言う海岸の岩礁地帯は複雑な水路と岩礁地帯で色々な魚がいるのではないかと思ったのだ。

 

夏休みの計画時に 奥様に「今度は産湯海岸の裏側で泳ぐよ。うちの熱帯魚にできれば新入りを迎えたいのでね」と私。

 

「いつまでたっても貴方は魚 サカナ なのよね」夕食で何かを鍋で炊いている中から ぼそっと言い放った。奥様がそのように言うときはちょっと警戒しなくてはいけない。

「私と魚とどちらが大事なの」という直接的なもの、あるいは、「魚を見るのはもう充分でしょうから他のところに連れて行ってくださいな」

 

という二つの不満と考えなくてはならない。

 

           (チョウチョウウオの幼魚はかわいらしく可憐である)

 

うーんと唸った。当時下の息子も7歳ほどになっていたので長女と一緒に連れて行っても まぁ 問題はない。岩と毒生物の知識を与えて注意して遊ばせるならそれでいいかと思った。おそらく子供は網をもって一日はしゃいでいるだろう。車には救急箱をつんでいるしいざとなったら近くの病院も調べてある。万事用意は整っている!自信はある。

 

でも、そういうことだけで終わりそうにないのである。

そう!エンターティンメントが必要だ。

 

私は魚を追いかけていれば問題ないおそらく子供らもそうだろう、しかし女性はそうはいかない。泳ぐのは嫌だし 日焼けも大敵。海岸をぼやーっと眺めているだけではそりゃつまらないだろう。なにか楽しみを献上しなくてはいけない。

 

思い立ったのは そうだ!海岸バーベキューをしよう!と決めたのだ。

 

「そうだ、海岸でバーベキューしたらうまいぞ!クーラーボックスに食材詰め込んで、ホームセンターでほらバーベキュー網や炭やらあるやろ それをつんで海に行くんや!」

 

奥様は怪訝な顔をしていたが まぁ、バーベキューを食べられるならいいかと承諾してくれたのだった。

 

          (岩場に光る宝石ミヤコキセンスズメダイ。その輝きは見るものを魅了する)

 

夏休みのお盆時、朝早く出かけると阪和高速の渋滞をさけることができるので朝は5時半出発。子供らは車の中で眠ること!を条件に 御坊三尾海岸に出発だった。

三尾海岸は日高町アメリカ村の近くにある。ちょっとここでは説明しにくいところに車を置き、岸壁の階段を下りてゆくと磯場に出る。わたしの長年のアクアリスト歴からしても理想のシチュエーションの磯場であり水路とタイドプールが交差するなかなかの海岸であった。

            (岩礁にはチョウチョウウオの成魚が見られペアで泳いでいる)

想像通り8月になるとここではチョウチョウウオの幼魚が見られるが干潮時には各種チョウチョウウオがおよいでいた。お盆あたりのチョウチョウウオは10円玉ぐらいの大きさでサイズ的にはちょうどよく採集も比較的楽である。8月末ごろになると急成長し500円玉サイズになりこれは色々な危険について知恵がついてきているのですばしこくとらえにくい。

 

チョウチョウウオでは並の他にフウライ、トゲ、チョウハンを採集し家の水槽に放ち飼った。並とトゲは星になったがフウライチョウチョウウオは2年飼育で15cmにもなった。

一度セグロチョウチョウウオを発見し、しぶとくねらったがこれはついにとらえられなかった。

 

(磯魚の定番のオヤビッチャ。これがいないと何となく磯がさみしい。)

 

この三尾海岸はその後何度か訪問し、サザナミヤッコの幼魚も採集したし、台風の後のタイドプールでヒョウモンダコも採集でき、そのうえいつも美しいミヤコキセンスズメダイやネズスズメダイ、シコクスズメダイは見られる生物相の豊かな海である。

子供らは楽しく浅場で泳いでいたが、一度私が水中眼鏡で前を泳いでいたら前に見える息子が岩から ずずずっと滑り落ち泳げず必死で岩にしがみつき溺れかけたのを助けた記憶があった。家内もその様子を上から見ていたので「魚ばかり見ていないで大事な息子も見てちょうだい!」ときついお叱りをうけた思い出の海岸でもあった。

 

さて、バーベキューは盛大に行い楽しんだがビーチパラソルは用意しているものの炎天下のバーベキューは修行である。それでなくても暑いのにさらに火を起こすなど今から考えれば滑稽なことを思い立ったものだと思う。

 

天から あひあひ。 地面の鉄板から あひあひ!

 

暑い暑いと言いながらお肉やウインナーや野菜でしこたまお腹いっぱいになりまた海に戻っていく。バーベキューは海岸で行う場合は地元の顰蹙を買うことが多い。そのため炭は土に還元されるであろうから景観を損なわない場所に廃棄。そのほかのごみはすべて責任をもって持ち帰りました。(本当です。)

 

一日楽しく遊んで最後にすることがある。ここの外洋に面する水路には15㎝以上もあろうかと思えるようなチョウチョウウオの主が住み着いているのを私は知っていた。毎年来ては彼?彼女?にお別れの時間になると挨拶をしに行くのが私の決まりであった。

「やぁ!元気でいるかい?」

チョウチョウウオの主はなにか呆れたようなまなざしで「お前も好きやな」と言わんばかりに私を睨め付け海底にしずしずと降下し青い水に溶け込んで消えていくのであった。

 

三尾海岸は楽しい行楽の海岸である、そして採集だけでなく奥様の微妙な人間の心理に目覚め、私の成長を促してくれた教えの海岸なのであった。

 

                                                       (御坊三尾の章 終)

 ※エッセーは1週間に1度程度掲載しています。次回は9月27日ごろです。

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