Open your eyes

クルマに関する妄想集(+その他のことも少し)

斜陽セグメント

2006年11月29日 00時36分19秒 | Weblog
僕はこの代のカリーナがわりと好きである。あらためてよく見ると、なんでこんなに癖のない意匠ができるのか不思議だ。もっとも、これだけさりげなく、或るカタマリ感を表現できるのはトヨタならではという気もする。

トヨタがこのカリーナを発売したのは1996年の夏で、「セダンイノベーション」 という車種横断系キャッチフレーズを覚えている。 「セダンイノベーション」… もはや、非イノベーティブであることに自らの存在価値を見つけ、どんどん懐古主義に流れている最近のセダン市場(*)から見ると、当時はセダンからミニバンへの移行が加速し、日本車のセグメントミックスの過渡期であったことがよく伝わってくる。この頃は、「いずれセダンの時代が戻ってくる」と本気で信じられていたのだ。

300万円の6気筒セダンが趣味の道具で、一方の実用の道具がコンパクトカーだとすれば、そのどちらにも属さず、一時的にカリーナの志を継いだアリオンも、現在の中高年が免許を返納するのと同じタイミングでいずれ消えていく運命だという気がしている。

(*) 新型カローラもスカイラインも、いずれも旧型より全高を低めて登場した。つまり、「セダンにもミニバンの利便性を」という一時期の風潮はすでにピークアウトし、スタイリッシュさへの志向がよみがえりつつあるのだ。
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スカイライン/マークXの広告

2006年11月27日 01時16分54秒 | Weblog
新型スカイラインが発売された。日本のオヤジたちの恋人、それは長島茂雄とスカイラインである。団塊の世代がリタイヤを控えている2006年の晩秋に登場したスカイラインの広告について考えてみた。

新型スカイラインの広告は、同社としては珍しく2人のA級タレントを起用し、「日本のクルマに、ときめきが帰ってくる」 とぶちあげる。なるほど、広告の狙いとしては間違っていない。今日び、トラディショナルな4ドアセダンに300万円ものカネを投じるのは、クルマ温度の高い人と言ってさしつかえない状況だけど、そんなカスタマーの購買意欲を刺激するためには、「若返ってモテる」、「コンプレックスを埋め合わせる」 という視点が重要である。それを表すキレイな言葉として「ときめき」 を持ってきたことは評価したい。渡辺謙とイチローを起用したことも良いと思う。意外性と既視感が40:60ぐらいで好ましい。

佐藤浩市を起用したマークXの広告にも、同じことが言える。ただ、表現はトヨタのほうがよりエグい。以前の「今日の部長、頭下げすぎです→でもカッコ良かったです」 篇は、世のオヤジたちをいたく興奮させ、マークXを買った後の生活を妄想させるに十分なインパクトを与えるという調査報告を読んだことがある。くわえて、マークXのほうはベタベタのストーリー仕立てで迫っており、分かりやすさという点では日産より一枚上手だ。ここでもやはり、三河の商人と横浜のおぼっちゃんという両社のキャラクターが出ているように思う。

話はずれるが、僕はかねてより、この手の300万円6気筒セダンの広告に矢沢永吉を使ってはどうかという案を持っていた。休日の早朝、まだ眠っている妻と子供をよそに、孤独なドライブを楽しんだ中年男(矢沢永吉)が、休憩がてら立ち寄ったコンビニの駐車場で缶コーヒーを一気飲み。中年男の相棒としてのクルマが映し出される… ほんとに缶コーヒーのCMだと誤認される危険はあるが。まあ、それを逆手にとって「BOSS」とタイアップしてしまうのもイマ風ではある。映像作品としてカッコいいか否かは問題ではなく、大切なのは「購買層の共感を得られるかどうか」なのだ。

ともあれ、スカイラインやマークXのような広告でクルマがマーケティングされることは良いことだと思う。みながみな、宦官をターゲットにしたような広告(ミニバンのそれ、ですよ)ではつまらないというものだ。エルグランドやアルファードの広告には、300万円セダンとはまた違った油っこさがあるとは思うけれどね。
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