当店には、前田さんと言う お客様が来る。
前田さんは、44歳の男性だ。
名前をだすと、おこられるので、
以後、Mさんで、記入いたします。
その、前田さんじゃなかった、
Mさんは、
去年の ある日、
当店にやってきた。
当店は、いつも、朝11:00から 営業するのだが、
その日も、朝11:00頃 当店に やってきた。
ごきげんさんだった。
なにやら、歌を 歌っていた。
よくきいてみると、
大阪ガスのコマーシャルを、うたっていた。
大阪ガスのコマーシャルを、歌いながら、当店に、出現した。
べつに、大阪ガスの従業員でも、なんでもなかった。
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YouTube: 「ガス得プラン」篇:30秒
「サスガッス サスガッス ガス得プランは~ サスガッス~~~」
と、
歌いながら、Mさんが、当店に 入ってきた。
当店の床には、溝が あるのだが、
その、溝につまずき、こけかけていても、
「サスガッス、サスガッス、ガス得プランは~~、サスガッス~~~」
と、
歌は、やめなかった。
よくきいてみると、
「サスガッス、サスガッス、ガス得プランは~~、サスガッス~~~」
の、
部分しか、歌っていない。
この部分だけを、
とにかく、
くりかえし、くりかえし、歌っていた。
「サスガッス、サスガッス、ガス得プランは~~、サスガッス~~~
マスター、焼酎水割り~
サスガッス、サスガッス、ガス得プランは~~、サスガッス~~~」
と、
歌と、歌のあいだに、注文を はさんできた。
ぼくも、まさか、注文が、はいるとおもっていなかったので、
油断をしていた。
Mさんに、注文を、聞きなおしたが、
Mさんは、歌うほうが、一生懸命で、僕の話など、きいていなかった。
たぶん、いつもの、焼酎水割り(1杯100円)かな、
と思い、
勝手に、焼酎水割りを出した。
が、
文句がでなかったので、ほっておいた。
Mさんは、焼酎の水割りを、1くちのんで、トイレに向かった。
そのあいだも、ずーっと、
「サスガッス サスガッス ガス得プランは~ サスガッス~~」
と、
歌っていた。
トイレの中からも、聞こえてきた。
もう、44歳だった。
たまに、
自分の歌にあわせて、
リズミカルに、あたまを、みぎに ひだりに ふりながら、
歌っていた。
いまだに、独身だった。
たまに、
「ガスダッス ガスダッス ガスとくプランは、ガスダッス~~~」
と、
歌詞を、まちがえていた。
しばらくして、
「サスガッス、サスガッス、ガス得プランは~~、サスガッス~~~
マスター、焼酎水割り おかわり~
サスガッス、サスガッス、ガス得プランは~~、サスガッス~~~」
と、
また、
歌と 歌のあいだに、注文を入れてきた。
今度は、聞き もらさなかった。
Mさんは。結局、約1時間30分くらい、当店に いてたが、
そのかん、ずーっと、
「サスガッス、サスガッス、ガス得プランは~~、サスガッス~~~」
と、
この部分だけを、歌っていた。
ただの、アホだった。
Mさんの、お会計は、焼酎水割り3杯で、300円だった。
かえりの、自転車に またがりながら、Mさんは、
まだ、うたっていた。
まえからきた、3~5歳くらいの子供が乗っている自転車に、
ぶつかりかけていた。
が
うたは、やめていなかった。
Mさんが、かえり、ホットした僕は
いつのまにやら、
自分で、
「サスガッス、サスガッス、ガス得プランは~~、サスガッス~~~」
と、
歌っていた。
アホは、
ぼくだった。
ぼくも、
その日、1日中、
「サスガッス、サスガッス、ガス得プランは~~、サスガッス~~~」
と、
歌っていた。
いや、
いまだに、
まだ、
こういしょうが、残っている。
「サスガッス、サスガッス、ガス得プランは~~、サスガッス~~~」