12月の救済法案が通った時から「どうせ3月には破綻危機」の声が・・・。
市場は春まで強気という見方もありますが長期はずっと売りのままですから。
<ECONOMIC NAVIGATOR> 米新車販売台数の急落に歯止めがかからない。1月は前年同月に比べ4割近くも減少し、深刻な経営難に陥っている米自動車大手3社(ビッグ3)の落ち込みが特に激しい。米政府からの緊急融資で足元の運転資金をつないでいるゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーの資金繰りは厳しさを増しており、再建計画の練り直しは必至だ。一方、日本メーカーの苦境も続いており、生産体制の一段の縮小は避けられそうにない。【宮島寛、ワシントン斉藤信宏】 ◇計画練り直し必至 米自動車最大手GMの1月の新車販売は前年比でほぼ半減、クライスラーは54・8%減と下落率が5割を超えた。両社は昨年末、政府に支援を求め、計174億ドル(約1兆5500億円)の緊急融資を受けることが決まった。このうち134億ドルはすでに実施されており、両社とも「政府からの融資でようやく年越しの運転資金を工面した」(米金融関係者)というのが実情だ。 GMは販売減に対応するため、工場の操業停止など生産調整を強化。1月の北米生産を前年比78%減の6万5000台まで減らし、1~3月期でも57%減の38万台まで絞り込む。クライスラーも昨年12月下旬から1カ月間、北米の全工場の操業を止めるなど運転資金の節約に努めてきた。 しかし、両社とも販売の減少は止まらず、資金流出も続いている。販売不振で在庫が増大し、その分、工場の稼働を抑制せざるを得ないという悪循環を断ち切れなくなっており、再建に向けた展望は開けていない。GMは米国内の工場を対象に追加の人員削減を実施すると発表し、クライスラーも人員削減に踏み切る見通しだが、「抜本的な再建にはつながらない」(米自動車アナリスト)との見方が大勢だ。 今月17日には政府による追加支援の前提となる経営再建計画を両社が提出する予定だが、再建計画が十分ではないと判断されて追加支援を得られなければ、経営破綻(はたん)に直結する公算が大きい。両社とも昨年末に続き、再び存続に向けた正念場を迎えることになりそうだ。 一方、政府支援を受けなかったフォード・モーターも、08年決算で純損失が145億7100万ドルと3年連続の赤字になった。赤字幅は前年の27億2300万ドルから大幅に拡大。特に金融危機の影響を受けた08年10~12月期の落ち込みが激しく、3カ月間で手元資金が約55億ドル流出しており、GM、クライスラーと同様に経営危機に直面する恐れが強まっている。 ◇日本勢も悪化の一途--生産体制縮小は不可避 日本メーカーの1月の米新車販売は、米ビッグ3ほどではなかったものの、いずれも約3割の大幅減となった。各社は、既存工場の閉鎖をできるだけ避けながら、操業を一時休止するなどの手法で生産調整を進めている。だが、国内外の市場回復のめどが一向に立たない中、「工場の統廃合も必要」(アナリスト)と、一段のリストラの必要性を指摘する声も出始めた。 「年が明ければ市場が多少は持ち直す、という淡い期待は砕かれた」と、中堅メーカー役員は嘆く。各社とも大型車の販売減が続いているうえ、昨年夏まではガソリン高で好調だった小型車の販売も減少している。大型車が主力の米ビッグ3に比べれば落ち込みはまだ小さいものの、日本メーカーにとって世界販売の約4割を占める米国での販売減少の影響は大きく、業績予想の下方修正が相次いでいる。 国内各社は「市場縮小は当面続く」と見ており、トヨタ自動車は北米8工場を4月初旬までの約3カ月で最大30日間休止し、国内でも2~4月の1日当たりの生産計画を前年比で半減させる。日産自動車やホンダなども減産を強化しており、国内メーカー主要12社の今年度の減産規模は280万台を超える見通しだ。 各社の工場稼働率は、黒字確保に最低限必要とされる7割を下回り始め、売り上げがないまま工場の維持費が重くのしかかりつつある。このため、一部メーカーは既存工場の生産ライン縮小など生産体制の抜本見直しの検討も始めている。 毎日新聞 2009年2月5日 東京朝刊