Asian Railway Plaza

アジア各国の鉄道やJR南武線の話題などをお届けします

フィリピン国鉄(PNR)、乗務員室に添乗-その2

2024年02月27日 15時59分32秒 | フィリピン
昨日はTutubanとGov.Pascual間を結ぶ北方線について簡単に説明しましたが、本日はTutubanとAalabang間を結ぶ南方線について簡単にに述べていきたいと思います。

現在、この区間で使用されている車両はDL+EMU203系の5両もしくはINKAのDMU8100系4両編成で、昨年7月下旬の訪問時において両形式ともに使用され、今年1月中旬においては203系しか確認できませんでした。
昨年7月下旬ではINKAのDMU8100系に、今年1月中旬では203系を牽引するDLの乗務員室に添乗しましたので、それを元に話しを進めていきたいと思います。

Tutuban〜Alabang間の距離は約28kmあり、現在の所要時間は1時間25分ですが、ROTEMのDMUが配置されたあとの2010年6月現在の時刻表を見ますと、所要時間は僅か55分で、現在ではその当時の1.5倍くらいかかっています。
これは2015年4月29日にEDSA~Nichols間において、何者かによってレールとレールを結ぶ継目板を盗んだことにより、列車の脱線事故が発生し、その後5月5日より全線にわたり運行中止となり、マニラ近郊区間の全線において、軌道や車両等のメンテナンスが実施されましたが、2015年の7月23日の運行開始から安全性の確保を高めるため、基本、全線に渡って最高速度40km/hとなり、以前のように60km/hぐらいで走行することはなくなりました。


また、Tutuban〜Alabang間の1日の運行本数については、今年1月12日までは28本、2月12日からは22本となり、データイムの運転間隔がほぼ1時間間隔であったのが2時間〜約3時間半置きになってしまい、Tutuban11:26→Bicutan12:40 13:04→Tutuban14:18の列車も1月13日からの運休で非常に利用しづらいものになりました。

基本的な情報はここまでとし、下の写真の列車の乗務員室にお邪魔しました。


列車はTutuban15:06発で、定刻時刻に発車しました。Tutuban駅北方のデルタ線で列車は右に90度曲がり、LRT1号線の高架駅が見えてくるとBlumentrittに停車しました。
続いて、ここから以前までは複線であったものが現在では単線になりますが、NLEX支線の高速道路建設によって資材置場の確保、建設工事場所の確保等行う上でPNRの軌道の一部がそのスペースに転用され、単線になることを余儀されなくなってしまったようです。元々はこの高速道路は標準軌用の鉄道用地として計画されていたのですが、フィリピンの都市・交通計画には一貫性なしでその場凌ぎのところが多く、計画は変更されてしまいました。

次の停車駅はLaon Laanですが、この駅はいつの日からか停車しなくなり、旧駅舎の北西側に仮のプラットホームが建設され、いつしか使用されるものと思われていたものの停車していませんでした。その後の一般メディアでのマニラ首都圏におけるPNRの2014年1月中旬の運行休止予定の報道があった後も結局使用されないものと誰もがそのように思っていたところ2023年10月17日に突如と営業開始されました。


軌道の北東側にも高速道路のギリギリ真下あたりに仮ホームが設置されていますが、下の写真のようにこちらには屋根がなく、駅南東側の2本の軌道は緩衝するようですので、おそらく北東側のホームはこのまま使用されないのではないかと推測されます。


次のEspaña駅に近づきますと、現在のNLEX支線の高速道路の終点出入口があり、ここから先は建設中ですが、将来的にはNLEXとSLEXを結ぶSkywayと結ばれることになります。

QuiapoとQuezon Cityを結ぶEspaña Blvd.の通りを通過しますとEspaña駅に到着します。
ここはSampaloc地区の中心地であり、Sampalocとはタマリンドを意味しますが、タマリンドはフィリピン料理には欠かせないもので、味は酸っぱく、シニガンスープなどに入れます。
また、アジア最古の大学とも言われ、フィリピンの最も英雄とされているホセ・リサールも学んだサントトーマス大学が近くにあります。

Españaを出発しますと、単線区間は次の駅のSta.Mesaまで続きますが、軌道は高速道路の建設で変えられてしまったのか、ヘロヘロの状態となります。
左側の軌道は使用されていませんが、右側のレールがほとんど見えないようなところを20km/hぐらいでゆっくりと進みます。


LRT2号線の高い高架橋が見えてくると間もなくSta.Mesaに到着し、この駅手前から複線区間に戻ります。
本日はここまでとし、その続きは後日に説明などさせていただきたいと思います。
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フィリピン国鉄(PNR)、乗務員室に添乗-その1

2024年02月26日 00時50分58秒 | フィリピン
フィリピン国鉄(PNR)の話題の続きですが、先日も述べましたように最近のマニラ訪問はコロナ以降は昨年7月下旬と今年1月中旬で、いずれの期間においてもPNRの事務所を訪問し、PNR敷地内での撮影と列車への添乗許可証をいただき、両方の許可をなんとかいただきました。
フィリピンもインドネシアもそうですが、2005年頃までは車庫や駅構内などの鉄道敷地内では撮影に対しては全くお咎めもなく自由に撮影でき、乗務員室への添乗、運転士にチップを渡せば自由に乗り降りも可能でありましたが、年々、鉄道会社での規律も厳しくなってきたのか、乗務員室への添乗許可は許可証がないかぎり難しいもので、車庫内など鉄道敷地内での撮影においてもやはり許可証が必用で、許可証の申請においては担当部署にフォーマルなレターの提出が求められます。そんな面倒くさいことをしてまでも取得する必用があるのかというと、やはり最近の鉄道雑誌に出される記事にはいい加減なことをお書きになる糞ライターさんもおり、しかも勝手に私のブログの記事をそのまま引用する者も居るのですが、私はできるだけこのブログをご覧いただいている方々に対しては正しい情報をお届けすべく、訪問時の様子を的確かつ詳細に発信できればという考えのもとで、列車への添乗を実施し、皆様にその様子を少しでも味わっていただきたく、参考にしていただけたらと思っております。

皆様にはその糞ライターさん、あえて名前を出さなくてもわかる方はいらっしゃるかと思いますが、私は読者のためにと思いそのライターさんには一部記事の校正、取材や撮影で必用な撮影許可証の申請方法の伝授など協力いたしましたが、お金を払って購入していただいている読者に対してできるだけ正しい情報をお伝えしようという努力がまったくないこと、ご自分の名誉や原稿料、印税など金銭的なものを優先していることが明らかであり、毎月のように平然と鉄道雑誌等に記事を出されていることに、私も読者の1人として我慢ができないわけです。
まあ、そのようなことについては今回この場で長々と書く必用もありませんので、この辺で終わりにして次に進めたいと思います。

下の地図は複線区間は2本線、単線区間は1本線で表現しています。


ということで、昨年7月下旬はBicutan発の列車でGov. Pascualに乗り入れる列車に添乗しましたが、北方線部分に関して述べますと、Tutuban〜Gov.Pascual間は南方線の分岐部までは西側の線路(南方線の上り)を使用し、分岐部から終点Gov.PascualまでとBlumentritt〜Solis間のデルタ線は棒線状態の単線で、途中、列車の行き違いができる施設もなく、終点、Gov.PascualでのDLの機回線もないため、DMUしか乗り入れることができません。
CaloocanにあるPNRのWork shop付近から線路は終点Gov.PascualまでNLEX支線の高速道路の直下をひたすら走ります。


Bicutan発Gov.Pascual行きの列車はBlumentrittまではそこそこの乗車率で、乗客がほぼ座れる程度でしたが、Blumentrittを過ぎると乗客は0に近く、空気と乗務員、レールウェイポリスを運ぶだけのような列車になってしまいました。


また、北方線に乗り入れるTutuban〜Gov.Pascual〜Bicutan間の列車には昨年7月下旬時点ではROTEMの05編成が主に充当されていましたが、ROTEMの車両の不調により、現在ではINKA8100系の4両編成が充当されているようです。
終点、Gov.Pascualでの折り返しは夕方のBicutan行きを除けば10分にも満たないうちに発車しますので、ちょっと駅周辺を散策するとか、おやつタイムにするとかもできず、すぐに列車に乗り込むしかありません。


また、Gov.Pascualを発着する列車は限られますが、以下のとおりです。
Tutuban6:41→Gov.Pascual7:04 7:12→Bicutan8:46 9:02→Gov.Pascual10:26 10:35→Tutuban10:58

Tutuban16:21→Gov.Pascual16:44 17:14→Bicutan18:45 18:55→Gov.Pascual20:19 20:30→Tutuban20:53
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浜川崎線(南武支線)205系!夢の全車大集合撮影会! in 鎌倉車両センター中原支所開催

2024年02月25日 15時14分05秒 | 南武線
昨年12月18日のことになりますが、浜川崎線(南武支線)205系!夢の全車大集合撮影会! in 鎌倉車両センター中原支所が開催され、205系の撮影会には相応しい参加費20,500円を払って参加させていただきました。

浜川崎線で使用されている205系3編成が全て勢揃いする撮影会ですが、昨年夏頃に新潟で使用されていた3扉のE127系のV12、V13編成の2本が転用改造を受け、装いを浜川崎線205系で使用されてきたクリーム色帯を除く青緑と黄の帯色を纏い、それぞれV1、V2編成として中原支所に転入しました。
昨年9月13日にはこの2編成ともに営業を開始し、今まで使用されてきた205系のW1とW2の編成は新潟から転入したE127系によって置き換えられ、国府津に疎開されていましたが、この撮影会に合わせ中原支所に戻り、現在も活躍しているW4編成も中原支所に回送され、浜川崎線で使用されていた全ての205系が勢揃いする夢の撮影会となりました。

南武線ファンにとっては夢のような撮影会でありますので、ある程度納得のいける金額であれば参加したいと考えていましたが、このような有料撮影会のお知らせがいつ出てくるのかわからず、不意とJREモールをチェックしていたところ売り出し直前の15分前に撮影会のお知らせが出ていることを知り、説明文もよーく読まずに午前の部に申し込んでしまいました。
申し込んだあとに説明文をよーく読んでみると、午前中の部でも”立川方がメインになります”と書いてあるではないですか。ということは晴れてしまったらお顔は影になってしまい綺麗に撮影することができないことをキャンセルができない1時間後に知りました。
私はメールで”川崎方がメインでないのであれば午後の部に変更できませんか”というメッセージを送り、翌日には一応電話で確認してみたのですが、その翌日の夕方に”川崎方がメインになり、誤記でしたという訂正の説明をいたします”という連絡を電話でいただき一安心できました。


何はともあれ、開催時には天気にもある程度恵まれ、上の写真のように満足できる撮影会となりましたが、先日、どこかの有料撮影会において架線のビームの影が車両のお顔にかかってしまい、車両を柔軟に少しでも動かすことができず、参加者には不満が多く残る撮影会がありましたが、中原支所の撮影会においてはこの撮影会以前に2度程参加させていただいた撮影会においても参加者に対しての配慮が相当行き届いていることを感じます。


曇ってきましたので、立川方も撮影させていただきましたが、やはり順光であると被写体は映えますね。ただ、LEDの行先表示等がよく見えないのが残念なところですが、新潟から転入したE127系は1995年生まれの車両であり、この205系たちと5年少々しか年齢差がないものの行先表示が幕式なのはいいところかもしれません。

また、撮影会後の12月21日には中原支所から国府津車両センターに返却されるということで、205系2+2の4両編成の姿を見たくて武蔵中原駅に行ってみました。
出発の5分ぐらい前に入線し、私も含め50人ぐらいのギャラリーたちはしきりにシャッターを切っていました。


下の写真のような姿、国鉄時代であれば南武線の101系や103系では3+3編成が多くありましたし、73系では基本編成4+付属編成2の編成ではお馴染みでしたが、先頭車+先頭車の組み合わせする姿は久しぶりなのかもしれません。


最後に2022年3月のダイヤ改正前まで続いていた中原支所から浜川崎線への送り込み回送ですが、矢向駅付近で引き起こした車両故障が引き金になってしまったのか、すべて鶴見線営業所からの回送となり、南武線本線内で浜川崎線の列車を見る機会が交番検査等でしか見られなくなってしまいました。
当時、01H運用は武蔵中原〜尻手間は回送扱いし、尻手1番線から客扱いとなりますので、物好きな人にとってはほんの僅かなこの貴重な体験は嬉しかったのではないかと思いますが、私がまだ小学生低学年であった昭和50年以前は武蔵中原始発、浜川崎行きのクハ16+クモハ11が営業列車として運行されており、鹿島田から尻手までこの列車に乗車したことがありますが、ほとんど乗客は居ませんでした。
最後にいまだに廃車されず国府津に留置されているW1とW2の205系の今後の去就はどうなるのか気になるところですが、どこかで活躍できることを南武線ファンの私としても願いたいところですし、譲渡や廃車前に川崎市市制100周年のイベントで浜川崎線4両編成もしくは6両編成で川崎〜登戸間をかつてのドラえもん号もしくはアゼリア号のように走り、ターボ君のような加速ぶりを南武線本線で演出してほしいものです。


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フィリピン国鉄(PNR)、マニラ首都圏の状況について

2024年02月21日 02時03分00秒 | フィリピン
一昨日はフィリピン国鉄(PNR)のBicol地域の状況について、昨日はCalabarzon地域の状況について述べていきましたので、最後はマニラ首都圏について簡単に述べていきたいと思います。

先日も述べましたとおり、私は昨年7月末と今年1月中旬にフィリピンに訪問し、2度の訪問でフィリピン国鉄の状況を見てまいりましたが、マニラ首都圏においては南北通勤鉄道(NSCR)の建設工事を加速するため、各メディアの報道によりますとPNRは2024年1月中旬を目処に運行を中止するという報道を受け、運行最後のXデーを1月15日と仮定し、最後の活躍する姿を撮影すべく1月11日に東京からマニラを訪問しました。しかしながらそのXデーが過ぎても現在でも運行されており、いったいいつになったら最後の運行を迎えるのかまったくわかりません。
マニラ首都圏の運行状況としては下の地図のとおりで、列車の運行体系として1つはTutuban〜Alabang間、もう1つはTutuban〜Gov.Pascual〜Bicutan間、そして現在では運行が中止されているTutuban〜Bicutan間の3つのルートで、Alabang〜Calamba間については昨年7月より順次運行が中止され、現在、この区間では工事を推進すべくレールが一部撤去されています。


また、基本の1日の運行本数は今年1月12日までは、Tutuban〜Alabang間が28本、Tutuban〜Gov.Pascual間が4本、Gov.Pascual〜Bicutan間が4本、Tutuban〜Bicutan間が2本の合計38本でしたが、13日から下の表のようにデータイムを中心に徐々に運行本数が削減され、1月20日から2月10日頃までは26本まで落ち込みましたが、ここ最近では4本増えて合計30本になりました。
昨年から今年1月12日までの基本が38本で、データイムはおおよそ1時間置きの運転間隔であったものの現在では2時間〜約3時間半置きというのは淋しいものになってしまいました。

続いて車両についてですが、Tutuban〜Alabang間に充当される車両は昨年7月下旬では203系とDMU8100系が使用され、今年1月中旬においては203系のみが使用されていました。


203系で使用可能な編成は下の編成表のとおり02、04、05、06、07の5編成で、04と07の編成には車体色が塗られていないグレーの車両が今年1月でも存在しましたが、2月にはその2編成にPNR203系では基本の色で塗装され、オレンジ帯については従来どおり腰部ではなく裾部分に塗られて2種類を楽しむことができるようになりました。


04と07編成は長い間グレーのままでしたが、今年2月にPNRの基本色に塗り替えられ、グレーの203系は見られなくなってしまったようです。
また、前面窓部分にも青色で塗られてしまい見た目はあまりカッコいいものではないようです。


最新の編成表は以下のとおりです。詳細な組成状況については確認しておりませんので、あくまでも参考程度にお願いいたします。


また、08編成もTutubanヤード内に留置されていますが、基本は部品取り用の車両です。


DMU8100系については8101Fから8104Fの4本がTutubanに配置されており、昨年7月下旬ではTutuban〜Alabang間の運用に充当されることもありましたが、今年1月中旬では充当されておりませんでした。しかしながらROTEMのDMUであるDMR1型の05編成の不調により、Tutuban〜Gov.Pascual〜Bicutan間の運用にこの8100系が充当されていました。


先程述べました韓国ROTEMのDMUであるDMR1型は昨年7月では05と06編成が稼働できる状況だったと思いますが、06編成は昨年の夏あたりから稼働できていないようで、05編成のほうについても昨年末あたりから稼働していないようです。


05編成はブラックフェイスに変更され、INKAのDMUである8000系や8100系と同じような塗り分けになりました。


最後にINKA製造のDHL9000+PC8300の第1編成がTutubanヤード内に留置され、長い間運用についていませんが、こちらも機器の不調があるようで、どうもDHLのCPの調子が悪いとPNRの社員が述べていました。


以上がマニラ首都圏における車両の状況ですが、短時間で観察したり、人から聞いた情報ですので、あくまでも参考程度にお願いいたします。
また、今後予定されているマニラ首都圏の運行休止に伴いINKAのDMU8000系及び8100系、ROTEMのDMR1型、INKAのDHL9000+PC8300、EMUの203系についてはCalamba以東で使用する計画があり、現在運休区間での使用と現在運行区間での列車増発用としての使用が早くて9月頃から予定されております。
しかしながら、現在もマニラ首都圏では運行が続行されており、運行休止が3月以降になりますと、車両の運搬や整備などにも時間を要すため当初の予定時期が遅れたり、運休区間で運行開始したとしても利用状況が芳しくない場合は運休となることも想定されるため、まったく先の状況が読めません。
車両関係については以上になりますが、Tutuban〜Aalabang間でも乗務員室への添乗をさせていただきましたので、また、時間がありましたらそちらの話題でも述べていきたいと思います。
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フィリピン国鉄(PNR)、Calabarzon地方の状況について

2024年02月20日 18時25分08秒 | フィリピン
Bicol地方の状況に続き、本日はCalabarzon地方の状況について述べますが、Calabarzon地方はマニラ首都圏東方から南方にかけて近接する数州のエリアからルソン島南東部に位置するBicol地方に挟まれた地域で、フィリピン国鉄(PNR)の現在運行されている区間においてはCalamba〜San Pablo〜Lucenaがその区間に該当します。


2023年7月27日朝の出来事については前回述べたとおりで、前日と同様に朝食後に再びNaga駅で1時間ほど観察したあと、次の目的地Lucenaをバスで目指します。
LucenaまではNagaからおよそ200kmあり、Lucena17:50発の列車に乗車し、San Pabloまで行くことになっていましたが、バスのチケットは取っておらず、しかも時刻は10時近くということで、この列車に今日のうちに乗車できるかどうか微妙でした。バスターミナルに行ってみるとLegazpi方面からマニラ方面に向かうバスが到着しているので、車掌に聞いてみたところ私ども3人分の席はあるので乗り込み、バスは10時30分頃に出発しましたが、およそ6時間でLucenaに到着できるのか微妙という感じでした。途中、この乗車したバスにはなぜか昼食の食事休憩もなく、パンクなどのアクシデントにも見舞われず済んだことから16時頃にLucenaに到着し、あとはトライシケルに乗車して駅に向かいました。
Lucenaの街は大きな街で、もう少し時間があればLucenaのB級グルメと言われるTasa sa chami(焼きそば、パンシットの一種で、大きなお椀に盛られたもの)を食べて行きたいところでしたが、そのような余裕の時間がなく駅へそのまま直行しました。


Lucena駅は街の中心地から南に位置し、鄙びた感じのところにあり、地元の人でなければわからないところに駅がありました。
切符を購入し、列車の乗務員や駅員に乗務員室添乗許可証を見せると、お待ちしていましたと挨拶をしていただき乗務員室へ案内されました。


今回乗車するのは上の写真のとおりINKA製造のDMU3両編成の8100系(8102)で、PNRではINKA製造の車両としては最も早く導入された車両で、導入当初はマニラ首都圏で使用されていました。
また、今回乗車するこのLucena〜San Pablo間は2013年から運休していたものの2022年6月25日に運行再開し、8本(4往復)の列車が運行されていましたが、訪問時においては2本(1往復)のみの運行となっており、San Pablo6:15発→Lucena7:47着、Lucena17:50発→San Pablo19:22着になっております。
私とウチの子は乗務員室にお邪魔させていただき、ウチの家内はあまり興味がないのか客室に座って眠り込んでしまいましたが、普通の方であればやはり当然なのかもしれません。
列車は定刻17:50に発車すると、Lucena駅が街の南側の外れに位置することからあっという間に市街地の風景から田園風景へと変わりました。
その後はひたすら直線区間を快調に列車は進むばかりでした。


車内はどんな感じかと言うと、Lucena周辺ではある程度の乗客は居るものの徐々に降りていく人ばかりで空席が目立つ程度ですが、途中の駅から乗車する人に対しては下の写真のように車掌が切符を販売しています。


18時30分を過ぎると当たりは暗闇に包まれ、前方の見通しは悪くなるのですが、そのような中で列車は1台の車を発見し急停止しました。
下の写真のように線路脇そばに車が止まっており、このまま列車が進むと車に接触する恐れがありますが、運転士は警笛を鳴らして持主に知らせると、持主らしき人がすぐに現れ、ひたすらPansensiya na ho kayo!(ごめんなさい!)と言って、車はすぐに移動しました。


上記のような軽いトラブルがあったものの1時間半の旅はあっという間に終わり、San Pabloには駅本屋側のホームが6両編成に対応する本線側に入線し、定刻19:22に到着しました。

このあと、Calamba方面から列車が19:30に到着するのですが、昼食を取っていなかったためかウチの子が駄々を捏ねはじめ夕食にしようよと言い始めました。19時半過ぎても列車が到着しないので、駅員に尋ねてみると列車は遅れているとのことで、10分程遅れてようやく到着しました。
列車からは20人程降車しましたが、思っているほどの利用客は少ないことからなのか2023年12月下旬から運休になっています。
下の写真は左側の列車がLucena〜San Pablo間の車両(8002F)、右側の列車がSan Pablo〜Calamba間の車両(8001F)です。


列車が到着したところで、フィリピン人皆大好きなジョリビーではなく、すぐにマクドナルドへ直行しました。ウチの子はマクドナルドが大好きなようですが、マクドナルドには今や店員に直接オーダーするのではなくタッチパネルでオーダーするのが主流で、あのタッチパネルでオーダーするのが私は不得意で困ります。
また、San Pabloの街はLucenaに比べたら小さいもののある程度の宿泊施設があり、私達も街の中心から北西に1km離れたところにチェックインしました。

翌日朝は5時過ぎに起床し、こんな朝早くから食欲はないので駅にそのまま直行しました。


San Pablo〜Calamba間を走る列車もSan Pablo〜Lucena間の列車と同様に1日2本(1往復)しかなく、時刻は以下のとおりですが、先程も申し上げましたように乗客の少なさ等から2023年12月下旬からCalamba〜San Pablo間の運行は中止されています。


下の写真は左側の列車が6:23発のCalamba行きで、右側の列車が6:15発のLucena行きで、このような顔を付き合わせた姿を見ることができました。


Calamba側から見ると下の写真のとおりで、見た目6両編成のような姿を見ることができました。

昨日と同様に乗務員室添乗許可証を乗務員に見せるとウチの子といっしょに乗務員室へと導かれました。ウチの家内は昨日と同様にあまり興味がないので客室で朝寝タイムになりました。

San Pabloを定刻6:23に発車するとLucenaと同様にすぐに田園風景となりましたが、San Pabloは標高約230mもあり、Calambaへの途中駅Los Bañosに向かって徐々に高度を下げていきますので、途中、 Palicpic-Ayungin BridgeやSitio CurvaのΩカーブのダイナミックな光景や前方には成層火山のMt.Makilingの見事な姿も見られます。


Sitio CurvaのΩカーブを抜けると学園都市内の駅の1つであるIRRIに停車しますが、この駅も簡易な階段で乗り降りすることになります。


また、車内の状況ですが、やはり乗客は少なめで1車両に10人程度、学園都市であるLos Bañosの町内の各駅から生徒らしき方が乗車する程度でした。

およそ33kmの区間を1時間ちょうどで走り抜け、Calambaには定刻7:23に到着しました。
2023年7月28日時点で、Calamba〜San Pablo間、San Pablo〜Lucena間にそれぞれ1日2本(1往復)の列車が運行されていましたが、1日のうちに乗り継ぐことはできず、San Pabloに泊ることが必用でした。
Calamba〜San Pablo間の運行再開予定は早くて2024年9月頃のようで、マニラ首都圏での運休が大前提になるようです。


最後にCalambaのヤード内にも色々な車両が留置されていましたので、撮影許可証をPNR社員に見せて車両をみさせていただきました。
キハ59こがねが留置されていますが、現在、使用できるのかどうかはわかりません。また、14系寝台車も留置されていますが、綺麗な車両は居なかったようです。


この他、DOST(科学技術省)開発のHET(ハイブリット・エレクトリック・トレイン)も留置されており、昨年は試験のため使用されていたかと思いますが、ここ最近使用されているのかどうかはわかりません。


以上でBicol地方とCalabarzon地方の状況について簡単に説明しましたが、次回はマニラ首都圏地域の話題について述べていきたいと思います。
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