ケイの読書日記

個人が書く書評

東野圭吾「真夏の方程式」

2014-05-03 12:47:22 | Weblog
 去年の夏、映画館で観たとき、なんてやりきれない話だろうと思ったが、今日、小説を読み終えて、もっとやりきれないと思った。

 夏休みを、伯母一家が経営する海辺の旅館で過ごすことになった、小学5年生の恭平君。湯川も、仕事でその地を訪れ、その宿に泊まることになった。
 翌朝、もう一人の宿泊客が死体で発見された。その客は、元刑事で、以前この海辺に縁のあった男を逮捕していた。これは事故か、それとも殺人か?


 ここからはネタバレバレなので、未読の方はご注意ください。

 
 この恭平君の伯父はクソだと思う。もし、この男が私の目の前にいたら、おもいっきりグーで殴っていたね。自分の甥っ子に何をさせるんだ!!! 元刑事には、徹底的にしらを切ればいいんだ。「何の話ですか? 誰ですか?その人。変な話は止めてください」って。もう済んだ事件。何もできない。

 それに、あの末期がんで入院している男! よくもまあ、ぺらぺらと喋るなぁ。秘密は墓の中まで持って行けよ! だいたい、すべての発端はアンタにあるんだぞ!

 湯川も湯川だ。恭平君が自分のやってしまった事にうすうす気付き、湯川に告白しようとするのに、はぐらかす。自分の考えを滔々と述べる。なぁ、聞いてやれよ、恭平君の告白を。彼は吐き出したいんだ。胸の奥にある、大きな黒い塊を。
 湯川の出した結論、恭平君との別れ際にかけた言葉はこうだ。
 「今回のことで、君が何らかの答えを出せる日まで、私は君と一緒に同じ問題を抱え、悩み続けよう。忘れないでほしい。君は一人ぼっちじゃない」
 恭平君は、少し救われたと思うよ。


 それにしても、誰もあのクソ伯父を糾弾しないのが不思議! この先、甥っ子に会う時、少しは後悔するんだろうか?

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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お邪魔虫です・・。 (サナダ)
2014-05-04 00:38:27
まぁ血は繋がってないし偶にしか会わないし自分では出来ないから別にいっかぁみたいな感じですかね。
犯罪一家に巻き込まれた恭平くん、本当に可哀想でした・・。
サナダさんへ (kei)
2014-05-04 22:20:58
 コメント、ありがとうございます。
 殺された元刑事、人情に厚い、すごくいい人だという事は分かりますが、開けてはならない秘密の扉を開けてしまいました。
 相手の家庭にも、事情があるんだよ。もう16年もたってるんだ。そこを考えて欲しかった。

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