ケイの読書日記

個人が書く書評

米原万里 「ヒトのオスは飼わないの?」 文春文庫

 | 米原万里
 ロシア語通訳・エッセイストの米原万里が、大学時代の恩師に「一昨年の猫2匹に続いて、昨年は仕事で出会った野良犬1匹を連れ帰ってしまいました」という年賀状を出したところ、恩師から元旦早々電話があり、「イヌ、ネコもいいけどねぇ、君、ヒトのオスを飼いなさい、ヒトのオスを!!」と言われたそうだ。
 結局、彼女はヒトのオスを飼う事なく、2006年に56歳で亡くなっている。
 
 ヒトのオスにはキビシイが、イヌやネコには惜しみない愛情を注ぐのだ。ペットショップで買うというより、ひょんな事で出会った捨て猫や野良犬に、どうしようもなく惹かれてしまうみたい。

 
 万里さんの自宅は、大田区馬込という所にあったらしいが、しかし、こんな街中で何匹もの犬や猫を飼って、しかも猫は放し飼いで、ご近所から苦情は出なかったんだろうか? 
 万里さんも近所迷惑な人なのだ。新しく仔猫を連れ帰ったら、古株の猫たちが怒って家出。3軒隣の家の屋根でハンガーストライキをしているので、万里さんがその家の屋根の方に、猫用の煮干しを投げてやったらしい。
 おトイレも、家の中のネコ砂トイレでは絶対しない。どこかの家の庭でササッと済ませるんだろう。そうすると住人はいい気はしない。特にガーデニングに凝っている人は、花壇を荒らされて。

 ご近所も、万里さんが昔からの住人なので、苦情が言いにくいんだろうね。
 万里さんの家の中も、大変なことになっている。オス猫は去勢してあるが、それでも家の中でマーキングをやりだし、あちこちにオシッコをスプレーする。強烈なニオイ。家人は鼻が慣れるだろうが、客は鼻をつまむしかない。
 いやーーー、うちにも猫が1匹いるが、私には多頭飼いはムリという事がよく分かる。


 それよりもわたしには、ソ連崩壊前後のロシアの様子が色々書かれてるのが興味深い。
 1995年、万里さんは、仕事で行ったモスクワで、2匹のブルーペルシャの赤ちゃん猫を譲り受け、アエロフロートで帰ることにした。破格に安いのでファーストクラスにしたが、そのファーストクラス内を、ちび猫たちは自由に飛び回れるのだ!うっそぉぉぉぉ!!!信じられない。
 アエロフロートのスチュワーデスさんたちは、皆、そろって猫好きで、人間より猫に親切。
 そうだ、アエロフロート、昔読んだ『エロイカより愛をこめて』の中で、ジェームズ君が「アエロフロートのコーヒーは泥水のようだ」って言う場面があったなぁ。懐かしいなぁ。
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