ケイの読書日記

個人が書く書評

丹野未雪 「あたらしい無職」   タバブックス

2017-10-20 17:19:04 | その他
 作家さんも、いろんなタイプの人がいて、作品に全く担当者が出てこない人と、頻繁に出てくる人がいる。まぁ、エッセイを主な仕事としている人は、担当者が登場する割合が高い。当たり前か。
 益田ミリや群ようこ、岸本葉子さんたちのエッセイに登場する出版社の人は、大手の社員という事もあり、収入も多そうで知的水準も高く、人間的にも素晴らしいという印象を受ける。三浦しをんの『舟を編む』だっけ。映画化もされた。儲からない辞書を作る部署で奮闘する編集者と、彼の依頼をうける学者たちの話だった。素敵だった。憧れちゃった人、多いと思うよ。
 でも、中小というか零細事業所は大変なんだ。この『あたらしい無職』を読んで、よくわかった。

 筆者は1975年宮城県生まれ。社会人になった最初から、非正規雇用で出版社のアルバイト・契約社員・派遣社員として働き、何社も渡り歩く。雑誌や書籍の編集や執筆、構成に携わる。
 
 39歳の時、大手の出版社の雇い止めにあい、無職になった。大手なんだからちゃんと雇用しろ!!と声を大にして言いたいが、この出版不況で出版社もどんどんリストラが進み、所属部署が無くなり、かつての上司も転職したそうだ。
 大手出版社正社員から、中小出版社に転職って…正直キツいだろうね。

 筆者は、転職するときも、何社も書類選考で落ちてショックを受けていたが、なんとか社員10人くらいの編集プロダクションに正社員として勤める事になった。ボーナスを楽しみに頑張っていたが、結局1年で辞めてしまった。
 仕事が激務なので、人がどんどん辞めていき(だから筆者が採用されたのだが)編集の経験が無い、あるいは浅い人が多く、自分の仕事が過労死しそうなほど増えたのだった。鬱病になる前にと退職。

 こういう例も多いんだろうね。零細編集プロダクションに正社員として勤務するより、大手出版社に契約社員で入った方が、自分のためになるような気がするな。
 筆者の周りには、フリーのカメラマン、フリーのデザイナー、フリーの編集者etcとフリーの人がいっぱい。友人・知人の人脈で仕事をもらう事も多いんだろう。飲み会の誘いには無職であっても出るようにしてるみたい。だからお金たまらないんだよね。
 無職になって、親から何度も借金してるので、もう借りること出来なくなって、古くからの友人J子にお金を借りる。これはどうかと思うよ。いくら無職でも、扶養家族はいないんだもの。40歳。もう少し、貯金があってもいいのに。
 ちゃんとJ子に、借金を返済したが「返済記念の飲み会をしよう」と提案してるからなぁ、懲りてないなぁ。
 
 やっぱり、筆者は飲みすぎ。フトコロの事情もあるが、健康も心配。飲み会は控えて、持ち寄り式のホームパーティでも開く。この本が売れて印税がいっぱい筆者に入ることを願います。

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