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朝日記170119 センター試験国語は怪獣ゴレムでしたと今日の絵

2017-01-19 14:57:14 | 社会システム科学

朝日記170119 センター試験国語は怪獣ゴレムでしたと今日の絵

おはようございます。きょうは怪獣ゴレムです。絵はボトルとレモンの2題です。

(ボトルとレモン 1)

徒然こと センター入試 国語科目

ここ年々になるでしょうか。毎年、センター入試の問題と解答が発表になると駅のスタンドに買いにいきます。 購読している日本経済新聞でもよいのですが、活字が小さくて諦めます。それでもっと字の大きい一般紙を購めます。 私のお目当ては、国語科目です。どの科目でもよいのですが、問題を解くというのではなく、問題を「読み物」として楽しむことにあります。しかし、受験生、あの年代の若いひとたちの集中力というのは、猛烈で、むかし恩師が「神がかかっている」といわれていたことがなるほどと感嘆します。 

 国語科の今年の問題の題目は以下でした;

 1.現代文

 「科学コミュニティ」(小林伝司)

 2.小説「秋の一日」(野上弥生子)

  絵の展覧会の様子を女性らしい感性での文章でかたる

 3.古文:木草物語

  貴人がその仕えの家人の屋敷に立ち寄り、その庭園の木々、花草をめでる。間垣の向こうにある屋敷の若い尼に淡い思いをし歌をおくり、それとなく」振られる話。

 4.漢文:新井白石『白石先生遺文』

  江戸の都市として興隆・変化について正しく記録しておくことの意味を語っていますが、読み違いかましれません。

 現代文の「科学コミュニティ」に目が留まり、多少興味をもちましたので以下にご紹介します。

 

  徒然こと2 センター試験国語は怪獣ゴレム

 大学入試センターの国語設問 現代文「科学コミュニティ」からの問題に付き合ってしまっています。ちょっと面白そうであったので、調べると英国WalesのCardiff大学H. Collins とT.Pinchのthe New Science Wavesを材料にしていることをを知ります。科学技術を旧約聖書にでてくる巨大な怪獣Golemになぞらえています。人間が創った怪物。かれらは忠実に主人からのことはきくが、ときに凶暴になる。このGolemを如何に、誰が調教するかの話です。 Collinsは、これをするのは社会系と科学系に精通する科学社会学Science & Sociologyの専門家の登場に期待します;'Interactional Expertise' の必要性に言及していきます。同時に、彼を終始実地知識で支える協力専門家Cooperation Expertiseとの組みを想定します。Collinsは社会哲学者ですが、かれは実際に物理学の大課題である重力波の検証実験のグループに、人文系の研究者としてとして参加します。この過程で、この物理の知識素養と実験を経験し、研究の社会的意味と展開の在り方をその視点から予測研究をするというものです。このレベルの話で思い出すのは、日本の企業では主として、技術者の新人を三交代の現場勤務につかせていることをおもい出だしましす。これを、文系の新人にも経験させ、製造現場経験を徹底的に経験させようとするところまで拡張する。 最近の企業の状況について調査不足ですが、ここまで読んできて、Collinsの言っていることは、日本での習慣からいうとそう特異ではないようにおもいました。日本では結構伝統的にある現場第一の仕事モラルがいまも生きていている、否あれかしと思うものですが、怪しいですね。分業的な機能システム主義が戦後特に、怒涛のごとく米国から移入して極度に機能主義になっているのが現状かもしれません。(機械製図ができない機械技術者の時代です。)
英国では如何なのかと考えます。これを英国通の友人に訊きたいとおもいます。たとえば製造業では、どうなのか、目下、私は知識不足なので話がすこしピリッときませんね。 ただかなりはっきり言えることは、日本の社会の文化においては、いつのころからか、文系と理系という系譜が、なにか線を引いたように分かれているとおもいます。結局、本来、線を引いてはいけないのに、暗黙の前提で教育文化をそうしてしまっている。数学がきらいだから理科にいかないといった教育文化です。また、多くの場合、組織を動かすのは文系だと決めてかかっている。それはそれでよいのですが、モノやことのひとつひとつ論理的に科学的な思考、その知識やさらにその技術、それを扱う現場の状況について、別な表現をすれば、P計画-D実行-Cチェック-A修正などが、責任組織行動として信頼に値する筋が通ってなく、片側が他の側の専門に丸投げしてしまっている。現象や事態の意味するものを自分の頭脳回路を通さず、管理や規範ルールとしてのみ適合しているかどうかの形式的なものかで、判断して意志決定していく。理系は、経営のその意志ということで、忠実に従って、ただことに当たる。そういう構図です。それ以上考える必要もない。どんどんいけとなる。そうすると、気が付いたときには、目の前に巨大な怪獣「Golem」が存在している。そういう警鐘否、現実問題であろうとおもいました。 命令する側も実行する側も従事している仕事の対象自体について考える組織判断の機能を失ってしまったということになります。ことしのセンター試験国語の現代文の問題はそういう内容のものでした。
ところで、このようなおもしろい内容の材料でしたが、試験設問を読んでみてなんと、非啓蒙的なことよと落胆しました。これでは論理的な書を読むことを本能的に嫌いにさせること必定です。 設問が、単に構文的な理解になってしまって、用語上のちょっとして不注意が注意散漫で ×といったものになることを知ります。 ここでも受験判定を機械的にすすめることをもっぱらよしとする「Golem」が存在している。国語科が面白い、刺激的な学習であることに意を配って、一歩踏み込んで考えるひとがいないのだなと痛感しました。たぶん、この出題者も無力感を感じているのではないかとおもいました。

参考 文献

Interactional expertiseについては以下をご覧ください;

From Wikipedia, the free encyclopedia

https://en.wikipedia.org/wiki/Interactional_expertise

 

コーリンの The Third Wave of Science Studiesについては以下をご覧ください:

Studies of Expertise and Experience

H.M. Collins and Robert Evans

http://journals.sagepub.com/doi/pdf/10.1177/0306312702032002003

 

コーリンの紹介は以下をご覧ください:

 Harry Collins

From Wikipedia, the free encyclopedia

https://en.wikipedia.org/wiki/Harry_Collins

The Golem: What You Should Know About Science (1993).[2]

 怪物「golem」については以下をご覧くささい:

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%A0

作った主人の命令だけを忠実に実行する召し使いかロボットのような存在。運用上の厳格な制約が数多くあり、それを守らないと狂暴化する。

 Collins怪物「Golem」の本についてアマゾンの広告です;

The Golem: What You Should Know About Science (Canto Classics) (ペーパーバック)

Harry M. Collins (著), Trevor Pinch (著)

https://www.amazon.co.jp/gp/offer-listing/1107604656/ref=tmm_pap_used_olp_0?ie=UTF8&condition=used&qid=1484554683&sr=1-1-catcorr

昨年の徒然ことは「キャラ化する/される子供たち」で以下をご覧ください;

朝日記160117 大学入試センター国語『キャラ化する/される子供たち』と今日の絵

(ボトルとレモン 2)

 以上


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