朝日記170113 友人への手紙 「トランプ騒動」と今日の絵
哲人・友人 A.I.さんへの手紙
トランプ次期大統領のはじめての記者会見は、メディアとの決定的背反を描きだしました。
世界には、extremely tough heartなひとがいるものだと関心します。 大統領になったから 品よく慣例にならってなど考えない。 そこがすごいところで、皮肉でもなくこういうtough mentalな人格を生む国は、創造的であり、人間のエネルギーや活力を獲得する国といっておきます。
でっかいエンターテイメント・ショーが、一昨年から続いていますね。 笑っているうちに世の中が消えたと心配するインテリもTVや新聞に沢山でています。
以下は、同業他社で、私のおなじような分野での先輩で、いまは国立研究所の生命科学の
所長顧問をしているひとです。彼の興味はなぜ荒井がトランプに着目したかに興味があるということ。そして、彼がなにをするかを語れということでした。
以下の私の発現は、あまり質の高かいものではありませんが、言えるときに言ったほうが
よいので書きます;
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YT様
今日は冬の好日でおだやかでしたが、明日は大型寒波が接近とか。大学センター試験で、いつものこととは言え、恙なく試験が進行することを祈ります。
トランプや安倍さんへの発信には、多分奇妙にお感じに
なられたことでしょう。朝日記や音楽絵画、そしてfacebookなどで自分の絵画の
収録や公開をしているうちに、お蔭さまで元気になり、また 橋爪先生の旧約を読むの講座聴講などで哲学志向を強めていきました。
(科学技術哲学について)
科学技術哲学へのチャンスを与えてもらったと感謝しています。昨年は、総合知学会は共通テーマとして 原子力発電を設定して
アカデミックの場で 科学技術と社会科学の接点の問題を多角的に論議してきました。その意味では、具体的なことで考えるということの機会を与えてもらいました。
結局 システム論Cybernetic, 目的論(価値論)objectivity, 道徳性morality というところに帰着します。西垣 徹さんの「集合知」などは 意味を共有します。この過程で、NeoCyberneticsというのは一つのパラダイムですね。
先年亡くなられてた青木昌彦さんの文献を眺めているうちに彼が、California大学の社会哲学者John Sealeの存在論的主観論に強い関心を持ったことを知りました。
後者の「主観論」のところは、カントの認識論からの概念知で、前者の「存在論的」は
ハイデガーの存在その物への意識の問題で 現存在と実存です。面白いことに
両方とも 基本は「観念論」で 人間の自由の問題と主体的意識の組みあわせです。
カントとハイデガーは一見まったく別体系ですが、ハイデガーの哲学が生まれる
前提はカントの認識論が前提として意味して存在しているものとしています。
Searleはこのふたつをつなげます。
彼の弟子でドイツの社会哲学者Carten Herrmann-Pillathが、つぎの論文を書いています。
Carten Herrmann-Pillath, Entropy, Function and Evolution: Naturalizing Peircian Semiosis.
Entropy 2010, 12,197-242; diu-10 3390/e1202197
(ネットで Pillath Entropy, Function, Evolutionで検索でるとおもいます)
NeoCyberneticsの中の論文と考えます。 鍵語として、entropy, micro macro sign function interpretantなどとくにentropyを持ち込んでいるところが 論理上の筋がよいと思っています。
(モラリティについて)
多元価値問題については、根底としてMorality(道徳性)とSocial Institution(社会制度(論))問題として現れます。
この問題では、社会的なMoralityはRationalityを規範としています。 基本的には、Minimum Harmful(逆の極がMaximum Happinessですね)です。
これをだれが面倒みるかですが、ここからAgent and Institution 論が生まれます。 賢い人(Rational person)の存在と、institution 間でのrationalな追及によって minimum harmfulとして社会的moralityとして、答えを出していこうとします。
John Rawlsの最大格差補償論は、この哲学の流れです。Obama-careは、まさにRawlsの哲学からの成果と理解します。
これに対して、真向から反対する力がでてきましたね。Brexit英国のEU離脱、そしてTrump-elect-Presidentです。これを文明論的にいかに考えるか、私は
まだ、頭のなかの整理ができていません。
(貿易保護主義と南北戦争背景)
ベルリンの壁が落ちて、アメリカが一強のsuperpowerになった、全世界はその翼のもとで、国の障壁をなくして、Global経済として動いた。
ところが、9・11テロ、イラク戦争などシリア問題、ウクライナ問題、そして中国の台頭で、一強であるはずのアメリカの力が疲弊したように見えてきた。気が付くと、グローバル金融はアメリカが支配してはいるが、アメリカの力の基盤(fundamentals)が、ことごとく外国(アウトソーシング)にでていってしまった。そして、その実をかならずしもアメリカが掌握していない。
また、 BRICといわれるブラジル、ロシア、インド、そして中国、就中 中国の台頭です。
ドルの信用と軍事的優越性の暗黙の裏書があって、アメリカの世界支配は体制化(レジューム)しています。 ところが、国民は何で食っていくか、つまり雇用、それを吸収する産業が空洞化している。つまり、実体がない状態に見えてくる。 「裏書」がいつ紙屑になるか、だれもわからない。
しかし一番初めに気がつくべきは、アメリカ、アメリカ国民自身であろうとおもいます。 グローバル化の前提になっている経済の革命が、答えとなります。
ところで、この問題は、私見ですが、アメリカの南北戦争の問題と酷似しているようにおもいます。 南部は綿花などの農産物をベースにした自由貿易を、北部は工業資本基盤形成のために保護主義貿易主義をとったのでした。 隷解放などの政治的アッピールもあって、世界(時代)は、北部に味方したと考えられます。
北部は、保護主義をとりながら、大きな世界戦略をもっていました。大陸横断鉄道の建設によって、太平洋を支配し、英国に勝つことであったといえます。
(トランプ問題)
トランプ政権が、そういう大世界戦略を持ちうるかどうかに、懸っているとおもいます。
1.Trump政権は、結果的には「アメリカ合衆帝国」を宣言する。
つまり 国家社会主義的に、雇用創出インフラ建設の経済刺激政策になると予想していきます。
三つの帝国から学ぶことになる;
(ローマ帝国)
(ナポレオンのフランス帝国)
(ナチスドイツの第三帝国(制度の修正見直しがうまくいくか))
2.この政権は一旦、舵をおおきく高関税・雇用創出税制へと向かう。そのための巨大なインフラ投資をする。
3.これに協力する国とは二国間協定を優先し、Pax American Economic Sphereをつくる。
4.アメリカの力による安全保障を必要とする国には、金と兵隊の応分の負担をしてもらう。
5.アメリカの利益を害する国や組織は 敵として 徹底的に無力化する。
6.国際連合は、アメリカ主導の改革を行うが、場合によっては、新しい国連(Pax Amerikacna Union)を
つくる。 (アメリカ、ドイツ、日本、英国、イスラエルが主導する連合か)
7.この過程で、アメリカ国内は分裂するか。
8.空白の世界地図の再編のうごきが、早急に生まれるか。早晩、アメリカからの強い干渉。
新勢力圏の登場。 (当面は、かぎりなき不安定を予想する。新しい思想のうごきがあるか)
YTさんとの会話の続きに、こんな妄想がでてきましたが、
ひとつのframeです。 別なframeがあるとすれば、如何なものかです。
上の論に未だ拘っていません。以下に興味があります。
*1どういう形が必然的に見えてくるか。
*2市民のmoralityからの要求は、どのように政治的現象として発現するか。
もちろん、我が国として、そして自由世界としてです。
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わが敬愛する友人A.I.さん、上がわたくしのdiscourseです。
荒井