功夫電影専科

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『ペディキャブ・ドライバー』

2007-08-16 22:32:36 | 洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
「ペディキャブ・ドライバー」
「帰って来たデブゴン/昇龍拳」
群龍戯鳳
Pedicab Driver
1989

●サモハン作品としてはかなりひどい駄作である。
ストーリーはグダグダもいいところで、代車引き(ペディキャブ・ドライバー)の労働者であるサモハンらが岑建勲(ジョン・シャム)率いる悪のと争いになり、例によって仲間の莫少聰(マックス・モク)らが殺されて怒りの鉄拳をブチこむ…というもの(かなり省略)。
とにかくこの映画、笑えるシーンが皆無なのである。サモハンが誤解から孫越(スン・ユエ)のおっさんと喧嘩になるシーンとか笑えるか否かの問題ではなく、コメディ的なものは一切感じられず胸糞悪くなるだけだった。これが数カ所だけあるならまだいいが、本作はその雰囲気がずっと続くのである。陰惨な展開とも相まって、かなりの居心地悪さを感じてしまったのが正直なところだった。
本作で注目すべき箇所…というか注目する箇所がここだけな気もするが、見どころはサモハンが劇中展開する2つのバトルだ。1つは中盤にあるVS劉家良(ラウ・カーリョン)戦である。この香港映画界を代表する名武術指導家同士の闘いは、今までファンが夢に見ていた垂涎の顔合わせ!もちろん質や内容共にかなりハイレベルなもので、『酔拳2』のジャッキーVS劉家良、『孔雀王』のユンピョウVS劉家輝の対決と共に、香港映画界の歴史に刻まれるレア対決となっている(本作はここを見るだけでも価値はある)。
しかしこの対決はストーリーに無理矢理挟み込んだような唐突なもので、全然本筋とは関係のないバトルである。ここにも本作のダメなところが垣間見えて、なんだかもったいない気がする。
そして、もう1つ取り上げるバトルはクライマックスで繰り広げられるVS周比利(ビリー・チョウ)戦だ。この前座に行われるVS馬愛迪(エディ・メイハー…前回紹介した『海狼』でも楊麗青と対戦している)戦もなかなかの勝負だが、この周比利とは幾度も手合わせした間柄である。本作でのサモハンVS周比利こそ、彼らのベストバウトと思われる。
ぶっちゃけ、本作を最初に見た時はこんなつまらないサモハン作品は初めて見たとさえ思ったが、この名勝負2連発を見るだけなら価値は見いだせる…かもしれない。

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