功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『テコンドーが炸裂する時』

2009-10-07 21:17:53 | 女ドラゴン映画
「テコンドーが炸裂する時」
「空手は世界を制す」
原題:[足台]拳震九州
英題:When Taekwondo Strikes/Sting Of The Dragon Master
製作:1973年

●ゴールデンハーベスト初期の茅瑛(アンジェラ・マオ)作品だ。韓国で活動する抗日グループと日本軍の攻防を描いた一本だが、彼女の主演作でもトップクラスの完成度を誇っている。特筆は国際的なキャストの数々で、アメリカテコンドーの父と呼ばれた李俊九(ジューン・リー)、"自称"李小龍の友人こと風間建などが大挙して出演しており、とてもバラエティに富んでいる。武術指導はこの時期多くのハーベスト作品に関わっていたサモハンで、完成度の高い功夫アクションはとても面白い。
李俊九は抗日グループの長で、黄家達(カーター・ウォン)らと活動を続けていた。ところが黄家達のミス?により、とある教会が戦いに巻き込まれてしまう。李俊九や仲間のアニー・ウィントンは追ってきた日本人を蹴散らすが、この一件で彼らを庇ったアニーの叔父(アンドレ・モーガン)が日本人(風間建・サモハン)らに捕まってしまった。李俊九は茅瑛と協力して救出作戦を展開するも、卑劣な罠によって茅瑛の母が死亡。茅瑛は正式に抗日グループの一員として協力する意思を固めた。
一方で日本人らは抗日グループ撲滅をもくろみ、人質の交渉を利用してアンドレを殺害すると、李俊九を捕縛。今度は李俊九を人質にして茅瑛たちをおびき出そうと動き出した。李俊九は罠と知りつつも、抗日グループを中国に脱出させるための時間稼ぎに踏み切る。しかし李俊九の自らを捨て駒にした決死の作戦も、抗日グループ内の内通者によって水泡に帰してしまった。
中国へと向かった茅瑛たち一行。しかし中国在住の日本人たち(黄仁植と金[王其]珠)は抗日グループをあぶり出そうと、無差別の韓国人狩りを開始する。身を隠していた茅瑛たちは、アニーの情報で黄仁植と合流した風間建が李俊九を捕らえていることを知り、すぐさま奪還のために乗り込んだ。「わしの事などどうでもいい!」と叫ぶ李俊九だが、あくまで李俊九を助けようと黄家達たちは不利な戦いに突っ込んでいく。そんな中、ひとり遅れて到着した茅瑛は、抗日グループの重要書類を手にして現れた。茅瑛の裏切りかと思われたその時、彼女の蹴りが火を吹いた!かくして始まる一大決戦、生き残るのは抗日グループか、日本人か!?
という訳で、ご覧の通り本作は実にスリリングな展開を見せており、当時としても高水準の作品であったことが伺える。凡百の抗日功夫片なら適当に日本軍の嫌がらせと仇討ちで終わらせてしまうが、このへんは職人監督・黄楓らしく手堅い演出を見せている。前述の通り功夫アクションは見応え十分で、特に後半から登場する黄仁植の蹴りがマジで凄い(1人だけ技のキレが良すぎて浮いてます・笑)。また、香港映画初の白人女ドラゴン・アニーの活躍や、李俊九が見せる本物の技も見どころのひとつと言えるだろう。
絡み役にはユンピョウや陳龍・徐忠信や林正英の姿も確認でき、韓国功夫片おなじみの顔である金[王其]珠や『死亡的遊戯』の丸太男こと陳全(チェン・ユアン)の参加もファンには嬉しいところ。茅瑛のハーベスト作品には未見のものが多いので、これからも彼女の作品はチェックしていこうかと思います。

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6 コメント

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これがホントのチェーンソー? (白扇仔)
2009-10-08 22:34:41
龍争こ門様 再びこんばんは

この作品はOPがイイんですよねぇ~。とくに黄仁植のとこが!
茅瑛の蹴りのところもちょっと変則的な動きを見せるんで良かったっす。
ちょっと話は飛んで、昔『ストロンゲスト』を劇場で見たとき、道場に掛けられてる門下生たちの名札に書かれている名前が面白いシーンがあって、長い間そのシーンは何という映画からのものなんだろと思っていました。
で、たぶん十数年後、本作を見ているとき件のシーンが流れたのを見て感激したのを覚えています。
この作品と来りゃあ真っ先に思い出すのは門下生の名札のことで、次がOP、その次が白人女ドラゴンですw
肝心の格闘シーンについては、さすがに水準は高いのですが個人的にはまずまずってとこで、OP以外ダビしませんでした。

P.S. コメントのタイトルの意味、わかったかなぁ~?
何度目だ作品紹介 (葬流者)
2009-10-10 04:08:01
http://www.primewav.com/movie/0910b.html
2006年の映画なのに何故今年になって日本版が?チョット気に為ります。
まあ此の様に時間が空いたとしても
未だソフト化されていない作品やVHSの古い地層に埋もれた儘の作品が
日本版DVDに為ってくれるのは好い事なんですがね。

そういえばフロレンティーン監督の最新作「Ninja」は結局どうなったんだろうと。
折角伊原剛志が出演してるってのに日本人の大半はなぜ何の反応も示さない儘なんだろうか……
返信!(2) (龍争こ門)
2009-10-11 01:02:14
白扇仔さん、改めましてこんばんは!

>この作品はOPがイイんですよねぇ~。とくに黄仁植のとこが!
あそこの蹴りは凄いですよね。あと大勢が一時停止した前で行われる演舞とか、視覚に訴えるカットが多いのも面白かったです。

>『ストロンゲスト』
おお、これを劇場で見ましたか!仰るように、件のシーンではなぜか「室田日出男」とか「天草四郎」とか色々ヘンテコな名前が書かれてましたね。たぶんパッと思いついた日本人名を書いたんだと思いますが、風間さんがこっそり自分の名前を書いてたりして(笑
白人女ドラゴンのアン・ウィントンは謎ですね。HKMDBには香港の雑誌に掲載されたと思しき彼女のフォトが載っていますが、彼女の出自が解りません。私としては『女必殺拳』のエバ・バリッシュと共に謎の白人武打星として頭を悩ませています。

>P.S. コメントのタイトルの意味、わかったかなぁ~?
もちろん解りました。しかしあのシーン、本当に可能なのか気になったので、実際に試してみました(笑)。私の家には高校の修学旅行で買ったヌンチャクがあり、鎖はコレで代用。木材は近くに製材所があるので、こちらから不要なクズ木材(太さと長さは映画の柱の4分の1)をひとつ貰って検証してみました。
足で木材を固定し、両手でヌンチャクを持ってゴリゴリすると…これが意外に削れます。しばらくやっていると小さな溝が出来ましたが、さすがに映画のように1~2分で壊すまでには至りませんでした。結論としては、破壊は可能かも知れませんが時間は莫大にかかりそうです(爆
返信!(3) (龍争こ門)
2009-10-11 01:15:50
葬流者さんこんばんは。

>2006年の映画なのに何故今年になって日本版が?チョット気に為ります。
タイムラグのあるソフト発売は普通にありますよ。
この作品はレンタルショップでも見ましたが、正直もう総合格闘技タイプのアクションは見飽きたので、そろそろストーリーに凝って欲しいと思いました。闇の闘技場とかは流石にもう食傷気味ですね。

>そういえばフロレンティーン監督の最新作「Ninja」は結局どうなったんだろうと。
>折角伊原剛志が出演してるってのに日本人の大半はなぜ何の反応も示さない儘なんだろうか……
アイザック監督作は幾つか日本上陸していますので、発売される可能性はあるかと思います。伊原さんについてですが、それを言うなら鹿村さんなどの方が先かと思います。倉田保昭と同じ時期から活躍しているにもかかわらず、日本での露出は倉田さんに劣っているのですから。
注目されてさも当然と葬流者さんは思っているようですが、海外の…しかも未公開のB級映画に対してそこまで望むのは酷です。

常々私は思うのですが、葬流者さんがここまで未公開作や知名度の無さに嘆くのであれば、こんな一個人のブログではなく、直接メーカーさんにメールなどを送ればいいと思います。
嘆いているだけで物事が解決できる訳がありませんし、貴方がそれほど本気で願っているなら行動を起こすべきです。もしそれが出来ないのであれば、貴方の願いはいつまで経っても叶わないでしょう。
風間大先生は何で「KENJI」なんだろ? (白扇仔)
2009-10-13 22:26:37
龍争こ門様こんばんは。さっきメールの返信しときましたんでヨロシク。

>あと大勢が一時停止した前で行われる演舞とか、

そこも良かったですね。全員で同じ演武をするのが普通ですから、印象に残りますね。

>白人女ドラゴンのアン・ウィントンは謎ですね。

単純な推測としては、この作品にしか出てないらしいところを見ると李俊九の連れて来た弟子ではないかと。

>実際に試してみました(笑)。

ここ笑ってしまいましたw とゆーより「マジかよぉ?!」って驚きました。
龍争こ門様は、なんか他にも実験していそうだなぁ。

あと、いつの間にやらBS日テレで「李小龍伝奇」(邦題「ブルース・リー伝説」)やってますね。気が付いたら2話目でした。
ではまた。
返信!(2) (龍争こ門)
2009-10-15 00:47:02
白扇仔さんこんばんは!

>さっきメールの返信しときましたんでヨロシク。
了解しました。例のアレに関してはソフト化されただけでも万々歳と思うので、私は絶対に購入するつもりです。

>この作品にしか出てないらしいところを見ると李俊九の連れて来た弟子ではないかと。
そういえばHKMDBに掲載されている画像に、小さく英語で「李俊九のなんたらかんたら…」と表記されていたので、その線が強そうですね。

>ここ笑ってしまいましたw とゆーより「マジかよぉ?!」って驚きました。
ちょうど時間が空いていましたので(笑)。さすがに実験は今回だけです。実際に空とぶギロチンは実現可能か…とか、壁虎功を使ってどこまで上れるか…みたいな事はやってません。

>「李小龍伝奇」(邦題「ブルース・リー伝説」)
おお、いつのまにかこの作品も日本上陸していたんですね。これにはゲイリー・ダニエルズやマーク・ダカスコスなどが出るので、ちょくちょくチェックしたいと思います。

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