ハチの家文学館

ハチの家写真館(http://hachinoie.exblog.jp/)の文芸版

家族とは?

2010年03月06日 11時14分07秒 | ハチパパのひとり言
         大分 羅漢寺 五百羅漢

筋萎縮性側索硬化症(ALS)という難病を長い間患った息子の頼みで、人工呼吸器をはずして死なせてあげた母親が、執行猶予判決のあと息子と一緒に死ねなかったことを悔やみ続け、早く息子のところに行きたいと自殺を図ったりしていた。

夫も堪りかねて、夫婦心中を試みたものの死に切れず、最後は妻が「お父さんに罪は着せられない」と自分の首を包丁で刺し、死に切れずにいた瞬間「お願いします。ここだよお父さん」と夫に自分の首を刺すよう懇願して死なせてもらった事件。

3月5日横浜地裁は、止むに止まれぬ家族の深い思いを汲み取った温情判決を下した。懲役3年執行猶予5年。あってはならない事件ではあるが、いい判決だったと思う。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)といえば、私が銀行の債権管理の仕事をしていた頃、住宅金融公庫の返済が滞っていた方で、奥さんが同じ筋萎縮性側索硬化症で入退院を繰り返していたのを思い出した。当時の私は、お客様との折衝を直接行う立場にはなかったが、そのお宅が私の自宅方面であったことから、時たま自宅に伺ったことがある。その際、一度だけ車椅子の奥さんが垣間見えた。ご主人は奥さんの看病のために早期退職され、収入減により延滞が始まったのであるが、返済条件を緩和する方法を提案したり、実家の相続絡みの返済財源があると聞いて、保証協会の代位弁済→競売ということにならないようぎりぎりまで返済を待ってあげた記憶がある。因果な仕事をしてきたものである。

同じ日の新聞の社会面に、「群馬の火災 無理心中の可能性」の見出しが眼に入る。自殺者は12年連続3万人を超えている。よくある人身事故による列車の遅れは、おそらく自殺であろう。生きることに疲れ果て、死を選ぶ人たちが多い現代において、家族とは何か、死とは何かなど、様々な人間模様を通して考えさせられることがたくさんある。私も24年前に自殺志願の経験をしたことがある。だけど生きててよかったと思っている。

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿