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笠智衆

2017年01月19日 04時03分46秒 | ハチパパのひとり言

日本映画専門チャンネルで録画しておいた、山田太一原作の笠智衆主演作品3本を一気に見る。

一つ目は昭和57年放送の「ながらえば」。寝たきりの妻を名古屋の病院に残し、富山に転勤する息子一家と暮らすため列車で行く老人。すぐに妻に会いたくなり、お金もろくに持たず名古屋へ向う列車に飛び乗ってしまう。妻との再会場面での老夫婦の切ない会話に泣けてくる。笠智衆ならではの真骨頂の作品だ。

二つ目は昭和60年放送の「冬構え」。死を決意した老人の最後の旅立ち。旅先で出会った若い恋人同士とのやりとりが滑稽でもあったが、ひとり旅を続ける浅草の老女とも同宿したり、かつての同僚は余命いくばくもなく、無惨な姿を病院のベッドに横たえていたのを見て・・・。

三つ目は昭和62年放送の「今朝の秋」。蓼科の山荘にこもる老人。東京に住む一人息子の死が近いことを知らされ、山を降り病院へかけつけるが、死と対峙する息子を前に何も言えず。しかし、病院に無断で蓼科の山荘に息子を連れて行き、男と逃げて許せない別れた妻とともに、わが子の最後の時に尽くそうという物語。

いずれの作品も、笠智衆の朴訥とした人柄が何ともいえない、セリフも「あぁ」とか「うん」とか短い。孤高の老人のような雰囲気が漂うなかで、阿吽の呼吸とでもいおうか、笠智衆の老人役はそれだけで観ているものの心に響く。映画やドラマの中ではあるが、笠智衆のようなほのぼのとした生き方に共感する。笠智衆風に生きたいものである。29/1/18

 

 

 

 

 

 



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