3月20日日露都内防衛相会談のロ防衛相の発言からも見えてくる北方四島の日本帰属の悲観的行く末

2017-03-21 09:20:31 | Weblog

 3月20日、日本とロシアが都内で3年4カ月ぶりに防衛相会談を開催した。ロシアのクリミア併合を受けて2013年11月以来中断していたのだという。「ロイター」記事が会談の模様を伝えている。他の記事も似たり寄ったりとなっている。    

 ロシアのショイグ国防相が日本配備の弾道ミサイル防衛(BMD)システムはアジア太平洋地域の戦力バランスを崩すと指摘し、とりわけ在日米軍のシステムに懸念を示すと同時に日本が導入を検討中の新型BMDに言及する場面もあったという。

 弾道ミサイル防衛(BMD)とはネットで調べると、飛来する弾道ミサイルを早期警戒衛星等で探知、様々な迎撃方法を組み合わせて撃破する防御システムだと紹介されている。

 稲田朋美は弾道ミサイル防衛(BMD)システムは自衛のために必要と説明する一方でロシアによる北方領土(南クリル諸島)の軍備増強に改めて抗議したと伝えている。

 対してショイグ国防相は地域の安全保障を取り巻く環境が変化するなかで、必要な防衛措置だなどと説明したと言う。

 ロ防衛相がアジア太平洋地域の戦力バランスを崩すと言っていることは日本がアメリカの力を借りてアジア太平洋地域で、と言うよりもロシアに対して軍事力で優位に立つことを警戒した発言であろう。

 戦力バランスを崩すなる物言いはあくまでも自国を基準としているからだ。

 その対抗手段として北方四島に新型地対艦ミサイルの配備や師団を配備したりしている。

 稲田朋美が日本自衛のためと言っている弾道ミサイル防衛(BMD)システム配備は主として北朝鮮が急ピッチで開発しているミサイルへの対抗手段であり、論理明快である。

 2017年3月6日午前7時半頃に北朝鮮が発射した弾道ミサイル4発の内3発が排他的経済水域内落下していることはその脅威が日本領土と一息のところにまで迫っていることを示している。

 だが、ロシアが必要な防衛措置だとしている北方四島のミサイル配備は対米・対日警戒からの軍事的措置なのは断るまでもない。

 だからこそ、日本配備の弾道ミサイル防衛(BMD)システムと在日米軍軍事システムに懸念を示し、日本が導入検討中の新型BMDにも言及した。

 と言うことは、ロシアは日本を仮想敵国関係にあるとは見ていないものの、アメリカと共に軍事的警戒国家と見ていることを示している。

 そのことは日本を純粋に友好国と位置づけてはいない軍事的に対立国家視していることを意味する。
 
 軍事的警戒国家、あるいは軍事的対立国家に領土を返還することはない。返還すれば、逆に日本がロシアに対する軍事的拠点としない保証はなくなるからだ。

 返還するよりも、北方四島が日本に近接している地理的有利性を利用して、軍事的警戒国家に対する軍事的要衝の一つとする道を選ぶだろうし、ロシアはその準備を進めている。

 要するにロシアのショイグ国防相が日本の軍事体制に示した懸念そのものが北方四島をロシア領土として維持する確固とした意志の何よりの現れであろう。

 この意志は一度ブログに取り上げたが、山口での安倍・プーチン日露首脳会談後の2016年12月16日共同記者会見の質疑でのプーチンの発言に既に現れていた。

 記者「平和条約締結に関しては、先日の日本メディアとのインタビューで『我々のパートナーの柔軟性にかかわっている』とも述べた。かつては『引き分け』という表現も使った。大統領の主張は後退しているような印象があるが、日本に柔軟性を求めるのであれば、ロシア側はどんな柔軟性を示すのか」

 プーチン「その質問に満足に答えるためには、まずとても短く歴史の問題に触れる必要があります。 日本は先ず1855年にその島々(北方四島)を受け取った。プチャーチン提督がロシア政府と皇帝の合意のもとづき、これらの島々を日本の施政下に引き渡した。それまでは、ロシア側はクリル諸島はロシアの航海者によって発見されたため自国の領土と認識していました。

 条約を締結するためロシアはクリル諸島を日本に引き渡しました。ちょうど50年たって、日本はその島だけでは満足できないように思うようになった。

 1905年の日露戦争のあとに、戦争の結果としてサハリンの半分を取得しました。あの時、国境は北緯50度の線で決められたのちに日本はサハリンの北半分も獲得しました。
 ちなみにポーツマス条約のおかけでその領土からロシア国民を追放する権利もありました。40年後の1945年の戦争の後にソ連はサハリンを取り戻しただけでなく南クリル諸島も手に入れることができました」

 1855年とは日露和親条約が締結された年で、千島列島の択捉島と得撫島の間に国境線が引かれて、北方四島が日本に帰属することになった。

 プーチンは北方四島は元々はロシアの領土だと言い、その領土を第2次大戦後に取り戻したと言っている。

 要するにプーチンの北方四島に関わる意識の中では返還の次元は存在していないことになる。

 対して安倍晋三は共同記者会見2日後の12月18日夜に出演したフジテレビ番組で次のように発言している。

 司会者「共同会見で平和条約がない異常な状態に私たちの手で終止符を打たなければならない、とおっしゃった。プーチン氏も『私たちにとって一番大事なのは平和条約の締結です』とおっしゃった。プーチン氏は2018年に大統領選がある。おそらく再選し、長期政権になるので大統領選まで待ってくれと。その後に平和条約、二島返還、4島返還という工程表が両首脳の間で交わされているのでは」

 安倍晋三「(プーチン氏の『最も重要なことは平和条約の締結だ』という発言は)一番重要な発言なんですが、(山口の首脳会談で)95分間、膝詰めで話しあった結果でもあるんです。

 今まで、プーチン大統領が『一番大事なのは、平和条約の締結』と発言したことは1回もありません。平和条約に触れる際は非常に慎重です」

 プーチンの平和条約の締結に関した発言と安倍晋三のプーチンの平和条約締結発言の解釈の大きな隔たりに整合性をつけるとしたら、プーチンが「最も重要なことは平和条約の締結だ」と言っていることは安倍晋三が解釈し、望んでいるような北方四島の領有権の将来的な日本への帰属を意図した発言ではなく、ロシアの領有権を前提とした平和条約の締結が「一番大事」だと主張しているとしなければならない。

 このように整合性をつけると、プーチン発言が稲田とロシアのショイグ国防相との防衛相会談でのロ防衛相の発言が北方四島のロシアの領有権を前提としていることと見事に符合する。

 安倍晋三が4月下旬にロシアを訪れて、17回目となるのだろうか、プーチンと首脳会談を開くそうだ。例の如くにファーストネームで呼び合い、信頼関係をアピールすることになるだろう。

 信頼関係で動かすことができるような国益の差異ではないはずだから、プーチンは北方四島はロシア領だとする国益を安倍晋三との信頼関係よりも優先させることになる。

 結果、北方四島での日露経済協力だけが前に進むことになる。

 多分、安倍晋三は北方四島が返還されないことに気づいているのではないだろうか。それが自身の外交無能力と解釈される恐れから、経済問題でロシアと親密な関係を進めることによって恰も領土問題が進んでいるかのように思わせる埋め合わせを行っているように見える。

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