安倍晋三に自民憲法改正草案に関わる答弁を求めずに草案の問題点を国民の目に見える質問に持っていくべき

2016-10-15 10:30:27 | 政治

 民進党が2016年10月13日、憲法調査会の役員会を開いて自民党が2013年4月27日に公表した憲法改正草案の問題点を研究することを決めたと10月13日付「時事ドットコム」が伝えていた。

 会長は枝野幸男、副会長に辻元清美と白真勲両氏を選び、事務局長に武正公一選任したと書いている。

 今頃になって問題点を研究する。とすると、民進党はどういった問題点があるのか、民進党としての、あるいは前身の民主党としての統一的な見解を纏めないうちに各所属議員がそれぞれの考えに基づいて国会で安倍晋三に対して改正草案の問題点を追及していたことになる。

 そうであったとしても、安倍晋三がまともに答弁に応じてくれるなら、一応の質疑の体裁を取っただろうが、答弁回避に遭い、質疑の体裁を取ることができないでいる。

 枝野幸男「自民党から立憲主義を破壊する内容の草案が出ている。国会で自民党総裁(安倍晋三首相)は憲法についての質問に答えない。無責任な姿勢だ」

 「自民党から立憲主義を破壊する内容の草案が出ている」とっても、もう3年半も前から出ているではないか。立憲主義をどう破壊しているか、3年半も統一的見解を打ち出してこなかった。怠慢そのものである。

 ネットで調べて見ると、2016年1月19日の参院予算委で既に安倍晋三は憲法の個別条項に対する答弁回避を行っていた。文飾は当方。

 質問者は社民党の福島みずほ。

 問題としたのは新設の第9章第98条第1項で、〈外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。〉とする緊急事態の宣言に伴って、同じく新設の第99条第1項で、〈緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。〉としている点である。

 福島瑞穂は次のように追及している。

 福島瑞穂「総理は、憲法改正の発議ができるように参議院選挙で改憲勢力の三分の二以上の獲得を目指すとおっしゃっています。自民党は既に日本国憲法改正草案を発表しています。どれも極めて問題ですが、この中の一つ、緊急事態宣言条項についてお聞きをします。(資料提示)

 まず、緊急事態宣言からやるのではないかと私は思っておりますが、この新しく自民党が設けている第九章緊急事態、これはまさに効果のところがとりわけ問題です。これは、内閣で、99条1項、『内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる』、『内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。』となっています。

 総理、国会は唯一の立法機関です。しかし、内閣が法律と同じ効力を持つことができる政令を出すのであれば、立法権を国会から奪うことになる。国会の死ではないでしょうか。

 安倍晋三「この草案につきましては、我々野党時代、谷垣総裁の下で作られた草案でございます。

 これ、大規模な災害が発生したようなこれは緊急時のことを言っているのでございまして、平時に行政府がこれは権限を持ってやるということではないわけであります。大規模な災害が発生したような緊急時において、国民の安全を守るため、国家そして国民自らがどのような役割を果たしていくべきかを憲法にどのように位置付けるかについては、極めて重く大切な課題と考えております。

 そして、他方、自民党の憲法改正草案の個々の内容について、政府としてお答えすることは差し控えたいと思います

 福島瑞穂は第9章第98条第1項が、〈緊急事態の宣言は、法律の定めるところにより、事前又は事後に国会の承認を得なければならない。〉としている点を更に捉えて、事前に承認を得ずに事後承認を求めて国会に承認案を提出したものの否決された場合の政令によって既になされた処分の回復はどうするのかといった趣旨の質問をした。

 回復しなくてもいいとなったら、内閣は事前承認を受けにくいと判断した案件は全て事後承認に回して内閣がつくった法律と同等の効力を持つ政令で思い通りのことができる危険性が生じることになる。

 また、内閣が事後承認が国会で否決された場合の案件に対して処分の回復を免れることができるとしたら、そのような案件の履行に責任を持たなくてもいいことにもなる。

 安倍晋三「今申し上げましたように、私が今ここに座っているのは内閣総理大臣として座っているわけでございまして、憲法の改正案の中身については、まさにこれから憲法審査会において御議論をいただきたいと、このように思うわけでございまして、こうした議論が深まっていく中において、おのずとどの項目から改正をしていこうかということが定まっていくわけでありまして、それ以上個々の条文について私はここで述べることは差し控えさせていただきたいと思います」

 要するに自民党憲法改正案が閣議決定されて法案として国会に提出されたなら、内閣総理大臣として個々の質問に答弁しなければならないが、現状はそこまで行っていない、自民党案にとどまっているのだから、憲法審査会で議論してくれと要求している。

 この論理は、「ブログ」に書いたが、2016年10月3日の衆院予算委員会での民進党の長妻昭の自民党憲法改正草案に関わる質問に対する安倍晋三の答弁で繰り返されることになった。

 長妻昭は最後まで答弁を引き出そうとして同じ繰返しの質問をし、そのたびに安倍晋三は同じ繰返しの答弁回避に終止して、堂々巡りの不毛な質疑が演じられることになった。

 ところが翌々日の10月5日午前の参院予算委でも民進党新代表の蓮舫が何も学習せず、同じことを演ずることになった。「産経ニュース」   

 蓮舫「現行憲法と自民党の憲法草案なんですが、自民党では新たに一項を新設。(第24条の)『家族は社会の自然かつ基礎的な単位として尊重される、家族は互いに助け合わなければならない』。助け合わなければならない、これを憲法に規定するというのは具体的にどういう意味合いなんでしょうか」

 安倍晋三「それはわが党の憲法改正草案について触れておられるわけでございまして、今私がここに立っておりますのは、行政府の長として立っておりますから、現行憲法について、現行憲法とわが党が出そうとしている法案との関係についてはもちろん、これは答弁をしなければいけない義務があるわけで、現行憲法についての順守義務がありますから、それは議論する答弁をしなければいけない立場にありますが、そこで、わが党の草案について逐条的にお答えする立場にないことを申し上げているところでございます」

 「現行憲法とわが党が出そうとしている法案との関係について」は「答弁しなければいけない」と言っていることは、時代の変遷によって現状に合わなくなった点を変える必要が生じたといった程度のことだろう。

 家族が助け合うことは人間の営為に於ける自然の摂理(自然界を支配している法則)として存在する。だが、自然の摂理とて絶対ではなく、時と場合によってどう抗いようもなくその自然の摂理が壊れることもある。

 壊れることも自然の摂理としてある。である以上、自然の摂理に任せる家族間の関係性でなければならない。

 ところが、自然の摂理である家族の助け合いを自然の摂理に任せずに憲法に条文で規定すると、国家権力の恣意的な権力の行使を制約する役目を担う憲法に於ける立憲主義に反して国家権力そのものが家族の在り方を規制することになる。

 このことだけで立憲主義を壊すことになるが、そのうち国家権力が家族はどう助け合うべきかを口出しすることになって、安倍晋三のことだから、明治から敗戦までの古い家族の在り方を理想の家族の形として求めることになるだろうが、このような国家権力の家族のあり方に対する干渉は立憲主義の否定そのものとして跳ね返ってくるばかりか、国家権力がこうあるべきだとする形に家族を固定することになる。

 当然、個人の尊重の否定にも繋がってくる。

 そうなったとき、きっと安倍晋三の国家主義が跳梁跋扈するに違いない。

 蓮舫は「多様な生き方」、「立憲主義」、「個人の尊重」といったキーワードを用いてなおも安倍晋三に答弁させようとするが、安倍晋三の答弁回避の姿勢は固く、結果的に時間をムダにすることになった。

 多分、こういったことの反省が民進党の憲法調査会が自民党の憲法改正草案の問題点を研究することを決め、問題点の統一的見解を纏めるキッカケとなったのかもしれない。

 但しどう纏めようとも、自民党憲法改正草案が逐条的に閣議決定されて、国会に法案として提出されまでは安倍晋三は答弁回避を続けるに違いない。改正しやすい条項から手を付けるに決まっているから、9条の2の、〈我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。〉等の項目は最後の最後になるだろうから、9条の2に関わる答弁回避も最後の最後まで続くことになる。

 なら、最初に質問して安倍晋三が答弁回避の挙に出たなら、それ以後は安倍晋三の答弁を求めずに、いわば質問の形を取らずに、民進党が統一見解とした問題点――立憲主義の観点からそれを壊しかねない危険な条項、基本的人権を脅かすことが予想される条項等々を、自民党の改正草案はここが問題だとする趣旨の一方的な発言によって、実際には国民に語りかけるという形を取るべきではないだろうか。

 いわば自民党憲法改正草案の危険な問題点を国民の目に見える形に持っていく。

 もし質疑会場にテレビカメラが入っていたなら、その効果はより強くなるはずである。

 少なくとも安倍晋三が答弁回避の姿勢を崩さないことは予想しなければならないはずだが、予想できずに答弁を求めようとムダな努力を費やし、結果的に時間を空費するよりも国民に与える効果はより上質と言うことはできる。

 
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