防衛省、あるいは自衛隊の南スーダン日報情報流出は稲田朋美だけではなく、安倍晋三をもターゲットか

2017-07-29 12:29:12 | Weblog

 南スーダン派遣自衛隊PKO部隊日報の不適切な情報処理問題で防衛相の稲田朋美自身が2017年3月16日に実施を指示、3月17日から開始した特別防衛監察の、証言の食い違いが見受けられるものの稲田朋美が不適切な情報処理への関与も了承もなかったとする報告を7月27日に受けて、自身の指揮・監督下にある防衛省・自衛隊内の情報処理の混乱の責任を取って7月28日午前中に安倍晋三に辞表を提出、受理された。

 ご承知のようにそもそもの発端は南スーダンにPKO部隊として派遣されていた自衛隊施設部隊が作成した、2016年7月に南スーダンの首都ジュバでの大統領派と反大統領派が激しい戦闘行為を報告した日報(活動記録)をフリージャーナリストが報告を受けた陸上自衛隊中央即応集団司令部に対して情報公開制度に基づいて開示請求したことに始まった。

 以下情報開示請求から発見までも時系列で振り返って見る。

●2016年9月末 フリージャーナリストが情報公開法に基づいて南スーダンPKO派遣自衛隊部隊活動記録(日報)の開示請求
●2016年12月2日 陸自の中央即応集団司令部は「日報」は説明資料に使った後、廃棄したとして非開示扱い。
●2016年12月22日 自民党の河野太郎元公文書管理担当相が「電子データは残っているはずだ」と防衛省に再調査を要請。
●2016年12月24日 防衛省、「日報」の全てを廃棄したと明らかにする。
●2017年2月6日 防衛省、調査範囲を広げたところ、「日報」の存在を公表。
●2017年2月7日 確認を終えた「日報」の一部を公表。
●2017年2月9日 稲田朋美、衆院予算委で、防衛省が日報の電子データを確認したのは昨年12月26日で、稲田朋美自身に報告があったのは2017年1月27日であったことを
 明らかにする。

 防衛省は2016年12月22日に河野太郎の再調査要請に応じて2日後の2016年12月24日に「日報」の全てを廃棄したと明らかにしておきながら、なぜ1カ月以上も経過した2017年2月6日になってから、「日報」が存在していたと公表したのだろうか。

 しかも2017年2月6日に「日報」の存在を公表した際は実際は2016年12月26日に存在を確認していたことを明らかにせず、さらに防衛省と自衛隊を指揮・監督する稲田朋美への報告が実際の確認からなぜ1カ月近くもあとになってからだったのだろうか。

 もし南スーダンの現地で大統領派と副大統領派の間で実際に戦闘行為が行われていたら、PKO5原則の1、「紛争当事者間で停戦合意が成立していること」に反することになって、政府は自衛隊を派遣し続けていることの責任を問われないよう、隠蔽を謀ったのではないかとして、野党は防衛省と自衛隊を指揮・監督する立場にある稲田朋美を矢面に立てて厳しく追及した。

 一旦、すべての「日報」を廃棄したと公表したなら、例え何かのキッカケで「日報」の存在を確認できたとしても、廃棄したで押し通せば、いわば隠蔽して全てをウヤムヤにすれば、防衛省内の情報管理の混乱の批判も、自分たちの親玉である稲田朋美も防衛省と自衛隊を指揮・監督する立場にあることから、防衛省や自衛隊が扱う情報処理に対しての管理の資質や指示能力を問われることも、防衛大臣として防衛省と自衛隊を指揮・監督する資質そのものも問われることはなかったはずである。

 なぜ防衛省は全てをウヤムヤにはせずに自らの情報管理の失態まで曝すことになる文書存在の確認を公表したのだろうか。

 稲田朋美の防衛相としての資質を問題にしたのは野党だけではなく、自衛隊や防衛省自体が早くから問題にしていたのはないだろうか。2016年8月15日、稲田朋美はジブチの自衛隊派遣部隊の視察を行っているが、成田空港に現れた際、派手なサングラスと野球帽というリゾートルックで空港に現れたという。

 例えジブチの自衛隊部隊を視察する際には着替えていたとしても、防衛省の役人や自衛隊員は自分たちの上に立つ防衛大臣の服装には敏感であるはずである。

 2016年8月23日には、参考のために画像を載せておいたが、神奈川県横須賀市の海自横須賀基地を訪れ、海上自衛隊潜水艦「こくりゅう」に試乗、模様も派手な黒の野球帽、黒色のジャやケットを羽織っているが、その下は黄色のTシャツ、細身の黒のパンツルックと言うのか、そして黒色のハイヒールを履いて、その甲板に立っている。  

 一方で稲田朋美はかつて藤原正彦の思想に言及、「真のエリートの条件は二つあって、一つは芸術や文学など幅広い教養を身に付けて大局観で物事を判断することができる。もう一つは、いざと言うときに祖国のために命を捧げる覚悟があることと言っている。そういう真のエリートを育てる教育をしなければならない」とその思想を自らの思想として吹聴している。

 防衛大臣としてこの手の服装で潜水艦の甲板に立つことができる精神性と口にしている思想とのギャップにどれ程の人間的な信用を嗅ぎ取ることができるだろうか。防衛省の幹部や自衛隊員たちはその信用の度合いで防衛大臣として相応しい人間かどうかを計るはずだ。

 と言うことは、防衛省と自衛隊の幹部は稲田朋美をその資質が問われる形で防衛大臣の地位から追い落とす道具として防衛省や自衛隊の文書管理の責任も問われることを覚悟で「日報」を利用した可能性は捨て切れない。

 この可能性は2017年3月15日になって、廃棄が存在確認へと一転していた文書が実際には陸上自衛隊が一貫して日報のデータを保管していたこと、保管していながら、これまでの説明と矛盾するという理由で公表を差し控えていたこと、辻褄合わせのためなのだろう、データを消去するように指示が出されたといったことが複数の防衛省幹部への取材で判明したという形でマスコミによって報道され出した。

 この事実はマスコミが前以って知り得ていないことなのだから、防衛省側のリークということも考えられる。例えマスコミの取材に応じた防衛省側からの情報提出であったとしても、これもウヤムヤにしておけば、防衛省も自衛隊も防衛大臣の稲田朋美も安穏な状態でいることができたはずだが、さざ波一つ立っていない池の水面にわざわざ石を投げて波を立て、波紋を広げることになった。

 最終的には防衛大臣としての資質も含めて稲田朋美に全ての責任が降りかかってくる。野党は組織的隠蔽だとして稲田朋美の辞任を求めた。翌3月16日の衆議院安全保障委員会で稲田朋美は陸上幕僚長に事実関係の確認を指示、同時に特別防衛監察の実施を指示したことを明らかにした。

 官房長官の菅義偉は稲田朋美を擁護した。菅義偉の擁護は安倍晋三の擁護でもある。

 そのような最中、 2017年6月23日告示、2017年7月2日投票の都議選の6月27日、稲田朋美は東京都板橋区での自民党候補の応援演説で聴衆に「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と呼びかけたことが自衛隊の政治利用、選挙の私物化、自衛隊法違反、公職選挙法違反、憲法違反との批判を受けて、改めて防衛大臣としての資質を問われることになり、野党は即刻辞任を求めた。

 この騒ぎで安倍晋三が8月初めに予定している内閣改造まで稲田朋美の馘を維持して、そこで交代させる可能性が言われ出した。6月30日午前の閣議後記者会見で、このことを問われると、稲田朋美は「内閣改造はいつかも承知していない。人事権者は総理だ。私が言えることは、しっかりと緊張感を持って(職務を)邁進していきたい。国民生活を守るために全力を尽くしたい」と述べている。
 
 安倍晋三にしても自身の任命責任に触れさせないためにも内閣改造を限界として馘を繋げておく必要があったはずだ。

 防衛大臣交代の窮地に立った稲田朋美に日報を巡る止まらない情報の流出が更に追い打ちをかけた。2017年7月19日付けのマスコミが稲田朋美と防衛省の岡部俊哉陸上幕僚長、そして黒江哲郎防衛省事務次官が2017年2月15日に緊急幹部会議を開いてデータの非公表方針を決め、稲田朋美も隠蔽を了承していたと報じ出した。

 防衛省幹部か自衛隊幹部がリークしなければ出てこない情報であろう。

 稲田朋美の6月27日の都議選での応援演説が黙っていても8月3日の内閣改造で防衛相を交代させる直近のキッカケとなっていたにも関わらず、いわばこれで稲田朋美をお払い箱にすることができると気分を晴れやかにしていてもいいはずだが、なぜ防衛省内部の責任問題にもなる情報をリークしたのだろう。

 この追い打ちをかけるのと追い討ちをかけないの違いは、後者の場合は国会追及のターゲットは稲田朋美のみだったが、前者は安倍晋三自身がターゲットの巻き添えを食うことになったことである。

 野党は7月28日の稲田朋美辞任を受けて早速安倍晋三の任命責任を追及する構えを見せた。7月28日、自民、民進の国対委員長が会談を行い、防衛省の特別監察報告を議論する衆議院の安全保障委員会の閉会中審査の日程を、安倍晋三と稲田朋美の出席を求めて内閣改造後に行う方向で調整に入ったとマスコミは伝えている。

 と言うことは、防衛省、あるいは自衛隊は無傷で済む内閣改造による交代ではなく、最初からある程度の打撃を伴わせた稲田朋美の辞任を狙っていて、その辞任を道具にして併せて安倍晋三を野党による任命責任追及の矢面に立たせる狙いもあったのではないだろうか。

 その理由を考えるとしたら、安倍晋三その他が高度な教育訓練と実地訓練を施せば、海外派遣された自衛隊が駆けつけ警護で敵部隊と交戦することになったとしても、隊員が命を落とすようなリスクを負うことはないとする「自衛隊安全神話」とでも言うべき安易な考えでいることに対する反発というこかもしれない。

 あるいは森友学園疑惑や加計学園疑惑によって安倍晋三の政治的人間性に胡散臭さを感じた反発ということもあり得る。

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