国交省の空港関連施設従業員の犯罪歴調査は特定秘密保護法が既に動き出したということか

2014-08-06 07:34:46 | Weblog

 
 国土交通省がICAO=国際民間航空機関のテロ対策強化の要請を受け、今年2014年10月から航空会社の社員等空港従業員を対象に立ち入り制限区域に入るための許可証を発行する際、犯罪歴を確認するよう全国の空港に要請したという。

 《空港で働く人 許可証発行で犯罪歴確認へ》NHK NEWS WEB/2014年8月5日 4時26分)

 具体的な対象者は手荷物検査場より先の立入り制限区域に入るためには許可証の発行を受けなければならない航空会社社員や免税店従業員等空港で働く人などだそうだ。

 報告対象の犯罪歴は禁錮以上の刑を受け、刑の執行が終わってから5年未満の場合。

 欧米では既に実施されていて、日本の場合、確認の対象は、数万人に上るとみられると記事は解説している。

 但し確認は任意で、確認に応じない場合や犯罪歴がある場合も、許可証は発行されるとしている。

 国土交通省「プライバシーや職業選択の自由を侵すものではなく、あくまで対策強化のためだ」――

 プライバシーは侵さない、職業選択の自由も侵さない。確認は任意で、確認に応じない場合も犯罪歴がある場合も、許可証は発行される。

 犯罪歴の確認以外は何も変わらないように見えるが、問題ありと判定された人物は監視対象となる。でなければ、犯罪歴確認の意味を失う。特に確認に応じない場合は犯罪歴がある場合よりも厳しい監視を受けることになるはずだ。

 確認に応じない氏名に基づいて警察庁は犯罪歴照会を行い、犯歴の有無を調べるだろうが、犯歴がなくても、応じるまいとした思想を憶測させることになって、監視対象にとどまることになるはずだ。

 監視は空港内だけではなく、プライベートな空間に於いても、誰と会っているか、監視されることになる。監視側に万が一を恐れる過剰な危機管理意識が発動されないとも限らない。特に万が一のことが起きた場合の責任を恐れる意識が強く働いた場合、ありもしない万が一の影に怯える心理が働いて、過剰反応するケースの発生も考えられる。

 少なくとも一般市民には見えない場所で監視社会が形成されることになる。立入り制限区域内に入る際の念入りな身体検査だけで済まないのだろうか。

 この犯罪歴確認はICAO=国際民間航空機関の要請の形を取っているが、特定秘密保護法と無関係ではあるまい。特定秘密保護法は年12月6日成立、2013年12月13日公布、施行は「公布日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日」とされている。

 いわば施行は2014年12月12日以内であり、国交省が要請した犯罪歴確認は2014年10月からである。そして特定秘密保護法が秘密とすべき指定対象情報には、「テロリズムの防止に関する事項」が含まれている。

 特定秘密保護法の施行日を国交省の犯罪歴確認要請の2014年10月に合わせれば、国内法に則った形で犯罪歴確認も、監視も可能となる。

 また、特定秘密保護法は第四章で「特定秘密の取扱者の制限 」を設けていて、「特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者でなければ、行ってはならない」と規定し、認められるには「適性評価」を受けなければならない。

 この「適性評価」にしても、本人の同意を必要としているとしているものの、「犯罪及び懲戒の経歴に関する事項」が評価対象として含まれている。

 当然、この「適性評価」が国交省要請の犯罪歴確認に相当することになる。

 特定秘密保護法に於ける「適性評価」は特定秘密の取扱いの業務を行う本人だけではない。評価対象者の家族(配偶者、父母、子、兄弟姉妹、配偶者の父母及び子)の氏名、生年月日、国籍及び住所と、いた場合の同居人の氏名、生年月日、国籍及び住所の調査を求められる。

 要するに多くの国民が国家から人的且つ物理的な監視を受けるばかりか、例え受けなくても、心理的には常に監視を受けている状況に置かれることになる。いわば欧米やロシアや中国と同様の監視社会へと着々と進んでいく。

 国民の在り様よりも国家の在り様を優先させる国家主義者安倍晋三肝入りの特定秘密保護法が動き出すのは時間の問題ではあったが、国交省の犯罪歴確認要請のニュースがそれを施行に先んじて実感させることになった。


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