松野文科相加計学園文書追加調査会見:証人喚問を求める国民の声無視の調査は結果が見え透いた茶番

2017-06-10 12:36:54 | Weblog

 文科相の松野博一が2017年6月9日午前の記者会見で加計学園獣医学部新設に安倍晋三が便宜を図るために政治的圧力があったと疑わせる内容の文科省作成と言われる朝日新聞公表の文書を再調査すると発表した。

 文科省サイトにアクセスしてみると、テキスト版は「後日、アップロードします。」となっていて、動画しか載せてない。ご苦労にも文字に起こしてみた。文飾は当方。

 松野博一「私からは本日3件です。1件目が国家戦略特区に於ける獣医学部新設を巡る文書の追加調査についてでございますが、前回の文部科学省の調査では監督部局の共有ファイルの調査や関係者のヒヤリングなどの調査を行い、その結果、5月19日に該当する文書の存在は確認できなかったとの調査結果を発表致しました。

 しかしながら、その後文科省として追加調査等の必要があるとの国民の皆様方の声が多く寄せられています。こうした状況を総合的に判断し、本日閣議後、私から安倍総理に対して報道されている文書について追加調査を行いたいとお伝えをし、総理からは『徹底した調査を速やかに実施するよう』指示がありました。

 こうした総理の指示の元、国民の声に真摯に向き合い、改めて徹底した追加調査を行って参りたいと考えております。なお追加調査の設計内容については今後早急に検討の上、速やかに調査を行い、結果が纏まり次第発表したいと考えております」

 他の2件の冒頭発言後、記者との質疑に入ったが、記者の声が何かに反響して満足に聞こえない。答弁だけを文字に起こしたが、答弁から質問の趣旨が判断できる場合もあるし、できない場合もあるが、ある目的があって松野博一の答弁だけを文字にしてみる。

 ある目的は最後に明らかにする。

 松野博一「あの先程申し上げたとおりでありますが、その後文科省に寄せられた国民の皆さんの声をですね、総合的に勘案した中で追加調査の必要があると判断したところでございます」

 質問は一度は「該当する文書の存在は確認できなかった」としていたのになぜ追加調査をすることに決めたのか尋ねたといったところなのだろう。

 松野博一「全体の調査をすることは当然、必要であると認識しておりますけれども、追加調査の設計内容につきましては早急に検討して参ります」

 松野が「追加調査の設計内容」と言っていることは、「コトバンク」に「調査設計」という言葉で、「だれ (調査対象) に対して,何を (調査項目) ,どのような方法 (調査法) で調査するかの計画を立てること」と解説されている。その内容は今後の検討すると言うことなのだろう。   

 要するに「報道されている文書」の「全体の調査」を行いますという無条件の調査範囲を示したわけではなく、その反対に「全体の調査」は「必要であると認識」してはいるが、何をどう調査するかは検討すると言っている以上、調査対象は取捨選択が行われることの示唆以外の何ものでもない。

 と言うことは、当たり障りのない範囲内の結果発表となる予想しか出てこない。

 松野博一「前回のですね、文書に関しても調査対象にしていく考えでございます。前回の調査となった対象となった文書に関しても調査対象にしていく考えでです」

 松野博一「前回、当時に於いては調査方法に関しては合理的なものであったと考えておりますが、追加調査していくことに関しては先程申し上げた理由によります」

 前回の「調査方法に関しては合理的なもの」との前提で「該当する文書の存在は確認できなかった」と答を出している以上、前回調査した文書を「追加調査」したとしても、別の答は期待できないことになる。

 そもそも安倍晋三の政治的関与ありの答えを出すはずはない。このことからも当たり障りのない範囲内の結果発表となる予想しか出てこない。

 松野博一「あのー、今ご指摘に関しては私の方は確認しておりません」

 松野博一「先程申し上げたとおりでありますけれども、前回調査の時点に於いてですね、合理的調査が行われたと考えておりました。その後、繰返しになりますが国民の皆さんからですね、文部科学省に対して今後さらに追加的な調査が必要であろうというようなが寄せられた中で総合的に判断したと、そういうことでございます」

 記者の質問の中に「責任」という言葉が聞こえたから、前回調査で問題無しとした責任を質したのかもしれない。

 前回の調査は合理的な調査で間違いはないから責任はない、だが、国民が再調査を求める声が寄せられたから、その声に応えて調査するというのは矛盾している。

 間違いのない調査を再び調査してもどうなるというものでもないからだ。

 松野博一「ま、国民の皆さんがですね、そういった調査が必要だという声が上がっていることに関しては調査設計に関してですね、内容がお認め頂けなかったと思います。

 次の調査の設計についてはこれから至急に行いますけれども、その中に受け入れながらですね、設計行為を行いたいと考えております」

 松野博一「(追加調査は)国民の皆さんからそういう声が寄せられているということでございますので、それをしっかりと認識していきたいと思いますが、いずれにしろ、評価に関してはですね、これから調査を行って、その調査の結果をしっかりと精査していきたいと考えていきたいと――」

 松野博一「調査の内容に関してはですね、文書の真否が勿論、中心になっていくわけでありますが、ま、今後どういった調査が必要か、(聞き取れない)含めてですね、早急に設計していきたいと思います」

 松野博一「質問の趣旨が理解していなかったかもしれませんが、現状までの設計による調査によっては確認できなかったというのは事実でございます」

 松野博一「今後ですね、調査をしてですね、その調査結果に基づいて次の判断をするということでございますから、これから調査をする。今の段階に於いてですね、お話をする状況ではないと。

 今の段階に於いては確認されていないということが前提でございますので、今後調査を行なってですね、その調査の結果によって判断して――」

 松野博一「現状に於いてですね、ヒヤリングを行った内容と今まで発表してきたということが同一の事実関係でございます」

 松野博一「――(記者の名前か)さんが指摘されている事実はございませんし、今回の国家戦略特区に於けるプロセスに問題があったとも考えておりません。文科省の行政が歪められたということもないと考えておりますし、今までの様々な委員会の議論の中に於いてもですね、具体的にこの国家戦略特区に関わるプロセスの中でここが問題があったとかですね、ここの判断が行政が歪められたんではないかと具体的な指摘は頂いていないというふうに認識をしております

 追加調査の答を既に出している。この答を前提に追加調査をするということを松野はここで言っている。前のところで、当たり障りのない範囲内の結果発表となる予想しか出てこないと書き、安倍晋三の政治的関与ありの答えを出すはずはないと書いた。

 松野博一「今回何らかの違法性が指摘されて調査をするということではありませんので、文科省内に於いてしっかりと調査をさせて頂きたいと思いますし、調査の内容に関しては今後早急に設計をしていきたいと考えております」(記者会見終了)

 獣医学部新設決定に関して違法性はないと言っている。だが、「国民の声」を理由に追加調査をする。何らかの時間稼ぎのように思える。

 松野博一は追加調査を決めることにした理由を「国民の声」に置いている。「文科省として追加調査等の必要があるとの国民の皆様方の声が多く寄せられています」等々、何度も「国民の声」を挙げている。数えてみたら、6回使っている。

 2017年6月3日と4日実施の「JNN調査」世論調査を見てみる。  

 加計学園での政府の説明に「納得できない」72%
             「納得できる」16%

 「政府の説明と前川前事務次官の説明のどちらが信じるか」
 「前川前事務次官」58%

 2017年6月3日報道に「日経電子版」を見てみる。  

 政府の説明に「納得できない」81.4%
       「納得できる」18.6%

 前事務次官の説明に「納得できない」25.9%
          「納得できる」74.1%

 政府の説明に「納得できない」という70~80%の声は文科省の調査が単に不十分だと見做すだけではなく、政府の説明は信用できないという評価をも併せ持たせることになる。納得という認識作用は信用という認識作用と相互に響き合って、それらの認識を補強し合う。

 ある説明を信用できたとき、その説明に納得することができ、説明に納得できたとき、その説明を信用できることになる。逆もまた真なりである。

 とすると、文科省の調査は不十分で納得できないと見做す70~80%の国民の声は政府の説明は信用できないという70~80%の国民の声でもあって、野党が政府に求めていた前川前事務次官と首相補佐官たちの証人喚問を支持する70~80%の国民の声と見ても、大きく外れることはないはずである。

 野党は文科省の調査にしても政府の説明にしても納得できない、信用できないとして、その状況を打破するために証人喚問を求めていたのであり、国民の声もそれに対応していると見做すことができるからだ。

 国民が文科省の調査は不十分だ、政府の説明は納得できない、信用できないの声だけで矛を収めておくとしたら、政治に対して消極的一方ということになる。証人喚問によって政治的関与があったかどうかの事実が解明されるのではないかと期待していたはずだ。

 だが、松野博一は「国民の声」を追加調査を求めるだけの声に限定している。

 ここに大きなマヤカシがある。記者会見に於ける記者の質問時の声が何かに反響して殆ど聞き取れないにも関わらず松野博一の答弁だけを拾ったのは、記者が「国民は追加調査だけではなく、証人喚問を求める声はなかったのか」と質問するかどうか、それを確かめるためであった。

 松野のどの答弁からも、記者のそのような質問に対応する内容のものは見当たらなかった。

 安倍晋三の政治的関与によって行政が歪められたのではないのかという疑惑が浮上している状況に反して国家戦略特区を手続きとした加計学園獣医学部新設に何も問題はなかった、行政が歪められることもなかったとの認識を前提とした追加調査であること自体がマヤカシそのものだが、追加調査は国民の声が寄せられたからだとその正当性を何度も言い立てている一方で、再調査のみならず、存在しているはずの証人喚問を求める声を無視するというマヤカシは再調査と言おうと、追加調査と言おうと、どのような調査にも期待はできない予感しか返ってこない。

 松野は「総理からは『徹底した調査を速やかに実施するよう』指示がありました」と言っているが、結果は見え透いているのである。茶番もいいとこである。 


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