「正々堂々」も「愚直」も最無縁の安倍晋三が選挙戦を「正々堂々と愚直に政策を訴える」とする滑稽な空言

2017-10-04 07:53:05 | 政治

次期衆議院議員選挙 争点とすべき


      2つのこと



  森友・加計政治関与疑惑にまみれた

     指導者を続投させるべきか否か

  成長実感ゼロのアベノミクスを

     効果があると見せかける幻想に

      今後も付き合うべきか否か

 安倍晋三が自民党選挙対策本部幹部会議で「正々堂々と愚直に政策を訴えて戦おう」と述べ、政策論議を通じて政権担当能力をアピールし、政権の継続に支持を得たいという考えを強調したと2017年10月3日付「NHK NEWS WEB」記事が伝えていた。   
 
 「正々堂々」という言葉も、「愚直」という言葉も最無縁の安倍晋三がどのツラ下げて口にしたのかと感心したが、すぐに何の衒いもなく口にすることができたはずだと思い直した。図々しさは天下一品、右に出る者はいないはずだからだ。

 もう一つの同じ2017年10月3日付「NHK NEWS WEB」記事は安倍晋三の栃木県さくら市での街頭演説を紹介している。  

 安倍晋三「今、私たちは少子化という大きな壁を突き破っていかなければならない。そのために子育てをしっかり応援していく。全世代型の社会保障制度を作っていくという大改革を行う決断をした。

 言ったことは絶対に実行する。この選挙はこれが問われている。誰がちゃんと結果を出すかを問う選挙だ。私たちは約束を必ず実行し、夢がある、未来がある日本を必ず作っていく」

 安倍晋三は「言ったことは絶対に実行する」、「約束を必ず実行」と、それが事実であるかのように二度同じ趣旨のことを勇まし気に繰返しているが、いくら雇用を創出したとしても、個人消費の見るべき伸びをつくり出し得ず、絶対必須条件である好循環を欠いている点、安倍内閣最大政策のアベノミクスに関しては「言ったことは絶対に実行」していることにはならないし、「約束を必ず実行」を裏切っていることになって、全て空言に過ぎない。

 戦後最高益を続々と獲得している大企業にしても、高額所得者にしてもアベノミクスを実感しているわけではなく、日銀の異次元の金融政策を受けた円安と株高を実感しているに過ぎない。

 実感できた者と実感できない者との差が自ずと経済格差拡大となって現れている。安倍晋三は「格差を拡大します」とは言っていないのだから、「言っていないこと」、「約束していないこと」を逆に立派に実行したことになる。

 国会に諮った法案そのものは2017年1月20日招集2017年6月18日閉幕の通常国会での成立率は95.5%だと言うことだが、選挙で巧妙な手を使って掻き集めた頭数が自動的に作用した法案成立であって、アベノミクスの現状から言っても、成立した政策が一般国民の生活に目立って役立っているわけではない。

 安倍晋三が2015年9月24日に自民党総裁への再選が決まって掲げた新3本の矢の内の「GDP600兆円」、「希望出生率1.8の実現」、年間10万人と推計されている近親者の介護のために離職をせざるを得ない状況を断ち切る「介護離職ゼロ」、「待機児童ゼロ」と麗々しくご披露に及んだ各政策は満足に実行できていないのだから、一般生活者が旧アベノミクスにしても新アベノミクスにしても実感できていない状況は当然の成り行きであろう。

 にも関わらず、「言ったことは絶対に実行する」、「約束を必ず実行」と、それが真正な事実であるかのように力強い言葉で声を張り上げる。

 こうようなことは「ツラの皮がまるで鉄でできているように恥知らずで厚かましいこと。厚顔無恥」を指す言葉、「鉄面皮」という言葉で表現できる。

 要するに安倍晋三は選挙を巧みに操って、その勝利で政権を持たせているに過ぎない。

 第2次安倍政権は2012年12月16日の衆議院議員選挙に大勝利して2012年12月26日に発足した。民主党政権が失敗して国民に大失望を与えた反動の大勝利に過ぎない。誰が首相であっても、大勝利しただろう。

 第二安倍政権が発足後最初に迎えた国政選挙は2013年7月21日投開票の参議院議員選挙で自民・公明両党が全体で過半数を上回る135議席を占め、野党が過半数を占めていたねじれを解消することができたのは選挙前に「アベノミクスとは世界経済と日本経済のWin-Winです、経済成長と財政再建のWin-Winです」とか相務めていた宣伝が功を奏したわけではない。

 なぜなら、政権発足から7カ月しか経過していないから、アベノミクスはまだ海のものとも山のものとも見分けがつかない状況にあったからである。勝因は民主党政権に対する国民の失望の記憶が未だ生々しかったことと、2013年4月から実施の日銀の異次元の金融政策が円安・株高時代を演出してくれたことにある。

 次の国政選挙は2014年12月14日投開票の衆議院議員総選挙であるが、2014年11月8日に消費税2015年10月税率10%への引き上げを2017年4月に1年半の延期を表明。国民が暮らしを最大の利害としていることを利用したのである。

 この利用が最大の勝因となって、自民党は単独で絶対安定多数の266を超える291議席を獲得、公明党35議席と合わせて議席数の3分の2以上を維持する勝利を収めた。

 第2次安倍政権発足後の3度目の国政選挙が2016年7月10日投開票の第24回参議院議員選挙。半年前の2016年6月1日に通常国会の閉幕を受けて首相官邸で記者会見を開き、2017年4月1日に延期・予定されていた8%から10%への増税を2019年10月1日に2年半再延期した。

 国民が暮らしを最大の利害としていることを再利用したのである。柳の下に二匹目のドジョウを狙い、成功して、前回参議院議員選挙自公全体で135議席から11議席増やして146議席となる勝利を収めている。

 一般国民に景気の実感を与え得ることができいない現状のアベノミクスの機能不全を見れば分かるように安倍晋三はこれまでの選挙をアベノミクスの実効性やその他の政策の実現で勝利してきたのではなく、民主党政権の失敗を大きな糧とし、消費税増税を延期する遣り繰りで暮らしを最大の利害としている国民を目眩ましして、言ってみれば票を騙し取ってきたに過ぎない。

 かくこのように安倍晋三はどの選挙も、決して「正々堂々と愚直に政策を訴えて戦」ってきたわけではない。当然、「言ったことは絶対に実行する」、「約束を必ず実行」は、それが安倍晋三自身の絶対信条であり、絶対順守事項であるかのように見せかけてはいるが、「正々堂々」にしても「愚直」にしても安倍晋三には最無縁の性向に過ぎないことが実際の正体と言ったところなのだろう。

 下落していた内閣支持率が北朝鮮対応で一旦は改善したが、選挙戦に入って安倍晋三が懸命に声を嗄らして政策を訴えたり、野党を批判したりしているにも関わらず再び下落しているところを見ると、自らの姿勢を「正々堂々」、「愚直」と訴えていることに反してそろそろ化けの皮が剥がれつつあるようだ。

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