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長編小説「黒い地下鉄」②

2007年05月01日 | 長編小説

憲祐をここへ案内してくれた男は、
「この鉄道をご利用になるのでしたら会員手続きとそれに」
「それに、第一会員手続きなんて鉄道に乗るのに」
「でも、規則なんで、それと」
「もう一つ、あなたの指紋登録を」
「はっ、ここは警察じゃないでしょう、何でそんな」
「あれ、見てください、お乗りになる方は、ああして指を押しているでしょう」
「はっ、」
見ると首に掛けているケースから顔写真の入ったID番号の入ったカードを取り出してカードを自動改札機に挿入している。

手前にバーがあって
「あなたの身分確認のため指紋照合を行います。お手数ですが、あなたの指を確認機の上においてください。
なんとも奇妙なSFっぽい光景だなあ、なにか機密を扱ってるような不思議な世界に誘われていた。
この光景って、考えてみた。そうだMGM映画の2010年で宇宙ステーションに着いて国家会議に出るのに目の虹彩を利用した身元確認機と同じシステムなんだ、心の中でそう思った。
「あなたの身元はただいま確認されました。どうぞバーを押してお通りください」
一人ひとりが見ていると3分ぐらい立ち止まって身元確認を受けているのだ。
憲祐は未来絵を見ている思いがした。
自分の住んでいる藤沢にまさかこのような未来志向のIT技術が詰まった駅があるとは、でもいくら考えても地下鉄に単に乗るのにこんなアメリカの核防御センターのような不法な侵入者を防ぐ厳密な管理システムがなぜ必要なのか、いくら考えてもなぞは解けなかった。
「近頃、銀行で指紋認証式を採用しているいるでしょう、当地下鉄は治安とか防犯のためにいち早く」
男は説明する。
「わかった」
男は駅員を呼びに行こうとしているのを憲祐は呼び止めた。

「疑うわけじゃないけど、ここから下のホームちょっとだけ見せてほしいんだ」
駅と言っても切符自動販売機も金額を付した駅名の表示もない奇妙な駅なのだ。
彼が疑いを持つのも当然だった。
鉄道ファンだった彼は、その地下鉄をガラス越しから見て自分の目で早く見たかったこともあって、またなによりも自分の目で確かめたかったのだ。
「まもなく2番線に小田原発東京行きが参ります。この電車は大船・戸塚・横浜・
X・新馬込・Y・五反田・Z・虎ノ門・東京の順にとまります」
「うそだろう」

憲祐は、ビラに出ていた駅名X・Y・Zとアナウンスが行ったのを耳にして唖然として口を開けたまま下を黙って眺めている。
やがて地下鉄独特の遠くから地鳴りのような音がしてそれは次第に周囲が、ガラスがびりびりと振動して地下鉄が近づいてくるのだった。
「どんな電車かなあ、ステンレスか、シルバーか、まさかゴールドじゃないだろうな」
想像力を働かせて瞬間考えてみた。ゴールド、純金の色の電車イコール会員制という言葉と結びついたのだった。

すごい響きを立てて全体をブラックに塗って運転台前面だけがホワイトのVVVF独自の甲高い音が一オクターブづつ下がって電車は定位置にぴたりととまった。
「お待たせしました。まもなく小田原行きが4番線に参ります。この電車は藤沢ー平塚ーW-松田ーV-小田原に止まります。」
こちらはW-V駅か、何でますますわからなくなっていた。しかもホームには30歳以下の若い人が。
ブラックマスクは近年かって国鉄が201系に採用してそれ以来、全国の国鉄から黒マスクは次第に普及し、それは私鉄に及んだのだった。
精悍なブラックマスクが電車全体のステンレスとかさまざまな色の塗装を塗った電車によく似合うのだった。

しかし、いままで全体の車輌が黒一色で塗られている電車はなかった。
電車は窓の淵が金色で黒色の車輌から浮き出ていて、金色の2007-01と金色の形式番号が輝いている。やはり会員制だからゴールドなのかなあ、首をひねって考えていた。
時計は8時をとっくに過ぎていた。
「今日は日曜日かあ」
普段の日は、地上の電車は満員でドアに通勤客が殺到して、駅員が駆けつけて中の乗客を押し込み、背中を向けてドアの淵に手で掴んで腰を曲げるようにして車内に入っていく。時には電車の遅延でダイア全体が狂うのを防ぐためにパートの社員が乗客を剥ぎ取ってしまうこともある。

電車の発車を知らせる放送が、
「3番線の東京行き、この辺でドアを閉めます。無理をなさらず次の電車をお待ちください、駆け込み乗車は大変危険ですのでお辞めください、ハイ、3番線ドアが閉まっております」と一段と切迫感を与えている。
日曜日にしても、客のほとんどが中年から先の年輩者でそれも数えるほどしか乗らない。なぜ中高年が、無言で静かで、こんなに乗客がいないことは地上の駅では到底考えられない。
「なぜ?」
何から何まで型破りのこの地下深い路線を走る地下鉄にただ唖然としているのだった。

男がその様子を見ていて黒い地下鉄も東京方面に走り去ったので声をかけてきた。
「いかがですか?、ご乗車になられますか」
「ええ、すごいシステムですね、乗ってみたいです。僕も60過ぎなので、毎日乗る地上の電車と比べると」
「わかりました、それでは早速乗車のための手続きをしましょう」
男はそう言って憲祐を顧客管理センターに連れて行った。
地下の右側のドアには、横文字で顧客管理センター(CUSTMAER CONTOROLE CENTER)と金文字で書かれている
「いらっしゃいませ」
黒色に金ボタン、金のステッチの入ったアテンダントが丁寧にお辞儀をする。

いわばJRのような緑の窓口のようにチケットも見えない。個室が5部屋ほどあって
黒色のユニフォームを来た女性が部屋に案内する。
憲祐にとっては、初めての経験で心なしか緊張してくる。
「どうぞ、お入りください」
NO4
の部屋のドアを開けると、中は淡い茶色のマホガ二材の落ち着いたたたずまいの部屋だ。中央に液晶テレビがあり、画面を見ると二面の地下ホームの模様が中継されているようだ。
彼がテーブルを挟んで奥のソファに座ると、ドアをノックする音がしてブルーの制服を着たアテンダントが、丁寧に頭を下げて
「コーヒーをどうぞ」
と目の前において
「失礼します」
と一礼して静かにドアを閉めて去っていった。
部屋にはこの黒い地下鉄ではない、新しく開通した首都鉄道のパンフレットさへも置いていない奇妙な部屋だ。

憲祐は壁に設けられたテレビを見た。音楽が流れ、世界初の会員制地下鉄と大きな赤いタイトルが迫って、快適な通勤をお約束する安全第一の黒い地下鉄とタイトルが流れると同時にあの車体が黒で窓枠が金色の前面半分がホワイトマスクの地下鉄がクローズアップされる。続いて、きっと気にいっていただける車内のインテリアというタイトルとともに車内の模様を説明する黒い制服を着た美人アテンダントが
説明を始める。航空機並みのビジネスシートはピンク色でゆったりしたリクライニングの背もたれ、テレビ・ゲームが前面椅子にはめ込んであるようだ、

さらに皆様の健康をお約束する首都鉄道ならではの自動マッサージ装置、脇のスイッチを押すとなんと背中がぶるぶると震え、マッサージをしてくれる。

おまけにソファの腕掛けには、ケータイの血圧計がはめ込まれて手を入れると腕がきつく締められて血圧測定が出来るなど、健康管理もしてくれるなど、万全の構えが出来ているようだ。
アテンダントのホスピタリティーな数々のサービスで新聞が閲覧でき、飲み物を運んでくれるなど、サービスは今までの鉄道とは比較にならないことを知った。
3分くらいのCMが終わりあなたの幸せをお約束する首都鉄道をというアナウンスで説明は終わった。

憲祐はCMを見終わってなぜ普通のテレビで首都鉄道を取り上げないのだろうと不思議でならなかった。
その時、ドアをノックする音がして濃紺の制服に黒いスカーフを締めたアテンダントが「失礼します」と恭しく頭を下げて白い手袋に書類が入っているのか大きな紙袋を右手で脇に挟みその後を新人らしいアテンダントがいた。

アテンダントは憲祐の顔を見ながら、
「いかがでしたか、ビデオをご覧になって?」
と聞いた。
「う~ん、すごいなあ、健康管理まで出来るなんて」
「皆さんそうおっしゃいます、まれに高齢のお客様が、この間なんて急に具合が悪くなられたご様子で、ぐったりされていたので、私たちがその方の血圧を測ったら230もあって」
「えっ、そういうこともあるのですか?」
「すぐに次の駅でお客様を担架に乗せて救急車で病院へ、ま、手当てが早く助かりましたけど」

憲祐は、
「わかったよ、ビデオを見てて、早速この鉄道を利用したいけど、いやあ、僕も60歳を過ぎてね、楽に通勤できればね」
アテンダントは、憲祐の一言一言にうなづきながら、
「それでは、あなたさまの鉄道利用の契約をしましょう」
といって椅子に座り、封筒から書類を取り出した。
「これが本鉄道の利用規約です、かなり長文になっていますので今ここで、
今日、お帰りになってよくお読みください」
「で、早速今日利用したいのだけど」
憲祐はアテンダントに言った。

アテンダントは、
「何か今日だけ乗っていただくために身分証明書なり、免許証とかお持ちですか」
「今日のところ一日だけ乗車利用カードを出しますが、その前に指紋登録と目の虹彩登録をしていただきます。本格的な乗車カードはこの次利用規約に署名してからになります」

と快適な通勤環境を払う代償としては、身元検査とか指紋登録とかまるで警察の中にいて取調べを受けている感じ」さへなってくるのだ。
憲祐は、アテンダントから、書類の入った大きな封筒を受け取ってバッグにしまった。
「それでは、早速乗車のための手続きをしましょう」
応接サロンの右側に小さなドアがある。
アテンダントは、ドアの右側にあるレンズに右手を触れた。
ドアは音も立てず開いた。
「これは」
憲祐が聞くと、
「静脈の血管を利用した認識装置です」
という。テレビでセキュリティー、安全管理の一環としてある金融機関が採用したことをテレビで見て、やがてはこういう装置が広まって銀行での振り込め詐欺もなくなる日も遠くないと思っていたのだが、ここでは最先端安全技術がすでに利用されているのだ。

 


お読みになりましてなぞは解けましたでしょうか。それは今後少しずつ明らかにしたいと思います。次回をお楽しみに
                                  (続)

 

 

 

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履歴書に書けない特技について (コンピュータ ガーデン スカイハイ)
2007-05-07 12:28:43
コンピュータ ガーデン スカイハイといいます。

先日は、「履歴書に書けない特技」について、
コメントを頂きまして、ありがとうございました。
営業日の関係で、お返事遅くなり、
申し訳ありませんでした。

HIRO様のブログの方にも、早速御訪問させて頂きました。

歌をすぐ、覚えられるというのは、凄いですね。
私は、なかなか難しいです。(^_^;)

小説も、ぜひ一度、読ませて頂きたいなと
思うほど、十分な特技ですね。
いあや、特技とはもういえない立派な、能力と
思います。

乗り物の音、なんかいいですね。(^o^)
にぎやかで、楽しそうです。

私も子供がいますので、ぜひ、聞かせて頂きたい
特技ですね。

また、よろしければ当ブログにも、遊びに来て頂ければと
思います。

ありがとうございました。
宜しくお願い致します。

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こんにちは。始めまして(^^)私もブログやっていまして、ちょうど関連の話題だったのでTBしました。私のは、はじめたばかりで、まだまだですが(^^;)私のブログの記事に紹介させて頂きました☆よければ私のブログにもTBもよろしくお願いします♪