木村 和美 Architect

建築家木村和美の日常活動とプロジェクトについてのブログ

建築の寿命

2008-06-21 22:55:30 | Weblog

 

昨日友人と有楽町で会食、諸々の親しい人の近況情報の交換で時間を費やす。

彼は元気でいるそうだ、彼は今までにない苦境で大変そうだが何とか落ち着いたようだ、まあ人生いい時もあるし悪い時もある。

などと人の事だから勝手な事を言い合って、昼のひと時が過ぎた。

 

帰りに新聞を見ると、銀座8丁目の資生堂ザ・ギンザが今年中に閉店すると言うニュースが記されていた。

ザ・ギンザは資生堂のアパレル部門のセレクトショップで1975年に創業、以来パリ、ミラノの先端的なファッションを紹介、アルマーニなど当時はここでしか手に入れることが出来なかった貴重な存在であった。

 

私には芦原義信先生設計のこの建物に色々な思い出がある。(写真)

外壁が特徴的でリブ付き打放しコンクリートハツリ仕上げという、アメリカ東海岸ニュージャージーあたりでよく見る仕上げで、建築家のポール・ルドルフがよく使っていた物である。

資生堂ザ・ギンザはその表面にウレタン塗装がかけてあり、しっくりと落ち着いた表情で、銀座の町並みに相応しい建物であった。

 

私が初めて本格的なビルの設計を行ったのは、九段一口坂にある”新村ビル”であるが、ここはレコード会社の”ポニーキャニオン”が本社として借りていた。

オーナーの新村さんがザ・ギンザの外壁デザインを気に入られ、あれをやりたいとおっしゃったので、もう少し手の込んだハツリ仕上げを行った。

ザ・ギンザの隣にあった資生堂パーラーが入ったビルはすでに建替えされ、今度は来年このザ・ギンザビルが建て替えとなる。

約33年の命であった。味のあるビルが次々となくなり銀座の風景も変わっていく。

 

最近私の知り合いがグループ旅行で、フランス、ドイツを廻り帰国した。

ほとんどが初めてか2回目の人達で、アルザス・ストラスブールやハイデルベルグなどを回り、ドイツの町の美しさに感心していた。

あのような町を残しながら、なお経済成長をしていることが不思議なようであった。

 

 一言では言えないが、これには彼我の政治構造、産業構造の違いが大きく影響している。

建築的には良い建物をストックとして残して行くさまざまな手立てがされているようだ。

日本でも本当は大企業が模範を示すべきであるが中々そうも行かないようである。

ジャンル:
ウェブログ
キーワード
ポニーキャニオン 資生堂パーラー ハイデルベルグ レコード会社 ニュージャージー 打放しコンクリート アメリカ東海岸 セレクトショップ
コメント (0) |  トラックバック (1) |  この記事についてブログを書く
Messenger この記事をはてなブックマークに追加 mixiチェック シェア
« 空中からの眺望 ... | トップ | 高級住宅の設計 »

コメント

コメントはありません。

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。
※文字化け等の原因になりますので、顔文字の利用はお控えください。
下記数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。この数字を読み取っていただくことで自動化されたプログラムによる投稿でないことを確認させていただいております。
数字4桁

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
あいつぐ閉店報道にみるセレクトショップの凋落と生き残り【前編】 (専門家や海外ジャーナリストのブログネットワーク【MediaSabor メディアサボール 】)
 ブランドを固定しない、バイヤー感覚重視のファッションストア業態が「セレクトシ...

あわせて読む