私の闇の奥

藤永茂訳コンラッド著『闇の奥』の解説から始まりました

シリア問題の核心はロジャバ革命

2016-12-31 23:49:49 | 日記・エッセイ・コラム
 事の始まりはそうではありませんでした。主に米欧とイスラエルの地政学的計算からシリアのアサド政権の打倒を目指して始められた政権変換戦争でしたが、「アラブの春」という仕組まれた瓢簞から駒が出るような格好で、トルコとの国境線に接するシリア北部(Rojava、ロジャバ)のクルド人地域が突出した勢いで、草の根主義的な民主化運動を実施推進し始めます。これは当然ダマスカスのアサド政権の中央集権的支配に反旗をひるがえす形を取りましたが、政府軍はこの動きに激しい弾圧を加える事なく、ロジャバのクルド人地域から殆ど全く軍隊を引き上げてしまいました。
 ところが、2014年7月、イスラム國(当時は主にISILと呼ばれていました)が猛然とロジャバの中心都市の一つであるコバニに襲いかかります。今の時点から振り返りますと、このコバニをめぐる戦いの意義についての我々の理解は極めて浅薄なものであったように、私には、強く思われます。ロジャバのクルド人軍がイスラム國軍に全く予想外の抵抗を示して遂に勝利を勝ちとったことの意味は、非常に大きいものであったと、今にして、思われます。
 ロジャバ革命が成就するか否かに、シリアの命運、ひいては、中東全体、あるいは、世界全体の命運がかかっていると、私には、思われます。いささかの誇張もなく、祈るような気持ちで、2017年のシリア情勢の展開を凝視しているところです。

藤永茂 (2016年12月31日午後11時50分)
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3 コメント

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Unknown (山椒魚)
2017-01-01 13:29:24
あけましておめでとうございます
今年も色々お教えいただきますようおねがいいたします。

藤永先生のご健康をお祈りいたしております

Unknown (Hitoshi Yokoo)
2017-01-02 00:59:26
新しい年を迎えました。
北シリア自治運動は、我々の期待を裏切ることなく、ますます世界の希望の中心になりつつあります。女性の解放も多民族の共存も、自治運動の重要な課題として、その実現を目指す制度の構築が実際に行われています。また、イスラム原理主義者に破壊されたキリスト教会の再建も、諸宗教の共存を目指す自治運動の目的の一環として、自治運動の成員によって行われています。そして、持続可能な環境の維持のための植樹なども実践されているようです。
中東の情勢は、米国の凋落、ロシアとトルコの急接近と、新たな展開を迎えています。北シリア自治運動は、生き抜くために、この新たな情勢に対応した新たな戦略の構築を要請されています。
私の印象では、北シリア自治運動は、既に幾多の困難を乗り越え、自立の精神を失うことなく、国際世論を自らの陣営に取り込んできました。彼らが自らの理想を実現するためには、敵対勢力に対する経済力の劣性を国際世論の力で補う他に方法はありません。そのためには、自らの掲げた理想の実践を通じて、自らを世界に訴えかける以外にありません。彼らは、まさにその方法で戦っているのだと、私は思います。
謹賀新年 (私は黙らない)
2017-01-04 05:24:00
あけましておめでとうございます。
先生のブログを読み始めて以来、今までの世界観がゆらいでいます。最近では、独裁と断じられているムガベ大統領の評価が、大変驚きでした。マスメディアの報道が、必ずしも真実ではないのだと、思い知りました。
私も、末席ながら、先生の教えを乞いたいと思います。
どうぞ、私たちのためにも、ご自愛ください。ブログの更新を楽しみにしております。

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