私の闇の奥

藤永茂訳コンラッド著『闇の奥』の解説から始まりました

分断統治と知的従属

2010-04-07 19:46:00 | 日記・エッセイ・コラム
********* 前置き(藤永 茂)***************
                            
私のブログ「ハイチは我々にとって何か(5)」に長いコメントを頂いた
須衛野さんに、特別寄稿をお願いしました。私のパソコン知識不足のため、
テキストの体裁が不備な点をお許し下さい。須衛野さんからは、acrobat
reader で読めるpdf で受領しましたが、このブログの記事にうまく移せま
せんでした。この論考の終りに近い所に引用されている Whale Whores は
とりわけ一見に値します。須衛野さんから送って頂いた元のpdf をご希望
の方は、コメント欄を使ってお知らせ下さい。

**********************************
                       
                                                  
少し前のことですが、ニューズウィーク誌の日本語サイトに『過激思想に走りやすい?理数系学生を警戒』という短いコラムが掲載されていました。『アルカイダやヒズボラ、ハマスといったイスラム教過激派組織にリクルートされるのは、医学や工学といった理数系分野の出身者が多いという。オックスフォード大学の社会学者ディエゴ・ガンベッタとシュテッフェン・ヘルトクが高学歴のテロリスト178人を調査した結果、半数近くが理数系を専攻していたことが分かった。過激な思想の持ち主が科学に詳しい傾向は、イスラム教徒に限った話ではない。ヒトラーを崇拝するネオナチにも同様の傾向が見られる』ため、『欧米やイスラエルの情報機関は中東全域の大学で化学や物理、生物などを教える学部の監視を強化して』おり、『米政府も大学の工学部への留学希望者にはより徹底した入国審査を実施するようになった』そうです。この「半数近くが理数系を専攻」という翻訳が気になりましたので、原文に当たってみたところ、やはり"almost half studied math or
science"という記述がなされていました。almost half、つまり、半数に届こうとするところの学生は理数系です。これだけでも多くの人がこの文章の胡散臭さに気づいたであろうことは容易に想像できます。そう、「半数を超える残りの高学歴テロリスト」は人文系や社会系、芸術系といった文科系であるにも拘らず、これを書いた人は普通の理数系出身者ならば怖くて出来ないほど大胆かつ強引に理数系出身のテロリストが「多い」ことを強調しています。続くパラグラフでは、理数系がテロに走りやすい「理由」らしきものが説明されています。引用開始『なぜ理数系がテロに走りやすいのか。専門家らによれば、理数系の人は社会を大きな機械のように考える傾向があるという』引用終了。これを書いた人や専門家らが殺人に走らないことを祈りましょう。人→理数系教育機関→人+テロリスト傾向、∴¬(理数系学部による中東からの留学生採用)。恐ろしい。

藤永ゼミに飛び入りさせていただいているので、発表者が何者なのかを簡単に説明します。理学部数学科で統計学の講義を受け持っていましたが昨年引退しました。生粋の数学屋さんではありません。経済学畑で統計学と線形計画法を齧っただけです。しかし、ブラジルに流れ着いた時、出身が何だろうが大学院で担当科目の単位を取得していれば問題ないということで教壇に立ちました。線形代数の講義を担当したことさえあります。まったくもって乱暴な話。暫く前まではそれほど数学教師が不足していたのです。2003年のルーラ大統領就任以来、数理教育プログラム、とくにキューバとの学術交流にかなりの資源を投入しているらしいのですが、教師不足は未だ解消されていません。私が勤務していた州立大学の数学科では、いくら懇切丁寧に指導しても40名の入学者が卒業する頃には5名程しか生き残っていませんでした。新興国中、最も理数系の成績が悪い国でもあります。そういえば、随分前のことですが「先進諸国はロシアや中国、インドを怖がっているし、米国はあんなに小さなキューバに対してさえ今現在でも封じ込め政策を続けている。理数教育のレベルが高くて、例えば中国のように機会を巧みに利用すれば時間をかけずして生産技術で追いつくことが可能だからでしょう」と話したところ、「でも、ブラジルは理工系が駄目だからどこからも脅威とは思われていません。だから国際的紛争からは遠い位置にいていつも平和です」と学生の一人が混ぜっ返し、喜んで良いのやら悲しんで良いのやら分からない、と言う話になったのを思い出しました。

過去のエントリーで藤永先生も言及されていますが、キューバからは医師や数学、物理学、化学の教師が中南米やアフリカ諸国へ派遣されています。知り合いの米国人に言わせれば「家族を人質に取られているから政府の言いなりになっている」らしいです。私の同僚にも5、6人いましたので、本人たちに訊いたところ、人質であるはずの家族を呼び寄せた人、一種の出稼ぎと割り切ってキューバ政府に納める『税金』を誤魔化している人、向こうの家族に隠れて若い女性と結婚した人、等々、米国生まれの我が友人が願望を込めてこじつけた偏見塗れの理由とはかなり異なっていました。皆とても陽気で優秀な人たちです。とくに旧ソ連で学位を取得した人のなかにはとんでもない切れ者がいるので侮れません。ある老教授は「人々を知的従属状態から解放するためです」と言っておられました。

この物理学担当のキューバ人老教授による知的従属(Dependencias intelectuais)という言葉が未だ耳にこびりついています。地球上の貧しい国々に暮らす人々が、知的従属、とくに科学技術的知における従属状態から解放されることは、この先、果たして可能なのでしょうか。

二十世紀終盤から今世紀にかけて東欧や中東で発生した出来事を振り返ってみたとき我々が読み取ることができるのは、途上国や新興国における知的・技術的従属状態からの脱却を巨大な壁のように立ちはだかって阻む勢力が厳然として存在するということです。ベルリンの壁崩壊後の東欧では、芸術でも科学技術面でも優秀な国として数え上げられていたチェコ・スロバキアやユーゴスラビアで民族間紛争が発生し、とくに旧ユーゴスラビア地域の初等、中等、高等教育の体系は完膚無きまでに破壊されたと聞きます。同様の破壊が、欧州に隣接するトルコ以外の中東地域では、最も技術力を蓄え、サダム・フセインによる開発独裁(いくら支持率が高く、選挙という洗礼を受けていても、西洋諸国に気に入られなければ独裁者)という体制下の社会主義的な政策で世俗化に成功したイラクで発生します。しかも、後に侵略者である米国政府も認めざるを得なかった事実無根の言い掛かりによる戦争によって高等教育どころか初等・中等教育さえもが無残にも破壊されました。イラクで一体なにが進行しているのか、詳しくはマスコミに載らない海外記事さんが翻訳された『アメリカの対イラク戦争-文明の破壊』という記事を読まれることを強くお勧めします。記事では「ならず者」たちの分裂・分断工作に煽られた狂信的な宗教派閥による知識人や科学者を対象とした大量殺戮が報告されています。読んでいて胸が悪くなるくらい凄惨な状況です。『単なる‘体制変革’だけでは、イラクにおける、この深く根付いた、高度な世俗的共和主義文化は根絶できない』ことから『アメリカの戦争計画者達や、イスラエル人顧問達は』知識人や科学者という高度な知的訓練を受けている『イラク人社会で最も非宗教的な部分の人々を、物理的に抹殺することで、民族主義的自覚を持った人々を、根絶し、破壊した』のです。なぜならば『文化的に粛清されたバグダッドに、原始的で、‘国家以前の’忠誠心を持った植民地傀儡を権力の座に、無理やり据えるための、主な手段』として。その結果、『カイロのアル-アハラム研究センターによると、アメリカ占領後、最初の18ヶ月間に、310人以上のイラク人科学者が抹殺』され、『この数値は、イラク文部省も否定していない』のです。まさに文明破壊としか言いようがない。人類の存在意義そのものに対する挑戦です。

アフリカ諸国のなかで最も農・工業が発展していたケニアを大混乱に陥れるという非道な分断工作演習を実施した疑いさえ濃厚であるこのならず者たちにとって、イラクの次にくる標的はどこでしょう。そう、現在中東で最も先進的な工業力を持ち、選挙の状況が海外で報道され、野党の活動さえ取材可能なほどオープンで「世俗的」になりつつあるイランが標的であることは明白です。この先さらに教育環境が整い、工業力をつけ、女性の地位向上や益々の社会進出が実現し、より世俗的になって発展の軌道に乗ろうとすればするほど、所謂「先進国」による攻撃・破壊欲求を掻き立てることになりそうです。加えて、スマイリング・インペリアリズム・クラブ、別名G8という紳士面した卑劣かつ強欲極まりない植民地主義者たちの談合組合にとっては、先進国経済が恐慌寸前の綱渡り的財政・金融政策を尽くしたにも拘らず破綻を来してきたので、原油などの資源相場を一時凌ぎで高値誘導したり、苦し紛れに発行した膨大な通貨を需要があるかの如く粉飾して、国際金融資本の醜い欲望が招致した経済運営の大失敗をなんとか隠蔽するためにも、大きな地域紛争もしくは戦争が必要なのでしょう。これを書いている時点では不明ですが、米国政府が為替操作国指定をしないという約束で今回は中国が談合の仲間入りするかもしれません。ヒラリー・クリントン米国務長官は、イランに対する制裁強化をブラジル政府が支持するならば拡大G8メンバーへの正式参加や国連安保理常任理事国への推薦を確約すると言ったそうですが、ルーラ大統領は再び「G8だかG10には興味ない。寄って集って国力の差が歴然としている小国の胸ぐらを掴んで壁に押し付けるような真似をする連中の仲間(国連安保理常任理事国の意か)にはなりたくない。(米軍が侵攻したイラクには)大量破壊兵器なんて影も形もなかったではないか。我々は同じ間違いを犯すべきではない」と言っていました。全く以て常識的な対応です。ところがこの世界では常識が通用しないのか、国連安保理の常任及び非常任理事国でイランに対する制裁強化反対にまわりそうな国はブラジルとトルコだけの模様です(筆者による三月末日現在の観測)。

核兵器によって唯一甚大な被害を蒙った日本は一体何をしているのでしょうか。国連が利権屋どもの談合の場という本来の姿を顕わして牙を剥き始める前に、日本の首相や外相はIAEAに出向している天野之弥氏と大掛かりな査察チームを伴ってイランを電撃訪問し、詳細かつ慎重な査察の機会を提供することだって可能なのです。もし、イラン政府が主張するように濡れ衣ならばそれを晴らすのを手伝うと共に、核物質の移動に関しては他国よりも厳しい報告義務を負う日本の特殊な立場を最大限に利用して、イランとの核エネルギーに関する平和利用協定を結んでもなんら不自然ではありませんし、戦争を回避することだって出来るのです。

私たちはここで、米国や英国による帝国主義的属国経営が、かつて資本の論理に取り憑かれた領土獲得の熱狂と共にアジア全域を侵略していった日本の帝国主義とはある一点でまったく異なっていることを念頭におかねばならないのかもしれません。当時の新興国家であった日本がアジア地域における「先進国」としての立場を笠に着た独善的かつあからさまな選民意識でもって様々な政策を他国へ押し付けたことは否めませんし、ある意味で入植地における日本人コロニスト子弟の進学先という要請があったにせよ、外地の朝鮮半島や台湾の教育制度を整備し、内地の大阪や名古屋という大都市に先んじて名目上自律的に現地総督府の管轄下で「帝國大学」を設置し、知的従属状態から脱却するための礎ともなる理工学や医学という重要分野を真っ先に開講したことは歴史的事実です。日本によるこのような植民地経営法が欧米諸国の目にいったいどのように映ったのかは興味あるテーマです。推測にしか過ぎませんが、その後の欧米諸国の対応や歴史的展開が物語っているように、おそらくかなりの脅威だったのでしょう。欧米諸国が獲得した植民地や属領化した国家でまず手がけることは、これまで述べてきたように知の破壊です。もし、イスラエルが単独で、或いは米国が体裁を繕ったNATO軍や国連軍と共にイランへ侵攻すれば、イラクやアフガニスタンで現在進行している知の破壊と虐殺がイランにおいても再現される確率は極めて高いのです。日本政府の人たちが、本当に歴史から学んでいるとすれば欧米諸国がいったい何を望んでいるのか理解しているはずです。中国やブラジル、トルコと共にイラン政府に対して、オープンで透明性のある査察を受け入れ、米国による侵略の口実を与えないためにも忍耐をもって乗り切るよう辛抱強く働きかけることが、いま最も大切なことではないでしょうか。米国やイスラエルは大規模なテロを捏造してでも攻撃したがっています。どの国の誰もが分かっていることです。我々は現在進行中の歴史から目を逸らさず正視し、悲惨な戦争を回避するためにあらゆる手段を用いて行動すべきときにいます。

自由と正義の国アメリカ合州国がなぜそのような知の破壊と虐殺に加担するのか、俄には信じ難い人も多いと思います。しかし、その米国の人たちが問題の核心を語っているのも事実です。先頃亡くなられたハワード・ジン先生の『民衆のアメリカ史』を下敷きにしたと思われる1991年にコロラド州立大の学生たちが製作した切り絵アニメのAmerican
History
をご覧になってください。このアニメ製作者であるトレイ・パーカーとマット・ストーンたちは、後にマイケル・ムーアのボウリング・フォー・コロンバインで使用されたアニメを提供したかのようにムーアによって印象づけられていますが、フィクションです。映画のなかのアニメが彼らの作品からの剽窃ではないかと疑いを持たれる所以です。しかし、ムーアのドキュメンタリーが指摘している復讐に対する恐怖という見かたは無視できません。さて、コロラド州立大で稚拙ではあっても意味深いアニメを製作したトレイとマットが後にサウス・パークというアニメシリーズで一躍有名になったことをご存知のかたも多いと思います。昨年放映されたWhale
Whores
というエピソードを観てみましょう。難しい英語ではないので、二度三度と繰り返してご覧になれば意味を掴むことが出来るかと思います。12歳以下のお子さんにはくれぐれもお見せにならないように。内容を詳しく知りたいかたはスクリプトが手助けになるかもしれません。登場するのはイルカや鯨を虐殺する無知で純粋な愛すべき日本人です。ここでは、偽善性の程度が高ければ高いほどその発露(発現行為)は幼稚さを増し、自らが行った残虐行為に対する復讐を避けるために極めて稚拙な誤魔化しと歴史改竄を米国が(或いは誰もが)行っていて、相手が無知であれば真実を知らしめることなく無知の檻に閉じ込めたまま嘘に嘘を重ねてもかまわない、じつは米国人もその檻の中に捕えられている、という告発がなされているのではないでしょうか。私の深読みかもしれません。しかし、様々なことどもを考えさせてくれる小品です。藤永先生ご指摘のジェスター性ではムーアよりもトレイとマットのほうに軍配が上がりそうなのですが、いかがでしょうか。

須衛野 凉一

ジャンル:
ウェブログ
コメント (11)   トラックバック (2)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 拙著『アメリカン・ドリーム... | トップ | 広島訪問;ゲバラ、カストロ... »
最近の画像もっと見る

11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
まづは出版おめでとうございます。「週間金曜日」... (sirokanippe)
2010-04-08 00:01:28
まづは出版おめでとうございます。「週間金曜日」に紹介が出ていて嬉しかったです。
ご多忙のところ差し出がましいこととは存じますが、おっしゃる「不備」、リンク指定が切れているためと思われます。余計なこととは存じますが、文書のみを直してみました。「ブログ人」のサイトで確認したところ、「記事の作成」の横に「HTMLの編集」タブが存在します。リンクがどう反映されるかは判りませんが、恐らく以下をそのまま「HTMLの編集」でコピーペーストすれば、リンクはすべて反映されると思います。

最も、記事の状態でもリンク先URLをコピーペーストすればいいだけの話ですから、一閲覧者としては不自由は感じません。このままで何の問題もあるまいと存じますが、もし御気が向かれましたらお使いください。

以下リンク修正版(改行も入れておきました)

少し前のことですが、ニューズウィーク誌の日本語サイトに『過激思想に走りやすい?理数系学生を警戒』という短いコラムが掲載されていました。『アルカイダやヒズボラ、ハマスといったイスラム教過激派組織にリクルートされるのは、医学や工学といった理数系分野の出身者が多いという。オックスフォード大学の社会学者ディエゴ・ガンベッタとシュテッフェン・ヘルトクが高学歴のテロリスト178人を調査した結果、半数近くが理数系を専攻していたことが分かった。過激な思想の持ち主が科学に詳しい傾向は、イスラム教徒に限った話ではない。ヒトラーを崇拝するネオナチにも同様の傾向が見られる』ため、『欧米やイスラエルの情報機関は中東全域の大学で化学や物理、生物などを教える学部の監視を強化して』おり、『米政府も大学の工学部への留学希望者にはより徹底した入国審査を実施するようになった』そうです。この「半数近くが理数系を専攻」という翻訳が気になりましたので、 原文に当たってみたところ、やはり"almost half studied math or science"という記述がなされていました。almost half、つまり、半数に届こうとするところの学生は理数系です。これだけでも多くの人がこの文章の胡散臭さに気づいたであろうことは容易に想像できます。そう、「半数を超える残りの高学歴テロリスト」は人文系や社会系、芸術系といった文科系であるにも拘らず、これを書いた人は普通の理数系出身者ならば怖くて出来ないほど大胆かつ強引に理数系出身のテロリストが「多い」ことを強調しています。続くパラグラフでは、理数系がテロに走りやすい「理由」らしきものが説明されています。引用開始『なぜ理数系がテロに走りやすいのか。専門家らによれば、理数系の人は社会を大きな機械のように考える傾向があるという』引用終了。これを書いた人や専門家らが殺人に走らないことを祈りましょう。人→理数系教育機関→人+テロリスト傾向、∴¬(理数系学部による中東からの留学生採用)。恐ろしい。

藤永ゼミに飛び入りさせていただいているので、発表者が何者なのかを簡単に説明します。理学部数学科で統計学の講義を受け持っていましたが昨年引退しました。生粋の数学屋さんではありません。経済学畑で統計学と線形計画法を齧っただけです。しかし、ブラジルに流れ着いた時、出身が何だろうが大学院で担当科目の単位を取得していれば問題ないということで教壇に立ちました。線形代数の講義を担当したことさえあります。まったくもって乱暴な話。暫く前まではそれほど数学教師が不足していたのです。2003年のルーラ大統領就任以来、数理教育プログラム、とくにキューバとの学術交流にかなりの資源を投入しているらしいのですが、教師不足は未だ解消されていません。私が勤務していた州立大学の数学科では、いくら懇切丁寧に指導しても40名の入学者が卒業する頃には5名程しか生き残っていませんでした。新興国中、最も理数系の成績が悪い国でもあります。そういえば、随分前のことですが「先進諸国はロシアや中国、インドを怖がっているし、米国はあんなに小さなキューバに対してさえ今現在でも封じ込め政策を続けている。理数教育のレベルが高くて、例えば中国のように機会を巧みに利用すれば時間をかけずして生産技術で追いつくことが可能だからでしょう」と話したところ、「でも、ブラジルは理工系が駄目だからどこからも脅威とは思われていません。だから国際的紛争からは遠い位置にいていつも平和です」と学生の一人が混ぜっ返し、喜んで良いのやら悲しんで良いのやら分からない、と言う話になったのを思い出しました。

過去のエントリーで藤永先生も言及されていますが、キューバからは医師や数学、物理学、化学の教師が中南米やアフリカ諸国へ派遣されています。知り合いの米国人に言わせれば「家族を人質に取られているから政府の言いなりになっている」らしいです。私の同僚にも5、6人いましたので、本人たちに訊いたところ、人質であるはずの家族を呼び寄せた人、一種の出稼ぎと割り切ってキューバ政府に納める『税金』を誤魔化している人、向こうの家族に隠れて若い女性と結婚した人、等々、米国生まれの我が友人が願望を込めてこじつけた偏見塗れの理由とはかなり異なっていました。皆とても陽気で優秀な人たちです。とくに旧ソ連で学位を取得した人のなかにはとんでもない切れ者がいるので侮れません。ある老教授は「人々を知的従属状態から解放するためです」と言っておられました。

この物理学担当のキューバ人老教授による知的従属(Dependencias intelectuais)という言葉が未だ耳にこびりついています。地球上の貧しい国々に暮らす人々が、知的従属、とくに科学技術的知における従属状態から解放されることは、この先、果たして可能なのでしょうか。

二十世紀終盤から今世紀にかけて東欧や中東で発生した出来事を振り返ってみたとき我々が読み取ることができるのは、途上国や新興国における知的・技術的従属状態からの脱却を巨大な壁のように立ちはだかって阻む勢力が厳然として存在するということです。ベルリンの壁崩壊後の東欧では、芸術でも科学技術面でも優秀な国として数え上げられていたチェコ・スロバキアやユーゴスラビアで民族間紛争が発生し、とくに旧ユーゴスラビア地域の初等、中等、高等教育の体系は完膚無きまでに破壊されたと聞きます。同様の破壊が、欧州に隣接するトルコ以外の中東地域では、最も技術力を蓄え、サダム・フセインによる開発独裁(いくら支持率が高く、選挙という洗礼を受けていても、西洋諸国に気に入られなければ独裁者)という体制下の社会主義的な政策で世俗化に成功したイラクで発生します。しかも、後に侵略者である米国政府も認めざるを得なかった事実無根の言い掛かりによる戦争によって高等教育どころか初等・中等教育さえもが無残にも破壊されました。イラクで一体なにが進行しているのか、詳しくはマスコミに載らない海外記事さんが翻訳された『アメリカの対イラク戦争-文明の破壊』という記事を読まれることを強くお勧めします。記事では「ならず者」たちの分裂・分断工作に煽られた狂信的な宗教派閥による知識人や科学者を対象とした大量殺戮が報告されています。読んでいて胸が悪くなるくらい凄惨な状況です。『単なる‘体制変革’だけでは、イラクにおける、この深く根付いた、高度な世俗的共和主義文化は根絶できない』ことから『アメリカの戦争計画者達や、イスラエル人顧問達は』知識人や科学者という高度な知的訓練を受けている『イラク人社会で最も非宗教的な部分の人々を、物理的に抹殺することで、民族主義的自覚を持った人々を、根絶し、破壊した』のです。なぜならば『文化的に粛清されたバグダッドに、原始的で、‘国家以前の’忠誠心を持った植民地傀儡を権力の座に、無理やり据えるための、主な手段』として。その結果、『カイロのアル-アハラム研究センターによると、アメリカ占領後、最初の18ヶ月間に、310人以上のイラク人科学者が抹殺』され、『この数値は、イラク文部省も否定していない』のです。まさに文明破壊としか言いようがない。人類の存在意義そのものに対する挑戦です。

アフリカ諸国のなかで最も農・工業が発展していたケニアを大混乱に陥れるという非道な分断工作演習を実施した疑いさえ濃厚であるこのならず者たちにとって、イラクの次にくる標的はどこでしょう。そう、現在中東で最も先進的な工業力を持ち、選挙の状況が海外で報道され、野党の活動さえ取材可能なほどオープンで「世俗的」になりつつあるイランが標的であることは明白です。この先さらに教育環境が整い、工業力をつけ、女性の地位向上や益々の社会進出が実現し、より世俗的になって発展の軌道に乗ろうとすればするほど、所謂「先進国」による攻撃・破壊欲求を掻き立てることになりそうです。加えて、スマイリング・インペリアリズム・クラブ、別名G8という紳士面した卑劣かつ強欲極まりない植民地主義者たちの談合組合にとっては、先進国経済が恐慌寸前の綱渡り的財政・金融政策を尽くしたにも拘らず破綻を来してきたので、原油などの資源相場を一時凌ぎで高値誘導したり、苦し紛れに発行した膨大な通貨を需要があるかの如く粉飾して、国際金融資本の醜い欲望が招致した経済運営の大失敗をなんとか隠蔽するためにも、大きな地域紛争もしくは戦争が必要なのでしょう。これを書いている時点では不明ですが、米国政府が為替操作国指定をしないという約束で今回は中国が談合の仲間入りするかもしれません。ヒラリー・クリントン米国務長官は、イランに対する制裁強化をブラジル政府が支持するならば拡大G8メンバーへの正式参加や国連安保理常任理事国への推薦を確約すると言ったそうですが、ルーラ大統領は再び「G8だかG10には興味ない。寄って集って国力の差が歴然としている小国の胸ぐらを掴んで壁に押し付けるような真似をする連中の仲間(国連安保理常任理事国の意か)にはなりたくない。(米軍が侵攻したイラクには)大量破壊兵器なんて影も形もなかったではないか。我々は同じ間違いを犯すべきではない」と言っていました。全く以て常識的な対応です。ところがこの世界では常識が通用しないのか、国連安保理の常任及び非常任理事国でイランに対する制裁強化反対にまわりそうな国はブラジルとトルコだけの模様です(筆者による三月末日現在の観測)。

核兵器によって唯一甚大な被害を蒙った日本は一体何をしているのでしょうか。国連が利権屋どもの談合の場という本来の姿を顕わして牙を剥き始める前に、日本の首相や外相はIAEAに出向している天野之弥氏と大掛かりな査察チームを伴ってイランを電撃訪問し、詳細かつ慎重な査察の機会を提供することだって可能なのです。もし、イラン政府が主張するように濡れ衣ならばそれを晴らすのを手伝うと共に、核物質の移動に関しては他国よりも厳しい報告義務を負う日本の特殊な立場を最大限に利用して、イランとの核エネルギーに関する平和利用協定を結んでもなんら不自然ではありませんし、戦争を回避することだって出来るのです。

私たちはここで、米国や英国による帝国主義的属国経営が、かつて資本の論理に取り憑かれた領土獲得の熱狂と共にアジア全域を侵略していった日本の帝国主義とはある一点でまったく異なっていることを念頭におかねばならないのかもしれません。当時の新興国家であった日本がアジア地域における「先進国」としての立場を笠に着た独善的かつあからさまな選民意識でもって様々な政策を他国へ押し付けたことは否めませんし、ある意味で入植地における日本人コロニスト子弟の進学先という要請があったにせよ、外地の朝鮮半島や台湾の教育制度を整備し、内地の大阪や名古屋という大都市に先んじて名目上自律的に現地総督府の管轄下で「帝國大学」を設置し、知的従属状態から脱却するための礎ともなる理工学や医学という重要分野を真っ先に開講したことは歴史的事実です。日本によるこのような植民地経営法が欧米諸国の目にいったいどのように映ったのかは興味あるテーマです。推測にしか過ぎませ
わあしまった、コメント欄がHTML有効なんです... (sirokanippe)
2010-04-08 00:12:13
わあしまった、コメント欄がHTML有効なんですねここ!あああこれでは何のお役にも立ててない…!

しかもターゲット指定が表に出てる…?すみません、手元のブラウザで試したときは問題なかったのですが!!あと「アメリカの対イラク戦争-文明の破壊」のリンク切れは
いろいろなHPの紹介をありがとうございました。9.1... (池辺幸惠)
2010-04-08 14:35:59
いろいろなHPの紹介をありがとうございました。9.11があやしいと思った時「権力は腐敗する・・・」というHPに出会いネオコンアメリカンたちの自作自演の陰謀に確信をえました、でもそのHPもいまはありません。サイバー規制も徐々にされているかも。
 しかし理数系であろうと、文系であろうと、わたしたちは、真実を見る目を曇らされてはいないだろうか。と、このような幅広い知的財産と人間としてのまっとうなセンスをお持ちのみなさま方々が、わたしたち庶民の知識と思考の手助けとなってくださることは、まことに感謝にたえません。
 かつて中東で一番ともいえる文明国だったイラクが、アメリカのウソ八百に陥れられ、科学者や知識人たちの虐殺が企てられ戦争による国土破壊と劣化ウランによる子孫に及ぶ殺戮などで人々の戦意喪失なったでしょうか、いえいえ、不当に殺されたものたちの憎しみは増すばかりです・・・まさに、<アメリカ国際強盗団>です。
 日本は戦争と空襲と原爆とでみごと戦意喪失させられ、戦後も傀儡政権の自民党ゆえにすべてにおいて属国になり下がってしまいました。それにまんまとのせられて戦後、戦争はなかったなどと「たわごと」を言うたわたしたちもふがいありません。強盗の一味でその上搾取されつづけているのに、一時前には東大のトップレベルの頭脳がリーマンなど外資系の就職をめざしたように・・・、文系は社会に体制にくみしやすいけれど?科学は真理の追究だからだまされない・・・というのも偏見ですね。ようはみえない心、思想のあり方です。でも、理数系はあやしくてもデータを持ち出すから説得力あるようで。^^ それに、支配者の怖がる核兵器をつくれるのも理数系だから、テロリストアメリカは理数系にピリピリするのね。でも、日本の朝鮮への植民地化については、いずれにしろ、植民した日本人のための大学であったわけですから強制と搾取の事実はとてもぬぐえません。わたしたちは自分にはつごうよく考えようとします。
 わたしは、今の世の中、ようやく白黒半々の1割ずつにせまってきていると思っています、そこにはさまざまなグレーが大半の8割・・・!しかし、悪魔の役割の黒は重いし強いし金持ちでなかなか動かせません。
 だからこそ今、グレーな人たちに光をあてた真実を、少しでも闇をあばける者たちは、できうるかぎりの手練手管をして闇を晴らすべく努力をする時だと思っています。
 そしてテロリストアメリカ・イギリスらの闇にしっかりと光をあてて、かれら国際的強盗団たちのこれまでとこれからを分かりやすくあばいて、これ以上わたしたちが彼らの妄想のつくりだす世界支配構造の犠牲の子羊にならないように、世界をかれらの思い通りにさせないように、世界中の明るい未来のために、今こそ、わたしたちごまめも真実を知り、声をだしてともに生きるもの同士が行動してゆく時だと思います。

 一昨日、誤解されるような口はばったいことをもうしあげましたが、藤永さまは、このままで十二分です。このようなブログ、ご本・・・他にも勇気づけられるものがたくさん出てきています。いろいろ教えてください。
 わたしの言いたかったのは、ここを読んで気づかされたわたしたちが、どのように行動をおこしてゆけるか、藤永さまたちの思いをいかに生かせるか、それがわたしたち自身に問われているのだということです。

 HPの件、決してご病床の藤永さまにどうこうしてほしいというものではないです。藤永先生には、どうぞ回復に専念くださり、又お体にさわらない程度にお話していただけたるだけでも大変にありがたいことです。これからもわたしたちの思考を真実へと向け開いてくださいますようよろしくお願い申し上げます。
 あと、多くの人々にこの闇の中の真実をいかに知らせてゆくかは、ここを読んだわたしたち一人一人の課題だと思います。わたしにHPがつくれるものなら・・・。
 以前からイランもねらわれています。でも、去年もハラハラさせられたけど、わたしは、イスラムの人たちの冷静さと賢明さを信じています。彼らこそ、一番、テロリストアメリカの挑発にはのらない人たち! だと思います。ですが、いらついたアメリカによる自作自演の挑発や虐殺やプロバガンダがますますふえてくるでしょう。

それにこちら側のわたしたちがやすやすとだまされていては、ほんとうになさけないです。わたし自身は昔からイスラム応援、アフガンでもタリバーン政権を応援していました。真面目なのはいいことだと思います。背景が宇宙であり自然であり愛と平和であれば、さらにすてきです。
 テロリストアメリカ・イギリスは哀れです。かれら死の商人たちに心やすらかに、良心に気づいてもらい、かれらの魂を救うにわたしたちはどうすればいいのでしょう・・。しかし、まずは自ら救えるように、わたしたち自身が闇にからめとられることなく、たしかな情報を得てゆことで論理的にも心強くし、平和を願う市民の連帯をしてゆく土台をつくってゆかねばと思っています。
以前に藤永先生もこちらで紹介されていたジャーナ... (nazuna)
2010-04-08 20:39:46
以前に藤永先生もこちらで紹介されていたジャーナリスト、John Pilger さんの『世界の新しい支配者たち』(岩波書店 原題 The New Rulers of the World) によると、アフガニスタンでもかつて、(タリバン政権よりも、ソ連の侵攻よりも前の1978年に)独裁的な王制を倒して、世俗的で民主的な政権が樹立され、男女平等の政策のもと、女性たちが解放されて大いに社会進出を果たした時代があったそうです。その後の状況と引き比べ、これが同じ国の過去に現実に有ったことなのかと、まるで時間が逆転してしまったような話に、すぐには信じられなかったほどでした。しかし、今回、須衛野さんが書かれた内容と併せて読み直してみて、ようやく合点が行くような気がしました。(現在、この岩波書店の邦訳は重版未定となっていて、古書でしか手に入らないようなので、以下、少々長くなりますが、敢えて引用させていただきます。)

>新政権は農村における封建制の廃止、宗教の自由、男女平等など、これまでは認められていなかった少数民族への権利の承認などを含む改革計画を発表した。…(中略)…新政権は貧困地域には無料医療を導入した。強制労働は廃止され、大規模な識字運動が開始された。女性たちにとっては、これまで聞いたことがないような前進だった。一九八〇年代後半には、大学生の半数が女性となった。アフガニスタンの医師の四十パーセント、教員の七十パーセント、公務員の三十パーセントは女性になった。

>「女子でも皆、高校にも大学にも行けた。どこでも行きたいところに行き、着たいものを着ることが出来た・・・・。…(中略)…ムジャヒディーンが勝利し始めると、こうしたことすべてが悪いことになった・・・・。教師を殺し、学校を燃やした・・・・。私たちは怯えた。こうした人たちのことを西欧が支援していたのは滑稽だし、悲しいことだった。」

>人民民主党政権の問題は、ソ連の支援を受けていた、ということだった。その中央委員会はスターリニスト的ではあったが、西欧で言われていたような「傀儡政権」ではなかったし、当時の西側プロがパンダが主張したようにソ連に支援されたクーデターでもなかった。カーター大統領時代のサイラス・バンズ国務長官は回想録の中で、「クーデターにソ連が関与したという証拠は何もなかった」と認めている。カーター政権のもう一人の実力者だったズビグニエフ・ブレジンスキー国家安全保障問題担当補佐官は、アメリカのベトナムにおける屈辱を挽回する必要があったと考えており、ポスト・コロニアルの解放運動の前進は、世界中のどこでもアメリカに対する挑戦となったと考えた。そのうえ、中東と湾岸でアングロ・アメリカにとっての良い顧客だったシャー体制のイランを、「防衛」する必要があった。アフガニスタンが人民民主党のもとで成功したならば、「可能性のある前例として脅威」になるだろう、と考えられた。

>一九七九年七月三日、アメリカの世論にも議会にも知られないまま、カーター大統領はムジャヒディーンとして知られる部族グループを支援するための五億ドルの秘密工作計画を許可した。その目的はアフガニスタンでの最初の非宗教的な進歩政権を打倒することだった。冷戦時代の神話とは逆に、ソ連のアフガニスタン侵攻とは何の関係もなかった。ソ連がアフガニスタンに侵攻したのは、それから六ヵ月後のことだった。実際、ソ連がアフガニスタンに対して決定的な行動に出るのは、部族主義的、宗教主義的な「テロリズム」に対応するためだったということをすべての証拠が示している。

(ジョン・ピルジャー『世界の新しい支配者たち』岩波書店 井上礼子 訳 Ⅲ グレートゲーム p.195~p.199より)

八年半前、アメリカがアフガニスタンに侵攻した時には、タリバンの教条主義と後進性が盛んに語られ、「アフガニスタン女性の解放」ということも口実の一つになっていたようですが、滑稽と言うにはあまりに悲し過ぎて言葉もありません。
ナズナさん、みなさま、 池辺です、教えてくださ... (池辺幸惠)
2010-04-09 02:12:07
ナズナさん、みなさま、 池辺です、教えてください。(本読む暇がないので)
 アフガニスタンが王制を廃し、民主的な国づくりをしていたそうですね。 それは、すばらしい!でもソビエト軍が侵攻してからもはたしてそうだったのでしょうか??ほんとうにソビエトの傀儡ではなかったのでしょうか?
    
  でも、ソビエトが侵攻してきたら、それに対抗して、ムジャヒディン(聖戦士)たちが外国からもやってきて(オサマビンラディンも)戦闘になったとききました。かれらはアメリカやサウジによって育てられたそうですね。

  でも、ムジャヒディンとは、部族の名前だったのですか? 
  そして、ソビエトが帰ってもそのムジャヒディンたちとの抗争で農地は荒廃疲弊してしまったと・・・?
  そのムジャヒディンたちは、いえばソビエトと闘う軍閥でだった。そして混乱の中タリバン政権がイスラムの教義にもとづいて軍閥部族抗争をおわらせようとした・・・。

 でも、なんだったのでしょうね。せっかくすばらしい民主的な国ができつつあったのに・・・、これはやはりアフガンの土地の上での代理戦争、死の商人たちが戦争して儲けんがための国家間どうしの壮大な?ヤラセではなかったでしょうか。

  しかしアフガニスタンは、かつてフンザ王国などと同様に、緑の大地でくだものもたわわに、地下に水のトンネルも豊かなシャングリラのごとくの大地だとわたしはきいていました。
  http://yukichan.cc/poem/404.html

  かつては長寿の国でもあったのじゃないでしょうか? そんな豊かで平和な市民の生活を大地を平気で壊しにきたのは、一体だれなんでしょうか?

  軍閥が跋扈していた混乱の中、マスードでしたか、北部になかなかの人物がいたようです。かれを殺したのはタリバンだといわれていますが、わたしはあれは、アメリカの手先になった彼の弟だと思います。愛国心あるマスードはアメリカの言うなりにならないからと消されたと・・・。

  ずはらしい民主的な国ができると、潰しにかかる・・・、そしてガタガタにさせる、それがアメリカをはじめ、互いに実は根っこでつるんでいる支配者たちのやり口ですね。

  そんな中イスラムの教条主義ながらタリバン政権が秩序をつくろうとした。しかし、タリバンもアメリカの言うことをきかない政権だったから、あの手この手で潰された、とわたしは思っています。    
  思いつくままに書きましたが、よろしければお答えくださいませ。
幸せに生きていこうとする民族や国家を、滅ぼそう... (kenshin)
2010-04-09 11:00:32
幸せに生きていこうとする民族や国家を、滅ぼそうとする世界金融支配者。
アメリカという国を道具にして世界を嘆きの渦に巻き込む彼らを許せません。
池辺様 (nazuna)
2010-04-10 14:45:12
池辺様

>でも、ムジャヒディンとは、部族の名前だったのですか? 

「カーター大統領はムジャヒディーンとして知られる部族グループを支援するための五億ドルの秘密工作計画を許可した。」とある部分についてのお尋ねでしょうか?他のお問いかけにお答えするのは、生噛りの知識しかない私の手に…じゃなくて頭に、とうてい余ることなので (^_^;) 、これのみ、お答えいたします。

『世界の新しい支配者たち』の序文の訳注では以下のようにあります。

>ムジャヒディーン イスラム聖戦士の意味で、米国などの援助を得てソ連侵攻・駐留時代に反ソ・ゲリラ戦を展開したイスラム教徒民兵組織を指し、二〇〇一年に米国がアフガニスタン空爆によって標的としたタリバーンもかつてはこのムジャヒディーンの一員であった。

それから、以下はたいへんお手軽で申し訳ないのですが、Wikipediaからの引用で、代表的な軍閥集団である「北部同盟」についての説明です。

>北部同盟に加わった主要な組織は、ラッバーニーを首班としアフマド・シャー・マスードらタジク人を中心とするイスラム協会、ウズベク人軍閥アブドゥッラシード・ドスタムのイスラム民族運動、ハザラ人を中心とするアフガニスタン・イスラム統一党などがある。アフガニスタンの45%を占める民族であるパシュトゥーン人主体のターリバーンに対して、タジク人・ハザラ人・ウズベク人などの諸民族の連合という側面もあった。

「タリバン」、「軍閥」と言っても、実際には部族ごとに纏まった集団という面が強いようです。それとソ連侵攻以前の時点では、各々がまだ、その後のようには強固に組織化されてはいなかったのかもしれませんから、ピルジャーさんは、「ムジャヒディーンとして知られる部族グループ」と書かれたのではないでしょうか?いずれにしろ、後に続く部分から推して、「複数の部族的な集団に対しての支援を許可した」という意味であろうかと私は受け取っています。

>一九九八年のインタビューのなかで、ブレジンスキーはアメリカの役割についてワシントンが嘘をついていたことを認めている。「歴史の公式解釈では、ソ連軍がアフガニスタンに侵攻した後の一九八〇年にCIAがムジャヒディーンを支援したことになっている…。実際には、今日まで秘密にされてきたが、まったく逆だった。」一九七九年八月に、カブールの米大使館は、「アフガニスタンの将来の経済的、社会的な改革がどのように遅れようとも、アメリカの大きな利益は(人民民主党の)消滅によってもたらされるだろう」と報告している。

>人民民主党政権が続いた一九七八年から一九九二年の間に、ワシントンは四十億ドルをムジャヒーディンの各派に注ぎ込んだ。ブレジンスキーの計画は、中央アジア全体にイスラム原理主義を広げることで、ソ連を「不安定化させ」、彼が回想録に書いている言葉で言えば、「ムスリムの反乱」を創りだすことだった。

>パキスタンではムジャヒ―ディーンの訓練キャンプが、CIAと英国のMI6によって運営され、英国のSAS(陸軍特殊空挺部隊)が未来のアルカイーダやタリバーンの戦士たちに爆弾製造技術を初めとして、さまざまなテロ技術を訓練していた。これは一九八九年にソ連がアフガニスタンを撤退した後になってもずっと続いていた。

(ジョン・ピルジャー『世界の新しい支配者たち』岩波書店 井上礼子 訳 村井吉敬 解説 Ⅲ グレートゲーム より)

John Pilgerさんについては、藤永先生も、こちらのエントリーのオバマ氏の正体見たり(1)の最後の部分でご紹介されています。
Unknown (一愛読者です)
2010-04-10 23:43:27
藤永先生、ご出版おめでとうございま。これからゆっくり拝見させていただきます。

須衛野さま

>当時の新興国家であった日本がアジア地域における「先進国」としての立場を笠に着た独善的かつあからさまな選民意識でもって様々な政策を他国へ押し付けたことは否めませんし、ある意味で入植地における日本人コロニスト子弟の進学先という要請があったにせよ、外地の朝鮮半島や台湾の教育制度を整備し、内地の大阪や名古屋という大都市に先んじて名目上自律的に現地総督府の管轄下で「帝國大学」を設置し、知的従属状態から脱却するための礎ともなる理工学や医学という重要分野を真っ先に開講したことは歴史的事実です。日本によるこのような植民地経営法が欧米諸国の目にいったいどのように映ったのかは興味あるテーマです。

植民地先で、「帝國大学」を設置したのは、おっしゃるとおり、「日本人コロニスト子弟の進学先という」理由と、植民地住民の懐柔のためだと理解できます。従って、このような政策が欧米諸国の目に脅威に映るというようなことはなかったのではないでしょうか。
藤永先生、拙文の掲載、ありがとうございます。色... (須衛野 凉一)
2010-04-12 05:39:35
藤永先生、拙文の掲載、ありがとうございます。色々お手数かけてしまい、申し訳ありません。次回はwordのフォーマットに挑戦してみます。sirokanippeさま、成型してくださり、targetが効かないことが判明しました。ありがとうございます。マスコミに載らない海外記事サイトは、真に重要な情報へのアクセシビリティを確保してくれるのでいつも助かっています。藤永ゼミの大先輩、池辺幸恵さん、nazunaさま、kenshinさま、一愛読者さま、貴重なコメント、ありがとうございます。

一愛読者さま、コメント、ありがとうございます。しかし、ご指摘どおり、欧米諸国の目にはある意味で植民地経営のアマチュアであった日本による牧歌的な懐柔策であると映ったのか、それとも『帝国大学』は革命活動家や解放者(という名目の現地採用植民地テクノクラート)を短期に養成し、侵略したアジア全域に派遣・配置するという流れに沿った高等教育機関であると映ったのかと言えば、やはり後者ではないかと思います。高等教育の規格が日本主導で統一されれば、政策も親和性のあるものになり、後々アジア諸国が束になって欧米諸国に対抗する構図さえ生まれかねないと危険視したのではないでしょうか。戦後、公職追放で教職員のうちの戦争協力者が追放され、日本や韓国や台湾でも学校制度や高等教育は米国の規格を受け入れています。この件についてはもう少し調べてみます。

nazunaさまにJohn Pilger氏のThe New Rulers of the Worldについて解説いただいたので調べたましたところ、同氏のドキュメンタリー"Breaking the Silence"をみつけました(DVDはPilger氏のサイトで購入可)。6、7年前、デモクラシーナウで紹介されたときに見逃してたことを思い出しました。アフガニスタンという主権国家を破壊するために合州国政府が行った数々の工作活動やその背景を生々しい証言と共に知り、再び考える機会を得ることが出来ました。ありがとうございます。番組中にアメリカ合州国政府による干渉・介入でクーデターや政府転覆、内戦が発生した国々が列挙されています。しかし、政権交代なっても属国を続けざるを得ないほど骨抜きにされた日本はなぜか抜けています。不思議ですね。我々は被害者なのに。でも、本当に被害者でしょうか。もしかして逆なのでは。隣国の韓国や台湾、フィリピン、インドネシア、カンボジア、ビルマ、パキスタン、そしてアフガニスタンやイラクで合州国が擁立した軍事政権や独裁者をサポートしてきた積極的加害者としての日本の役割をすっかり忘れてしまうところでした。きっと協力国リストには連合王国やフランスなどを押しのけて真っ先に日本という国名が出てくるのでしょう。

池辺さまの、アフガニスタンはソ連の傀儡国家ではなかったのか、というご質問について、当時、私も「ソ連軍による侵攻と傀儡政権樹立」が内戦のきっかけになったという報道を鵜呑みにしていたので同様の疑問を抱いていましたが、事実は異なっていたようです。ソ連は友好国を極端に保護していましたが、米国は徹底的に搾取している。途上国側の視点で米ソを比較すれば、この差は歴然としてきます。資源や農産物などの一次産品を高値で買い取り、精製油や工業製品などの生活必需品を安値で売ってくれるソ連と、市場を操作してでも一次産品を買い叩き、モノカルチャー化して資本に隷属させ、工業製品を高く売りつける米国とではどちらが得かということで、73年の無血革命や78年のクーデター以降のアフガニスタンではソ連型の政治体制を採用したようです。イラクも同様に社会主義でした。まだ仮説にもならぬ推測で裏付けとなる十分な証拠を捜している段階ですが、当時のイランもホメイニ師が帰国しなければ社会主義革命が発生していたかもしれません。しかし、途上国に対する気前の良さに起因する連邦内福祉の後退により、ソ連邦の本体が崩壊することは、エマニュエル・トッドの統計手法を用いた解析結果からも予測されていたので、アフガニスタン侵攻に伴って発生したソ連邦内の経済的・社会的疲弊はそれを少々早めただけに過ぎない、という見かたも可能です。

合州国政府はソ連軍による侵攻開始の半年前から工作を始めています。

nazunaさまが解説くださっているので蛇足になろうかと思いますが、付け加えさせていただきます。1998年のブレジンスキー・インタビューですが、所謂アフガン・ゲリラへの梃入れ工作はソ連軍を侵攻させて泥沼戦に巻き込み、国力を削ぐためだったと質問者を誘導しているようです。"Breaking the Silence"の番組ガイドから問題の箇所を抜粋してみましょう。

Q: The former director of the CIA, Robert Gates, states in his memoirs that American intelligence services began to aid the Mujaheddin in Afghanistan six months before the Soviet intervention . . . Is that correct?

Brzezinski: Yes. According to the official version of history, CIA aid to the Mujaheddin began during 1980, that is to say, after the Soviet army invaded Afghanistan, 24 December 1979. But the reality, secretly guarded until now, is completely otherwise: Indeed, it was 3 July 1979 that President Carter signed the first directive for secret aid to the opponents of the pro-Soviet regime in Kabul. And that very day, I wrote a note to the president in which I explained to him that in my opinion this aid was going to provoke a Soviet military intervention . . . We didn’t push the Russians to intervene, but we knowingly increased the probability that they would.

Q: When the Soviets justified their intervention by saying that they intended to fight against a secret involvement of the United States in Afghanistan, people didn’t believe them. However, there was a basis of truth. You don’t regret anything today?

Brzezinski: Regret what? The secret operation was an excellent idea. It had the effect of drawing the Russians into the Afghan trap and you want me to regret it? The day that the Soviets officially crossed the border, I wrote to President Carter: We now have the opportunity of giving to the USSR its Vietnam War. Indeed, for almost ten years, Moscow had to carry on a war unsupportable by the government, a conflict that brought about the demoralization and finally the break-up of the Soviet empire.

Q: And neither do you regret having supported Islamic fundamentalism, having given arms and advice to future terrorists?

Brzezinski: What is more important in the history of the world? The Taliban or the collapse of the Soviet empire? A few crazed Muslims or the liberation of Central Europe and the end of the Cold War?

"Regret what?" "Regret what?" "Regret what?" ・・・。アフガニスタンにおける無辜の人々の犠牲は目を覆い、耳を塞ぎたくなるほどにまで増え続けています。本当に必要だったのでしょうか。我々は「後知恵」で既に起こってしまったことを評価しがちですが、ソ連邦の崩壊は当時の知見に基づいても予測可能だったのだから、ブレジンスキーの証言も真実なのかそれとも他に意図があったのか、判断に苦しむところです。

"Regret what?" いずれにしても合州国市民の殆どが、Pilger氏のドキュメンタリーを進んで観ることもなく、自らが払った税金が人殺しや文明破壊に投入されている現実から目を背け、トム・ハンクスやジュリア・ロバーツといったゴージャスなハリウッド俳優の演技によって脚色された『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』を観せられ、我々が支払った税金は正義の為に遣われたのだ、と、納得しているのが現実なのです。

"Regret what?" 1970年代のイランでは女性が普通にミニスカート姿でいられるほど安全そうだし、男性たちに至っては、現在の姿から想像できないほどいちご白書っぽくて爽やかです(イランの男性諸氏、申し訳ない。大いに偏見ありでした)。かつての東欧やソ連、現在のキューバなどを見ても判るように、ファッションや若者の風俗は政治体制とは別に同時平行で競うように進化しますから、当時のアフガニスタンやイラクも同様に世俗化していて、女性の地位向上や社会進出の拡大も実現していたのです。

"Regret what?" 4月5日付のwikileaks掲載の映像が目前で繰り広げられる日常的光景となってしまった国々が21世紀の地球上に存在しているのです。
ナズナさま、タリバーンもムジャヒディンでもあっ... (池辺幸惠)
2010-04-12 22:16:24
ナズナさま、タリバーンもムジャヒディンでもあったとのことですね。わたしはタリバーンはイスラム原理主義の若者たちが中心になって、パキスタンの支援もあり武器をとって制覇していった・・・ようにきいていましたが、タリバーンもひょっとして、アメリカの差し金CIAなどに北部同盟と対立して戦闘すべく育てられたのかもしれませんね?

 しかしソ連侵攻の前に、ムジャヒディンたちが用意されていたとは・・・、やはり死の商人たちが、桃源郷のアフガニスタンをつぶして部族闘争にむかわそうという悪意がひしひしとかんじられます。しかしソ連もプラハの件もありますから、けっして侵攻してよかったとは思えません。
 しかし、・・そんな謀略と破壊屋強盗団のアメリカに加担している日本であることは、ほんとうに悲しいことです。
 昨晩テレビで、アメリカの軍事戦略で沖縄を手ばなす気はさらさらないという戦意高揚みたいな、日高義樹さんのワシントンレポートを見ました。今の時機、このようにひらきなおって沖縄の各基地の軍的な重要度を見せつけて、そのようなアメリカの戦時体勢が日本が守ってもらうのに必要だと、まさに前時代的発想のままであたりまえという姿勢に小泉・安倍時代と同様のキナ臭い危機感を覚えました。

 一体日本にどこが攻めてくるというのでしょうか。
 わたしたちは、アメリカ軍のプロバガンだにだまされてはならなと思います。
 沖縄も今こそ覚悟を決めて、法的に認められ、世界にアピールできる、確かな「住民(県民)投票」を実施する時だと思います。
 1)新基地建設を認めない、普天間・海兵隊はグアムに移転か基地撤廃へ。
 2)さもなくば、4/25の県民大会で、今こそ琉球の独立宣言をして、日本への損害賠償、アメリカへの撤退を言うべき時です。

 憲法95条にのっとるなら、住民投票の方が国会より優先されるのです。県民の総意を本的にたしかなものにして、日本に世界にしめすべきでしょう。
 すばらしいお話ですね。ハイゼンベルグの不確定... (物理学者の卵)
2014-07-13 21:23:53
 すばらしいお話ですね。ハイゼンベルグの不確定性原理を有する、一種の振動した粒子同士の衝突を考えると、数回衝突すると等確率性が出てくると思われるが、そういった発表をする物理学者がいない。等確率の原理の確定こそが、人類普遍の財産になるのに。量子力学と熱力学を分断させようと楔を打つ発言がネット上でも散見されている。だれかこのへんを研究してくれませんか~。あと、熱力学と量子力学を分断する意図をもった圧力団体の正体をしっていれば教えてほしい。

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

2 トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。
アメリカの対イラク戦争-文明の破壊 (マスコミに載らない海外記事)
James Petras 2009年8月21日 Information Clearing House アメリカの7年間にわたるイラク戦争と占領は、幾つかの主要な政治勢力によって、動かされており、様々な帝国主義的権益に基づいている。とはいえ、こうした権益
マララさんの平和賞受賞、イスラム国のことなど ブログ「私の闇の奥」のコメントから (追記あり) (ブログバー・黒曜石)
  (本当に久々の更新になってしまい、もはや読んでくださる方がいるのかどうかもわかりませんが(笑)、自分自身のメモのつもりもあって、書き留めておきます)  日本国憲法第9条もノミネートされていたという今年のノーベル平和賞ですが、結局、受賞されたのはパキ...