私の闇の奥

藤永茂訳コンラッド著『闇の奥』の解説から始まりました

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を静かにさせるには

2017-03-09 18:30:05 | 日記
 暗殺事件についての騒ぎ方、ミサイル発射についての騒ぎ方を見ていると、つくづく今の世はとことん消費文化の世界だなと痛感します。我々愚鈍な大衆のために消費文化財としてのニュースが山のように供給され、我々は飽きることなく喜んで消費を楽しんでいます。どこまでが本当の話か、一人の男が殺されたということ、北朝鮮が日本国内の米軍基地攻撃を目指すミサイルの発射テストを行ったこと、米軍が北朝鮮への上陸侵攻作戦の演習を大々的にやっていること、こうした幾つかの物理的事実の他には、疑うことの出来ない事柄はありません。
 マレーシアでの事件について、あれこれの疑問を呈することは容易なようです。例えば、次のスタンフィールド・スミスという人の論考を一瞥するのも精神の健康に良いかもしれません。

http://dissidentvoice.org/2017/03/the-dubious-story-of-the-murder-of-kim-jong-nam/

 北朝鮮については、2013年2月から4月にかけて、このブログで書いたことがあります:
『寄ってたかって北朝鮮をいじめるな』(2013-02-27)
『再び北朝鮮のこと』(2013-04-12)
『年中行事「米韓合同軍事演習」』(2013-04-17)
この問題についての私の考えは、4年前から殆んど何も変わっていません。『再び北朝鮮のこと』の一部を以下に転載します:
**********
 挑発し威嚇しているのは北朝鮮ではなく、米国です。米国は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)という国を滅ぼすことを目標にして、あらゆる圧力を北朝鮮に加え、ありとあらゆると術策を弄して北朝鮮に迫っています。北朝鮮は、核兵器による戦闘攻撃の能力を備えることが出来たと内外に声明し、その事を唯一の拠り所にして、米国の意図に抵抗し、生き延びようと必死の努力を続け、パニック状態寸前の気配すら感じられる所まで来てしまいました。
 以上の私の状況判断は米国とそれに追随する諸外国の政府見解やマスコミ報道と180度違いますが、私の見解の方が正しいと思います。私の米国批判(非難)の姿勢は進んで公言してはばかりませんが、私はイデオロギー的な北朝鮮支持者ではありません。私の見解が正しいと主張する理由は他にあります。その第一の理由はアフリカ大陸諸国、特にアフリカの北朝鮮としばしば呼ばれるエリトリアと米国大統領オバマを、この数年、十分の注意を払ってウォッチし続けて来たことです。殆どの日本人は認識していませんが、オバマが大統領に就任した2008年以降、米国のアフリカ大陸再植民地化政策は、恐るべき人命損失を伴いながら、実に目覚ましい成功を収め、実際上、米国の支配下に入っていないのは、エリトリアとジンバブエのただ二国を残すのみとなりました。米国はイサイアス・アフェウェルキ大統領の独裁的政権下にあるエリトリアの政権変化(レジーム・チェンジ)を目指して、北朝鮮に対すると同じく、可能なかぎりのあらゆる圧力と制裁を加えています。しかし、このアフェウェルキという独裁者は、言ってみれば、我が偉大なる独裁政治家、徳川家康に匹敵する苛酷さと賢明さを備えた名政治家であると私は見ています。不幸にも現在の北朝鮮はこうした人材に恵まれていないのではありますまいか。
・・・・・・・・・・
 北朝鮮について考えようとする場合に、エリトリアに対する米国の振る舞いを参考にするといろいろな事がよく見えて来ます。エリトリアは、以前にも申しましたが、核兵器を持っていませんし、持とうともしていません。それでも、米国は国連をも操作して厳しい経済制裁を加え、いわゆる人権擁護NGOsを動員して、あらゆる嫌がらせをしています。これがオバマのやり方なのです。もし米国が使嗾する国境紛争などの軍事的内政干渉がなければ、農業や鉱業(大して資源が豊かではありませんが)や観光業を盛んにして国を守り立てて行くにちがいありませんが、米国がそうさせないのです。北朝鮮の場合も、もし、外からの異常に執拗な挑発と威嚇がなければ、同じように農業や鉱業、それに軽工業などを振興して国力を充実増大しようとするに違いありません。勿論、朝鮮半島は歴史的な外力によって二分された状態にあり、南北は依然として戦争状態が終結していません。北の人々も南の人々も、一つの国への統一が夢であるのは当然です。現在の緊張した南北朝鮮の状況について、われわれ日本人が持つべき態度の第一は、言葉の最も正しい意味での礼儀に叶った同情でなければなりますまい。
 そしてまた、北朝鮮の核軍備について、また核兵器の使用について真剣に考えようとするならば、何よりも先ず、朝鮮戦争という歴史的事件についての我々の知識の貧しさを反省しなければなりません。次回に議論を試みます。

藤永 茂 (2013年4月12日)
**********

上に書いたことについて少し付け足しておきます。まず、「言葉の最も正しい意味での礼儀に叶った同情」とは、単に「まあお気の毒に」と思うのではなく、日本人として、過去の事実を踏まえ、また、日本の東北地方と北海道が他の部分から人為的に分離してしまった場合を想像して、朝鮮半島の人々とその痛みをする共有するように努力する、ということを意味します。
 マレーシア当局が証拠不十分のまま拘留期限が切れたとして釈放した北朝鮮国籍の人は、たしか、Choiという名前でした。私が在職したカナダのアルバータ大学でチョイさんという韓国人の夫妻とお知り合いになりました。人間的に実に気持ちの良い立派なご夫婦でした。化学教室内の地位では、チョイさんは万年ポストドックのような立場、私は教授でしたが、理論化学者としての力量は、その鋭さにおいて、むしろチョイさんの方が上だったかもしれません。チョイさんのお父さんは終戦前の朝鮮で反日的な思想の持ち主として当局から睨まれた経験を持った人物だったようです。一方、奥さんのお父さんは京都大学出身で戦後の韓国政界とも関連があったと聞きました。前にも書いたことがありますが、チョイさんは「中国語と違って、朝鮮語の語順は日本語に似ているから」と私を励まして、朝鮮語の個人レッスンを始めてくれたのですが、私がダメで続きませんでした。今でも私はそのことを後悔しています。
 終戦前、終戦後の朝鮮半島の歴史について我々はあまりにも無知です。
朝鮮戦争での北朝鮮の一般市民に対する米軍の暴虐については、上掲のブログ記事『年中行事「米韓合同軍事演習」』(2013-04-17)に少し書きましたので読んでいただければ幸いです。今日付け加えたい事項は米国海軍の戦艦ミズーリなどがその巨大口径の艦砲の一斉射撃による北朝鮮陸地攻撃です。これについてはネット上に多量の情報がありますので興味のある方は見てください。
実は英文学の傑作とされるコンラッドの小説『闇の奥』にも、本質的にこの艦砲射撃と同質の言語道断の蛮行が描かれています。


藤永茂 (2017年3月9日)
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3 コメント

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Unknown (山椒魚)
2017-03-10 00:24:37
トランプ大統領が,CNNのインタビューに.「あなたは私たちの国がとっても無実だと思っているんですか?」と答えたというのをネットで読んで,少しは世界は平和に向うかなと期待しましたが,結局誰が大統領になってもアメリカの振舞いは変らない様ですね.アーレントの「革命について」を読始めたところですが,序章にギリシアの政治について「強者は欲しいままに振るまい,弱者は困苦に甘んじた」と書いていますが,アメリカの民主主義もアメリカの外側では適用対象外で,弱小国家の国民は人とは見なしていないように思われます.朝鮮半島が平和であることを祈っています.
シェアさせてください。 (杉原健二)
2017-03-12 13:53:32
お友達に読んでもらいたく、シェアさせてください。よろしくお願いします。
9/11後、まもなく (千早)
2017-03-13 19:36:19
まだ9/11公式説の大嘘を知らない頃でしたが
高校同期会のMLで「大悪党アメリカ!?」というタイトルで投稿し、
多分 大多数から反感を買いましたが、その後をずっと見てきて
あれは間違いではなかったと思います。

「悪の枢軸」とかわめいている側こそが真のテロリストで
世間一般で言われ、多くに信じ込まれている'歴史'や
メディアの伝える事件等々には、無数の嘘がちりばめられている実態を
多くが思い知らねばならない時代です。
#放射能で、脳の機能をダメにされないうちに

北朝鮮と来れば、出る話題のひとつが拉致問題ですが
飯山一郎さんが書いていたことが真実かどうかは知らねど、
蓮池薫氏の兄透氏が東電勤務で、あの福島第一で勤務していたこともあり、MOX燃料というとんでもない危険なイカサマを推進する側の人間で、北朝鮮に対して日本が戦争を仕掛けても当然!と言いたげな発言もしていたことなど、もっと多くに知られるべき話と思います。
#プルサーマル=プルトニウム=核兵器という構図。

正確な表現を忘れましたが、プルサーマルとは
「石油ストーブにガソリンを入れて燃やすようなものだ」
みたいなことを小出さんも仰っていましたよね。
つまり、核兵器を作るためのプルトニウムがほしいけど
それを大っぴらに言えないから、例によって嘘の口実で事を進める。

朝鮮人の息子が首相やってる今の日本で、それ以前から長年にわたって
<邪悪な在日が日本破壊している!>と私はずっと訴えていますが
(日本政府を<民営化>して<会社>にした小泉も同様でしたね)
9/11でも「ユダヤ人」を悪者扱いしないのと同様で、朝鮮・韓国人全般を
悪者だなどとは申しません。

私もこちら豪州で知り合った韓国人は大半が普通の人々ですし。
しかし、韓国で相当な反日教育がされていることも事実と認識しています。
人々を分裂させるのが大得意のイルミナティが仕切っている世界ですから。

しかし、奴等の売国犯罪<政府は会社>詐欺を逆用して反撃しなければ!!
いくらチャイナ・シンドロームで、悲惨な事態が待ち受けていても
https://twitter.com/pecko178/status/579560031202349056
私たち一人一人が売国奴たちに我々の力をおとなしく渡していては
何も変えられないことを、多くに気づいてほしいものです。
#デモや署名、<会社>でしかない司法を通して裁判やったってダメってこと

それから山椒魚さん、トランプはジェジュィット(イエズス会)です。
すべて筋書き通りの芝居をやっているだけ。
それを超えないとね。
超インチキな<議会制民主主義>とか<政府>というシステムを潰して
やり直さなければいけないということです。

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