日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

2006年8月の東大阪歌会

2007年08月05日 | 五行歌な日々
8月の東大阪歌会。
増田さん、楽人さん、ほしかわさん、私の定番の4人で(笑)

いや~、なんだかなんだか……。

     ★

一斉に叫んで
通りすがりをからかう
夏の物詩なんて ←※「風物詩」なのに……。
言ってられない
蝉からのメッセージ      楽人

ガムランの音(ね)のなか
バリの物語に
祈りを込める
はだしの踊り子
指先 凛とさせ       ほしかわなお

持っていれば
降らないという
「お守り」
として
傘を持つ          稲田準子

の軍勢が   ←※「蟻」なのに……。
大みみずを
攻めたてる
バスストップの
ひとところ         増田幸三

     ★

楽人さんの歌のうちミスは、
一応、ま、楽人さんの打ちミスではあるのだが……。

彼女は、
ケータイから私のケータイへ、
歌を送ってくる。
私はそれを転送して、自分のPCへ。
そこから、コピペして、
歌会プリント、なのだが、
その関係もあって、あまりチェックしない。

楽人さんは「しまった!」と言っていたが、
私も同罪だよな。あぁ……。

最初に気がついたのは、増田さん。
実はその増田さんも……あぁ……という話は後ほど。

幸いにも、こちらは、
歌の解釈に大きな影響を及ぼすほどのミスにはならなかった(こっちはね……)。

さて、歌の内容へ。

大阪は……と、何故地域限定なのか知らないけれど、
今年は、四年に一度の、
クマゼミの大量発生の年で、
鳴き声が大音量なのだそうだ。
作者は、そのニュースをものすごく肌で実感しているのだそうで。

でも、実は私は、
去年やおとどしの方が凄かった、という
印象が強い。

多分、今年の夏は、
1Fに住んでいないということと、
自然に囲まれていないことが原因かな、と思う。

クマゼミの鳴き声は、
ちょっとけたたましくて、う~ん……とは思うけれど、
大音量では9Fには聞こえない。

ただ、ニュースの映像で、
ぞっとするほどの蝉が
一本の木にすがり鳴いているのを見ているので、
そういう間接的な感じで、実感はあるけれど。

だからかな。

ほしかわさんが、
「そういえば、そんなことに気がつかない生活をしていて、
季節のものに、もっと耳を傾けなければ、と、
この歌を見て思いました」ということを仰ったとき、
「そんなどころじゃないよ!」と、
力いっぱい否定する気にはならなくて、
なんだかのほほん♪とした気持ちになったりして(笑)

あと、
表記的なことを言えば、
五行目の「蝉からのメッセージ」というのが、
それまでの1~4行目までの、
うねった感じを殺すようなまとめ方になっているかな、
という意見がでたり、
私個人は、「からかう」という表現に、
少し違和感を持ったりしました。

「しっかりと、何かリアルに伝わってきたかというと、
違うけど、
蝉のことを通して、作者の内側にマグマがある感じは、
わかった」
と、いうと、
「とりあえず、それが伝わるなら、まだOK」と、
作者はいっていました。

ほしかわさんの歌は、
私は、どうも、
四行目までで、腑に落ちてしまって、
五行目が余韻にならないのが、気になりました。
それから、一読して、
説明的だな、と思うのに、
じゃ、何を説明されているのか、わからないなぁと、
考えたりして。

楽人さんは、「はだしの踊り子」が、
気になったと。
前3行目まで読んでいると、
「バリの神聖な奉納の舞踏」と感じ取れて、
好きだったけど、
「はだしの~」になると、
場末の酒場の片隅で踊る、
肉感のある、俗っぽい踊り手に感じられると。

いっそ、四行目は省いてもいいんじゃないかと。
(そうなると、私の説明っぽいという印象も幾分か解消される)

ただ、だけどね。

その言葉には、その作者の、
読み手には想像が及ばない動機というものがある訳で。

この踊りの担い手を、
果たして、作者は「神聖な奉納の舞踏」として、
読みたかったかどうかは、わからない。
もしかしたら、
作者は、観光のひとつのイベントで見ているのかもしれない。

もしも作者が、
実際に見たり聞いたりして、
かつ、バリに関するいろんな知識や感情を凝縮し、
神聖なものへの感動として抽出しているのだとしたら、
「はだしの踊り子」は
確かに俗っぽく、
その世界の雰囲気には似つかわしくない。

しかし、観光のイベントとか、
私なんかは「テレビで旅行番組を見ているのかな?」と思ったりしていたし、
その神聖さに吸い寄せられているわけではないのなら、
この作者にとって「はだしの踊り子」は、
見たまんまの素直な言い方のような気がする。
読み手がその歌から求めたくなった世界観とは別として。

さて、どっちなのか?というところで、作者談。

「みなさん鋭いですね」とほしかわさん。
お話によると、
この前、お初天神のところで、
夏祭りがあったそうで、
そのお祭りに、
バリの踊りを習っている友人が、
踊りをささげるということで、
見に行ったのだそうです(神さま間違ってない?・笑)。

そこから、この歌は想起されたようで。

友達としての、近しいまなざしと、
友達を介して、バリ舞踊の神聖さと、
歌は両方とも含んでしまったようです、と。

話をしているうちに、
「はだしの踊り子」は、なんて表現したらいいんだろうと、
それぞれに、考え合った。
近しい友達であるということも含める表現は?と。

「はだし」を「素足」にするだけでも、
印象は変わるだろうし、
バリのそういう踊り手のことを指す言葉が、
あるような気がするので、
たとえ、読み手に知識がなくても、
その固有名詞をそのまま使うとかもいいんじゃないかとか、
作者の作品に手を触れる気もなく、
気ままに言い合った。

稲田の歌は、
まぁ、この前の梅雨に、
普段から思ってること(例えば、この日)が、
頭の中でキレのいい言葉になって、まとまったんで、
歌にしたんですけどね。

ほしかわさんが、
「自分でジンクスを作っての意味と、
実際に雨が降った時の備えとしての、
二重の意味が感じられて面白かった」というお話が嬉しかったのはもちろん、
楽人さん、増田さんの、
「二行目の『降らないという』の『いう』って、
誰から聞いてんって、思わず思った(笑)」
という、ツッコミにはハッとした。

誰かから、聞いたわけではもちろんないし、
そういうつもりで、この言葉を使ったわけじゃないけど、
そうか、結果的にはそういう表記になってるわ、と(←おばか・笑)

そして、さてさて。増田さんの歌。

この歌は、「画」が変わってしまう打ちミスをしてしまった……。

しかも、増田さんは、
その打ちミスを、歌会の始まりのとき、
指摘しなかった。

もともと、増田さんは、
「蟻が大みみずをなんて、ありきたりな歌だな……」と、
内心、詠っても、なにかつまらなさを、
感じてたそうだ。

そこへ、打ちミスの『蝉』。

そして打ちミスした『蝉』の画が、
増田さんの中に戻ったら、
「あぁ、こういう歌も面白い」
と思ったのだそうだ。

もともと、日ごろから、
楽人さん同様、蝉についても、
いろいろ思っている増田さん。
なにか、そういう思いにもリンクしたようで。

なので、
作者もわからず、「蟻」だとしらず、
楽人さんやほしかわさんや、私はコメントしていく。

簡単にいうと、
地を這う大みみずに対して、
木のところから、ミンミンないて、
攻めたてるという、
みみずに鳴いているかなんて、本当かどうかはわからないが(っていうか違うだろ)、
攻めたてているように鳴いていると思う、
作者のその結びつけがいいと。

それに、「蟻」ならばともかく、
「蝉」を「軍勢」だとみなすのも、
意外性があると。

私は、画が変なんだけど、
蟻並みに小さな蝉が、
みみずにくっついて攻めている画を描いてて、
バス停で待っている作者がそれを見つめていて、
なんか、会社で、
リストラを決める役職についたサラリーマンが、
首を切りながら、
首を切られた人々たちに攻め立てられている自分を、
そのひとところの画に重ねてしまったのかなぁと思った、と言い、

「でもね、遠近感が、おかしいの。
どんな大みみずやねん、どんな小さな蝉やねん、って、
自分でもツッコンでしまうの!」
と、自分のシュールさを説明するのに苦心した。

ちなみに私は、
FAXをもらったときから、「蝉」だと思っていた。

なのに、作者の意を汲むように、
「蟻」の構図で、この歌を読んでいた。

指先の打ちミスではなく、心からのミスだった(笑)

でね。

私の中でこの打ちミスは、
衝撃が大きかったので、
すぐには気がつかなかったけど、

よくよく考えてみると、
これ、「蝉」にしてしまうと、
増田さんが、最初に、
「蟻」で歌にしようとした、
「蟻」という言葉で、託した思いは、
どうなってしまうんだ?と今は思っている。

増田さんには、ウケを狙って、
指摘しなかったつもりは毛頭ないだろう。

だが、選んだ言葉に対して、選んだ画に対して、
こだわりはないの?と、少し深刻に思う。

私はもっと、怒られるべきだし、
増田さんはもっと、怒るべきだったんじゃないのか?
と思う。

もっと、選んだ言葉を丁重に扱え、という意味で。

不意に潜んでいた生ぬるさに気づく。

ここで厳しくなってほしかったな、と、
増田さんに対して思っている。

そのほうが、こういうミスは、繰り返さないですむのにと。

こんなこと思うこと自体が、生ぬるいか。

     ★

そうそう。
楽人さんのペンは、無事、弁償しました(笑)

太さはなんとかなったのだけど、
同じ色がなかった。

緑は緑でも、濃淡?明暗?が違ってて。

それで、緑系統2本と、紺色で少しかたちが違う、
合計3本のペンを持っていって、
好きなものを選んでもらった。

一応、解決したということで(笑)

また、二次会で、ポロッと言った事が、
誘惑に拍車をかけ、
後日、ダメモトで、調整したら、実現化が決定した。

今週の8月11日(土)に、
愛媛の松山歌会に、出席することになりました。
知ってる人?
全国歌会とかで、顔を見たことがあるっていうぐらいの人は、
いるだろうけど。

ま、なんだっていいんです。歌さえあれば。

大阪をでるぞ!うっしっし(笑)

詳細は、書きたいけれど、
書くヒマがあるのだろうか(笑)

ようやくかける時間が出来ても、
今、このテンションで、
何もかも面白おかしく感じながら、
書けるかどうか、わからないですが。

とにかく、詳細は後日ということで。うっしっし!

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