源氏物語歌集-悠山人編

『源氏物語』中の短歌(和歌)のすべてを、
原作の順序にしたがって、紹介する。→日本初!

12須磨12 うき世をば

2007年09月30日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 180
巻十二 須磨 12 源氏

    うき世をば 今ぞ別るる とどまらむ
    名をばただすの 神にまかせて


2007-0930-ysg180
Kad03-035

□・・・みづがき」 といふを、「げにいかに思ふらむ。
人よりけに花やかなりしものを」と思すも心苦し。君も御馬よりおり給ひて、
御社のかた拝み給ふ。神にまかり申し給ふ。 (源氏)「うき世・・・□

12須磨11 ひき連れて

2007年09月29日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 179
巻十二 須磨 11 右近の尉

    ひき連れて 葵かざしし そのかみを
    思へばつらし 賀茂のみづがき


2007-0929-ysg179
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□・・・、つひに御簡けづられ、官も取られてはしたなければ、御供に参るうちなり。
賀茂の下の御社を、かれと見わたす程、ふと思ひ出でられて、
おりて御馬の口をとる。 (右近の尉)「ひき吊れて・・・みづがき」□

12須磨10 別れにし

2007年09月28日 | 09葵~12須磨

源氏物語歌集 178
巻十二 須磨 10 源氏

    別れしに 悲しきことは 尽きにしを
    またぞこの世の 憂さはまされる

2007-0928-ysg178
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□・・・なくぞふる」 いみじき御心まどひどもに、思し集めむる事どもも、
えぞ続けさせ給はぬ。 (源氏)「別れ・・・まされる」 月まち出でて出で給ふ。
御供にただ五六人ばかり、下人もむつまじき限りして、御馬にてぞおはする。□


12須磨09 見しはなく

2007年09月27日 | 09葵~12須磨

源氏物語歌集 177
巻十二 須磨 09 入道の宮

    見しはなく あるは悲しき 世のはてを
    背きしかひも なくなくぞふる


2007-0927-ysg177
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□大将、よろづの事かき集め思し続けて泣き給へる気色いと尽きせずなまめ
きたり。
(源氏)「御山に参り侍るを、御言づてや」と聞え給ふに、ともに物も聞え給はず

わりなくためらひ給ふ御気色なり。 (入道の宮)「見しは・・・□


12須磨08 涙川

2007年09月26日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 176
巻十二 須磨 08 尚侍

    涙川 うかぶ水泡も 消えぬべし
    流れてのちの 瀬をも待たずて


2007-0926-ysg176
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□・・・なりけむ と思ひ給へ出づるのみなむ、罪のがれ難う侍りける」。
道の程もあやふければ、こまかには聞え給はず。女いといみじう覚え給ひて、
忍び給へど、御袖よりあまるも所狭うなむ。 (尚侍)「涙川・・・□

12須磨07 あふ瀬なき

2007年09月25日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 175
巻十二 須磨 07 源氏

    あふ瀬なき 涙の川に 沈みしや
    流るるみをの はじめなりけむ


2007-0925-ysg175
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□ないしのかみの御もとに、わりなくして聞え給ふ。(源氏)「とはせ給はぬも、
ことわりに思ひ給へながら、今はと世を思ひはつる程の憂さもつらさも、
類なきことにこそ侍りけれ。 (源氏)「あふ瀬・・・□

12須磨06 行きめぐり

2007年09月24日 | 09葵~12須磨

源氏物語歌集 174
巻十二 須磨 06 源氏

    行きめぐり つひにすむべき 月影の
    しばし曇らむ 空なながめそ


2007-0924-ysg174
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□いみじとおぼいたるが、心苦しければ、かつは慰め聞え給
ふ。
(源氏)「行き・・・ながめそ 思へばはかなしや。ただ、知らぬ涙のみこそ

心をくらすものなれ」など宣ひて、明けぐれの程に出で給ひぬ。□


12須磨05 月影の

2007年09月23日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 173
巻十二 須磨 05 女

    月影の やどれる袖は せばくとも
    とめても見ばや あかぬ光を


2007-0923-ysg173
Kad03-031

□・・・、もしばしば鳴けば、世につつみて急ぎ出で給ふ。例の、
月の入りはつる程、よそへられて、あはれなり。女君の濃き御衣にうつりて、
げに「ぬるる顔」なれば、(女)「月影の・・・□

12須磨04 わかれても

2007年09月22日 | 09葵~12須磨

源氏物語歌集 172
巻十二 須磨 04 紫の上

    わかれても 影だにとまる ものならば
    鏡を見ても 慰めてまし


2007-0922-ysg172
Kad03-029

□・・・離れじ」 と聞え給へば、 (紫の上(「わかれ・・・まし」 
柱がくれに居隠れて、涙を紛らはし給へるさま、なほここら見る中に類なかりけり、
と思し知らるる人の御有様なり。 親王は、あはれなる御物語り聞え給ひて、・・・□


12須磨03 身はかくて

2007年09月21日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 171
巻十二 須磨 03 源氏

    身はかくて さすらへぬとも 君があたり
    去らぬ鏡の かけは離れじ


2007-0921-ysg171
Kad03-029

□・・・、(源氏)「こよなうこそおとろへにけれ。この影のやうにや、やせて侍る。
あはれなるわざかな」と宣へば、女君、涙を一目うけて見おこせ給へる、
いと忍び難し。 (源氏)「身はかくて・・・離れじ」□