
プロレスはその成立当時から、セメントはタブーだった。勝敗はプロモーターの一存で決まった。しかし、それは決してプロレスラーが弱いことを意味しない。少なくとも、一時期のアメリカにおいて、最も実力者がそろっていた業界がプロレスではないだろうか。
確かに、プロレスはショービジネスであり、日常的に真剣勝負を興行しているわけではない。だが、それはプロレスの奥深い世界の、ほんの表面に過ぎない。ショーとしての顔の奥には、まぎれもない真剣勝負のエッセンスが息づいている。
◆興業試合◆
明治時代には、柔道家がレスラーやボクサーを相手にする興業が、盛んに行なわれていたという。
しかし、これは八百長試合だった。
ともかく、これが日本におけるプロレスのルーツであることは間違いない。
◆マークス◆
一昔前まで、アメリカでのプロレス興業には、「マークス」と呼ばれる腕自慢の飛び入り賞金マッチがつきものだった。
マークスの多くは、レスリングの実力者とか、地元の喧嘩屋である。
もしプロモーターに返り討ちを命じられれば、一介のレスラーにそれを断る権利はなく、もし負けでもしたら、「素人より弱いレスラー」として業界には残れなくなる。
「プロモーターに絶対服従」という業界の掟が、実力の無いレスラーを淘汰していた。マサ・サイトーも、このようなマークスの相手を命じられ、サミングで返り討ちにしたと回想している。

時には、プロモーターがマークス対策専用のレスラーを雇うこともあった。
その中でも有名になったのがボブ・バックランドで、彼はいつもマークスをヘッドロックでギブアップさせていたという。

これは手首関節を相手の頬の頭蓋結合部に押し当てて締めるというもので、陰のテクニックとしてレスラーに伝えられていたものだ。つなぎ技であるヘッドロックで素人をギブアップさせることで、プロのステイタスを誇示したのだった。
◆フッカー◆
こうした技術を徹底的に突き詰めたのが、イギリスのビリーライレージム、別名スネークピットだった。
ここではフリースタイル・レスリングの起源とされる「キャッチ・アズ・キャッチ・キャン」スタイル・レスリングが伝承されており、数々のフッカー(フックは、極めると同時に折ってしまうような危険なサブミッションのこと。フッカーは、これをマスターしたセメントの中のセメント)を育成した。
フッカーの中でも最強と呼ばれているのが、幻の実力者ビリー・ジョイスである。

ゴッチは、その秘技を日本に伝えた。
チャンピオンクラスがマークスの相手をすることは、滅多になかった。勝って当たり前、負ければ興業全体にダメージを受ける。
従って、主に中堅以下のポジションにいるレスラーが、マークスを退ける役割を与えられた。前座レスラーだったジョイスは、その典型であろう。そうなれば、チャンピオンは彼らより強いことになり、一石二鳥だった。
ジャイアント馬場は、セメントを、「レスリングの技術があり、かつ喧嘩度胸のあるレスラー」と定義している。
彼らセメントに言わせると、そうした実力とショーでの人気を兼ね備えてはじめて、真のプロフェッショナルなのだという。


ジョシュはキャッチの技術を受け継いで総合のトップファイターに君臨している
◆パワープラント◆
マクマホンジュニアのショーアップ路線により、セメントは業界から淘汰されていった。だがもちろん、プロレスそのもののレベルは向上している。打たれ強さや受け身の上手さなどは、格闘家をしのぐものがあるだろう。
打撃系の経験者なら分かるだろうが、人の体は、急所を除いて叩かれるほど強くなる。例えば極真の選手なら、体の全面や脚は、まるで鎧をまとっているように頑丈だ。プロレスラーは、日々の試合で常に全身がそういった状態に保たれている。特に、回復力は尋常ではない。
受け身の技術も、空中殺法や場外への落下があるため、スタントマン並みにレベルが高い。今や伝説となった、三沢が小橋を花道から(場外へ!)雪崩式タイガースープレックスで投げた場面を見せられた(しかも、2人はリングに戻って試合を続行した)ときには、改めて、自分がプロレス少年だったことに誇りを持ったものだ。こんなこと、プロレスラー以外の誰にできるだろう? ゴールドバーグなど、キャデラックにハネられてみせた。

やっぱり、プロレスはキング・オブ・スポーツであり、プロレスラーは超人なのだ。
逆に言えば、いくらルックスが良くても、超高度な身体能力がなければ、トップの座は保てない。ザ・ロックなどはルックスはいいが、身体能力がプロとしてはいまいちであり、案の定、プロレスから俳優業に重心を移した。
こういったプロレスラーの養成機関の中でも有名なのが、ゴールドバーグやボブ・サップがいたことでも有名なアトランタの「モンスターファクトリー」、別名パワープラントだろう。フロアには3面のリングと最新のトレーニング設備が設置され、サブミッションのトレーニングも行なわれていた。ちなみに、ゴールドバーグもサンボや合気道の経験者だ。
もともとNFLでもズバ抜けた体力の持ち主だったサップをして、あげたまま失神するほどのシゴキだというから、いかに厳しいかが伺える。
カレリンのライバルだったマッド・ガファリは、1日で逃げ出したという。
K−1のサム・グレコも、実はプラント出身。
まさに、世界のトップアスリートが集結していたのだ。

ホーガンもヒロ・マツダ仕込みのセメントを身につけている


アメプロから総合格闘技に転向してすぐ世界王者になったレスナー
ついでに言えば、いきなり火の玉を投げつけるといったとんでもない反則も、プロレスの恐さであろう。タイツ1枚でリングに上がって、どこに種を隠しておくのだろうか?
流血のあるときは、剃刀も隠し持っている。プロレスラーは、手品師並みのトリックもマスターしているのだ。
これをもしストリートファイトでやられたら、お手上げである。人間がいきなり「火を吐く」とは、とても予想できない(笑)。
喧嘩なら、もしかして悪役レスラーが最強ではないだろうか?
◆新日本プロレス道場◆

いわゆるセメントの流れは、アメリカではなく、新日本プロレスに受け継がれた。
新日の道場では、新人はゴッチから伝えられたキャッチスタイルを徹底的に叩き込まれた。この伝統は、新日を源流とする全ての団体に受け継がれている。
そもそも、プロレスラーは他の格闘技で実績のある選手が多いので、ただでさえ強いのに、徹底的にセメントを叩き込まれるから鬼に金棒。
リングスやパンクラスなどは、本当にセメント路線に変更してしまった。
高田道場の桜庭は、ホイスに初黒星をつけている。そればかりか、試合の中で、一度膝を極めている。ホイスが公式戦で関節を極められた、唯一の瞬間だろう。グレイシーの神話を打ち破ったのは、まぎれもなく日本の「UWF」だった。

桜庭は40代になるまで、公式戦で関節を極められたことがなかった。グラウンドテクニックでは、長期に渡って世界の頂点に君臨し続けた。やはり、「プロレスラーは本当に強い」のだ。
こうした団体は打撃技、特にローキックにも習熟している。
◆修斗◆

人気と実力を兼ね備えた、代表的なセメントである初代タイガーマスク(佐山サトル)が創始した格闘技が修斗である。
佐山は、自らのベースであるキャッチレスリングに様々な格闘技のエッセンスを加え、スタンドもグラウンドも認める総合格闘競技を完成させた。
その興業組織はボクシング並みに整備されており、八百長の入り込む余地はない。後頭部への打撃を認めることなども特徴だ。
修斗のパイオニアとして絶対に忘れられないのが、伝説のシューター中井祐樹であろう。中井はバーリ・トゥード・ジャパンに出場し、軽量級の体格ながら、1回戦でUFC準優勝の実力者ゴルドーを破る。しかし、サミングのために、片目の視力を失ってしまった。
だが、中井は棄権せず、準決勝で超ヘビー級のプロレスラーを破り、決勝で惜しくもヒクソンに敗れたものの、堂々の準優勝。修斗の技術の実戦性を証明した。

また、総合中量級で世界のトップを走る五味も、主なタイトル歴は修斗のみ。五味は、修斗で強くなった。やはり修斗は、最強の総合格闘競技だろう。
◆ルタリーブリ◆
ちなみに、プロレスを母体として産み出された格闘技は、修斗だけではない。ジュージュツのライバルとして知られるルタリーブリも、ルチャドールによって創始された。
やはりサブミッションが技術の主体となるが、バーリトゥード用に進化したため、基本的には何でもアリだ。
新日に留学したイワン・ゴメスは、ルタリーブリの王者だった。当時からヒールホールドや馬乗りビンタを使っていたという。

アリ・キックはゴメスのアドバイスを受けて完成された
ヒクソンの最強のライバルだったズールも、ルタリーブリのファイターだった。
◆ヒムナシオ・アトレティコ・マリーナ◆
ルチャドール育成機関として最も有名なのが、マスカラスを筆頭とする大スターたちを次々と輩出した名門ジム「ヒムナシオ・アトレティコ・マリーナ」だろう。
このジムでは派手な技はいっさい教えず、基礎体力とアマレスを徹底して叩き込まれる。ルチャドールたちが自信を持ってバーリトゥードにチャレンジするのも、このような土台があってこそ。
もともとルチャのプロテストにはレスリング検定があり、一定以上の実力が無ければ、プロになれない。
メキシコでは昔も今も、トップアスリートは小柄ならプロボクシング、大柄ならルチャへ進むのが定番だ。

かのマスカラスも、ボディビルやウエイトリフティング、レスリングのフリースタイルでメキシコを制した超スポーツエリートだった。柔道も少年時代から経験している。
ヒムナシオ・マリーナで基礎を身に付け、地元でデビューしてある程度経験を積むと、いよいよルチャの総本山である「ヒムナシオ・アレナ・メヒコ」で高等技術訓練が行なわれる。
場外転落の受け身や高度な空中殺法など、その訓練はスタントなみの厳しさ。メインイベンターとなれるのは、エリートの中でもさらにひと握りの超エリートに過ぎない。
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確かに、プロレスはショービジネスであり、日常的に真剣勝負を興行しているわけではない。だが、それはプロレスの奥深い世界の、ほんの表面に過ぎない。ショーとしての顔の奥には、まぎれもない真剣勝負のエッセンスが息づいている。
◆興業試合◆
明治時代には、柔道家がレスラーやボクサーを相手にする興業が、盛んに行なわれていたという。
しかし、これは八百長試合だった。
ともかく、これが日本におけるプロレスのルーツであることは間違いない。
◆マークス◆
一昔前まで、アメリカでのプロレス興業には、「マークス」と呼ばれる腕自慢の飛び入り賞金マッチがつきものだった。
マークスの多くは、レスリングの実力者とか、地元の喧嘩屋である。
もしプロモーターに返り討ちを命じられれば、一介のレスラーにそれを断る権利はなく、もし負けでもしたら、「素人より弱いレスラー」として業界には残れなくなる。
「プロモーターに絶対服従」という業界の掟が、実力の無いレスラーを淘汰していた。マサ・サイトーも、このようなマークスの相手を命じられ、サミングで返り討ちにしたと回想している。

時には、プロモーターがマークス対策専用のレスラーを雇うこともあった。
その中でも有名になったのがボブ・バックランドで、彼はいつもマークスをヘッドロックでギブアップさせていたという。

これは手首関節を相手の頬の頭蓋結合部に押し当てて締めるというもので、陰のテクニックとしてレスラーに伝えられていたものだ。つなぎ技であるヘッドロックで素人をギブアップさせることで、プロのステイタスを誇示したのだった。
◆フッカー◆
こうした技術を徹底的に突き詰めたのが、イギリスのビリーライレージム、別名スネークピットだった。
ここではフリースタイル・レスリングの起源とされる「キャッチ・アズ・キャッチ・キャン」スタイル・レスリングが伝承されており、数々のフッカー(フックは、極めると同時に折ってしまうような危険なサブミッションのこと。フッカーは、これをマスターしたセメントの中のセメント)を育成した。
フッカーの中でも最強と呼ばれているのが、幻の実力者ビリー・ジョイスである。

ゴッチは、その秘技を日本に伝えた。
チャンピオンクラスがマークスの相手をすることは、滅多になかった。勝って当たり前、負ければ興業全体にダメージを受ける。
従って、主に中堅以下のポジションにいるレスラーが、マークスを退ける役割を与えられた。前座レスラーだったジョイスは、その典型であろう。そうなれば、チャンピオンは彼らより強いことになり、一石二鳥だった。
ジャイアント馬場は、セメントを、「レスリングの技術があり、かつ喧嘩度胸のあるレスラー」と定義している。
彼らセメントに言わせると、そうした実力とショーでの人気を兼ね備えてはじめて、真のプロフェッショナルなのだという。


ジョシュはキャッチの技術を受け継いで総合のトップファイターに君臨している
◆パワープラント◆
マクマホンジュニアのショーアップ路線により、セメントは業界から淘汰されていった。だがもちろん、プロレスそのもののレベルは向上している。打たれ強さや受け身の上手さなどは、格闘家をしのぐものがあるだろう。
打撃系の経験者なら分かるだろうが、人の体は、急所を除いて叩かれるほど強くなる。例えば極真の選手なら、体の全面や脚は、まるで鎧をまとっているように頑丈だ。プロレスラーは、日々の試合で常に全身がそういった状態に保たれている。特に、回復力は尋常ではない。
受け身の技術も、空中殺法や場外への落下があるため、スタントマン並みにレベルが高い。今や伝説となった、三沢が小橋を花道から(場外へ!)雪崩式タイガースープレックスで投げた場面を見せられた(しかも、2人はリングに戻って試合を続行した)ときには、改めて、自分がプロレス少年だったことに誇りを持ったものだ。こんなこと、プロレスラー以外の誰にできるだろう? ゴールドバーグなど、キャデラックにハネられてみせた。

やっぱり、プロレスはキング・オブ・スポーツであり、プロレスラーは超人なのだ。
逆に言えば、いくらルックスが良くても、超高度な身体能力がなければ、トップの座は保てない。ザ・ロックなどはルックスはいいが、身体能力がプロとしてはいまいちであり、案の定、プロレスから俳優業に重心を移した。
こういったプロレスラーの養成機関の中でも有名なのが、ゴールドバーグやボブ・サップがいたことでも有名なアトランタの「モンスターファクトリー」、別名パワープラントだろう。フロアには3面のリングと最新のトレーニング設備が設置され、サブミッションのトレーニングも行なわれていた。ちなみに、ゴールドバーグもサンボや合気道の経験者だ。
もともとNFLでもズバ抜けた体力の持ち主だったサップをして、あげたまま失神するほどのシゴキだというから、いかに厳しいかが伺える。
カレリンのライバルだったマッド・ガファリは、1日で逃げ出したという。
K−1のサム・グレコも、実はプラント出身。
まさに、世界のトップアスリートが集結していたのだ。

ホーガンもヒロ・マツダ仕込みのセメントを身につけている


アメプロから総合格闘技に転向してすぐ世界王者になったレスナー
ついでに言えば、いきなり火の玉を投げつけるといったとんでもない反則も、プロレスの恐さであろう。タイツ1枚でリングに上がって、どこに種を隠しておくのだろうか?
流血のあるときは、剃刀も隠し持っている。プロレスラーは、手品師並みのトリックもマスターしているのだ。
これをもしストリートファイトでやられたら、お手上げである。人間がいきなり「火を吐く」とは、とても予想できない(笑)。
喧嘩なら、もしかして悪役レスラーが最強ではないだろうか?
◆新日本プロレス道場◆

いわゆるセメントの流れは、アメリカではなく、新日本プロレスに受け継がれた。
新日の道場では、新人はゴッチから伝えられたキャッチスタイルを徹底的に叩き込まれた。この伝統は、新日を源流とする全ての団体に受け継がれている。
そもそも、プロレスラーは他の格闘技で実績のある選手が多いので、ただでさえ強いのに、徹底的にセメントを叩き込まれるから鬼に金棒。
リングスやパンクラスなどは、本当にセメント路線に変更してしまった。
高田道場の桜庭は、ホイスに初黒星をつけている。そればかりか、試合の中で、一度膝を極めている。ホイスが公式戦で関節を極められた、唯一の瞬間だろう。グレイシーの神話を打ち破ったのは、まぎれもなく日本の「UWF」だった。

桜庭は40代になるまで、公式戦で関節を極められたことがなかった。グラウンドテクニックでは、長期に渡って世界の頂点に君臨し続けた。やはり、「プロレスラーは本当に強い」のだ。
こうした団体は打撃技、特にローキックにも習熟している。
◆修斗◆

人気と実力を兼ね備えた、代表的なセメントである初代タイガーマスク(佐山サトル)が創始した格闘技が修斗である。
佐山は、自らのベースであるキャッチレスリングに様々な格闘技のエッセンスを加え、スタンドもグラウンドも認める総合格闘競技を完成させた。
その興業組織はボクシング並みに整備されており、八百長の入り込む余地はない。後頭部への打撃を認めることなども特徴だ。
修斗のパイオニアとして絶対に忘れられないのが、伝説のシューター中井祐樹であろう。中井はバーリ・トゥード・ジャパンに出場し、軽量級の体格ながら、1回戦でUFC準優勝の実力者ゴルドーを破る。しかし、サミングのために、片目の視力を失ってしまった。
だが、中井は棄権せず、準決勝で超ヘビー級のプロレスラーを破り、決勝で惜しくもヒクソンに敗れたものの、堂々の準優勝。修斗の技術の実戦性を証明した。

また、総合中量級で世界のトップを走る五味も、主なタイトル歴は修斗のみ。五味は、修斗で強くなった。やはり修斗は、最強の総合格闘競技だろう。
◆ルタリーブリ◆
ちなみに、プロレスを母体として産み出された格闘技は、修斗だけではない。ジュージュツのライバルとして知られるルタリーブリも、ルチャドールによって創始された。
やはりサブミッションが技術の主体となるが、バーリトゥード用に進化したため、基本的には何でもアリだ。
新日に留学したイワン・ゴメスは、ルタリーブリの王者だった。当時からヒールホールドや馬乗りビンタを使っていたという。

アリ・キックはゴメスのアドバイスを受けて完成された
ヒクソンの最強のライバルだったズールも、ルタリーブリのファイターだった。
◆ヒムナシオ・アトレティコ・マリーナ◆
ルチャドール育成機関として最も有名なのが、マスカラスを筆頭とする大スターたちを次々と輩出した名門ジム「ヒムナシオ・アトレティコ・マリーナ」だろう。
このジムでは派手な技はいっさい教えず、基礎体力とアマレスを徹底して叩き込まれる。ルチャドールたちが自信を持ってバーリトゥードにチャレンジするのも、このような土台があってこそ。
もともとルチャのプロテストにはレスリング検定があり、一定以上の実力が無ければ、プロになれない。
メキシコでは昔も今も、トップアスリートは小柄ならプロボクシング、大柄ならルチャへ進むのが定番だ。

かのマスカラスも、ボディビルやウエイトリフティング、レスリングのフリースタイルでメキシコを制した超スポーツエリートだった。柔道も少年時代から経験している。
ヒムナシオ・マリーナで基礎を身に付け、地元でデビューしてある程度経験を積むと、いよいよルチャの総本山である「ヒムナシオ・アレナ・メヒコ」で高等技術訓練が行なわれる。
場外転落の受け身や高度な空中殺法など、その訓練はスタントなみの厳しさ。メインイベンターとなれるのは、エリートの中でもさらにひと握りの超エリートに過ぎない。
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