指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

菊慈童は、ピーターパンだろうか

2016年11月09日 | 演劇

なんでも見ることにしているが、苦手が二つあり、シャンソンと能である。

下賤な生まれなので、おシャンソンと能楽には縁がないのである。

さて、誘われたので鎌倉能舞台に行く。冒頭、中森勘太氏の解説がある。この形式は、父の故中森昌三氏が始めたもので、当初は批難ごうごうだったそうだ。中森氏は、レーザー光線能など常に新しい試みをされた方で、能の世界では異端だったようだ。

                   

 

能は、本来は武士の式楽で、下賤のわれわれ庶民は江戸時代は見られなかったものなのである。

さて、狂言の次の能は『菊慈童』で、これは蜀の文帝の時代のことで、ある山の水が不老長寿だとの噂があり、帝の命を受けた家臣が山に行く。

そこには菊慈童という美少年がいる。聞くと周の時代に帝王の怒りをかって流されて来たとのこと。

何んと700年前で、700年も美少年のままということになる。

これでは、不老長寿への願いというよりは、死ねない少年ピーターパンの悲しみのように見えて来た。

能を見るのは、実は3回目だが、初めて最後まで寝ないで見ることができた。

日曜日の鎌倉は大変な人出だった。


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